未成年の息子が盗撮で逮捕! 親がするべきこととは
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「未成年の息子が盗撮の容疑で逮捕された」と連絡が来たら、多くの方がまさかと思うことでしょう。しかし実際に、福岡市の男子高校生が盗撮の容疑で逮捕された事件が2017年2月に報道されています。
もし、あなたの息子が盗撮容疑で逮捕されてしまったら、親としてはどのように行動すればよいのか、ご存じでしょうか。さらに、どのような手続きを経ることになるのかについても知っておく必要があるでしょう。
今回は、逮捕されてからの流れや、未成年と成人の犯罪の手続きや処罰の違い、学校への連絡を避ける方法や、親が行うべきことなどを解説していきます。
1、未成年の盗撮は「少年事件」に該当
未成年の盗撮は、「少年事件」に該当します。
ここでいう「少年」とは、性別問わず審判のときに20歳未満の者を指します。
非行のある少年は、3つに分けることができます。
① 犯罪少年
② 触法少年
③ ぐ犯少年(虞犯少年)
です。
①の犯罪少年は14歳以上、②の触法少年は14歳未満の非行ある少年を指します。
③のぐ犯少年(虞犯少年)は、将来罪を犯し刑法に触れる可能性があると認められた少年を指します。
これら3つの区分によって、その後の手続きの流れが変わります。盗撮事件の場合、ほとんどが犯罪少年に該当すると思われますので、以下に犯罪少年の場合の流れを解説いたします。
2、未成年が盗撮で逮捕された後の流れについて
未成年(犯罪少年)が盗撮で逮捕された後の流れを、以下に解説します。
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(1)逮捕・勾留
盗撮を犯して逮捕されると、いったん警察で捜査されます。警察は「禁錮刑以上の刑に当たる犯罪」を犯した疑いがあるとみなした場合、事件を検察に送致します。
次に、検察でも捜査されますが、捜査状況などによっては、さらに最大20日間「勾留(こうりゅう)」されます。勾留とは、身柄を拘束されたまま取り調べることを指します。
勾留を行うためには裁判所の許可が必要で、送致から24時間以内に検察は勾留の有無を判断します。
取り調べが完了すると、家庭裁判所に事件は送致されます。 -
(2)家庭裁判所送致
家庭裁判所では少年の調査が行われ、審判が必要かどうか判断されます。
家庭裁判所での調査結果によって、「児童養護施設・児童自立支援施設送致」「少年院送致」「試験観察処分」「保護観察処分」「検察への逆送致」「不処分」が決まります。 -
(3)少年審判
少年審判とは、家庭裁判所にて、少年の非行について審判を行う手続きを指します。審判自体はおおむね1時間程度で終わることが多く、次で述べる処分が決定します。
3、少年審判の処分の種類
少年審判で下される処分は、以下のような種類があります。
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(1)児童養護施設・児童自立支援施設送致
児童養護施設とは、保護者のいない児童や虐待を保護者に児童を任せておけない場合に入所させて、自立のために養護する施設です。基本的には施設側が非行少年の受け入れに消極的なため、あまりこの処分になることはありません。
児童養護施設は少年院とは異なる開放施設です。原則として施錠された部屋に入れられることもありません。また、夏休みや正月などの時期には一時的に親元に帰宅することもできます。期間は、義務教育期間(中学3年生まで)で、その後は退所することが多い傾向があります。 -
(2)少年院送致
少年院とは、家庭裁判所から送致された少年を収容し、矯正教育などを行う施設です。
刑務所とは異なり、懲役などの刑罰が執行されるのではなく、少年が社会に復帰するための教科教育や職業訓練などの支援を行います。少年院では家族が面会することが可能です。
収容期間は、少年自身の問題の大きさによって異なります。最短で4ヶ月、特に処遇に対して勧告がない場合は約1年間、更生に時間がかかると判断された場合は、2年以上収容されることもあります。 -
(3)試験観察処分
試験観察とは、家庭裁判所が最終的な保護処分を決めるために、家庭裁判員が相当の期間少年の生活態度を観察して様子を見る制度のことです。
期間は明確に定められていませんが、3ヶ月~6ヶ月程度になることが多い傾向があるようです。その後、最終的な処分が判断されます。 -
(4)保護観察処分
少年を社会内で生活させながら、保護観察所の補導・援護を受けさせ少年の更生を図る制度です。具体的には、月に数回面談をして、生活状況を聞きながら指導を進めていきます。期間は20歳になるか、保護観察処分が解除されるまで続きます。
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(5)検察への逆送致
家庭裁判所の審判において刑事処分に相当すると判断されたため、検察に「逆送致」されることです。ほとんどの場合成人と同じ刑事処罰を受けることになります。
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(6)不処分
不処分とは、家庭裁判所での審判において、保護処分にするまでにいたらないと判断された場合の決定をいいます。不処分の場合は他の処分とは違い、ここですべての手続きが終了となります。
4、少年事件と成人犯罪の違い
少年事件と成人犯罪では手続きの流れが3つの点で大きく異なります。
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(1)すべて家庭裁判所に送致される
少年事件では、警察・検察によって犯罪の疑いありと判断された場合、原則としてすべての事件を家庭裁判所に送致することになっています。このことを、全件送致主義といいます。
成人事件の場合は、事件が軽微なものである場合、裁判所に送致されない手続きが存在します。他方、少年事件がなぜ全件送致主義なのかというと、「非行事実」だけではなく、「要保護性」があるかどうか適切に審議する必要があるためです。 -
(2)保釈制度はない
成人事件では、起訴後でも一定の基準を満たすと保釈されることがあります。しかし、少年事件には保釈はありません。家庭裁判所に送致されると同時に、少年鑑別所に収容されるケースが多くなっています。少年鑑別所への収容を回避するには、審判の前に意見書などを提出し、異議申し立てをする必要があります。
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(3)公開裁判は開かれない
成人の刑事事件では、多くの場合傍聴人がいる公開の裁判が行われます。しかし、少年事件の場合、原則として公開の裁判が行われることはありません。
5、学校へ知られず穏便に解決する方法はある?
事件が学校に知れてしまうと、退学などの処分を受ける場合があります。このため、学校には知られないよう、穏便に事件を解決したいと考えるのが親心でしょう。弁護士から適切に裁判所や検察に働きかければ、学校には連絡しないようにできる可能性があります。
少年事件の場合、勾留満期を待たずして家庭裁判所に送致されることも多く、拘束が長引けば長引くほど学校への対応も難しくなります。少年事件は、成人犯罪以上に「時間との勝負」であるとも考えられます。逮捕された知らせを受けた瞬間から動き始めるべきです。速やかに弁護士にご相談ください。
6、早期釈放からその後のサポートまで、弁護士へ相談を
少年事件も弁護士へ相談することが、解決の早道です。弁護士が行えるサポート内容を以下に紹介いたします。
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(1)身柄拘束中の接見(面談)
逮捕直後から勾留が決まるまでの72時間は、家族でも面会はできません。しかし、弁護士なら速やかに警察署に行き、被疑者と接見することができます。その際、警察官の立ち合いはありません。そこで、黙秘権や刑事手続きの流れについて説明し、不安を和らげることができます。また、身に覚えのない自白をしてしまった場合の危険性や、押印する際の注意点などをアドバイスできます。事実関係も聞き取り、今後の弁護方針を相談できます。
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(2)弁護士による調査官との面談
少年事件では、調査官の意見が裁判に大きな影響をもたらします。しかし、少年によっては弁護士にはなんでも話せるのに、あまり話をしたことがない調査官にはうまく話を伝えられないという方もいます。弁護士が調査官と面談をすることで、少年について、より適切に理解してもらうことができます。
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(3)学校・職場への適切な対応
前述しましたが、学校や職場への対応も、弁護士から適切に働きかけることができます。こちらは特に早い段階で対応したほうがいいので、不安な場合は速やかに弁護士にご相談ください。
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(4)被害者への対応・示談交渉
示談が成立すると、起訴・不起訴を決める際、逮捕された少年に下される判断が寛容なものとなる可能性が高まります。示談は、罪を犯した者として最低限必要な努力・誠意を表す方法だと考えられているためです。
しかし、被害者側からすれば、加害者やその家族と直接会って話をすることは避けたいと考えるものです。相手側の感情を考えて、直接の示談交渉は避けるべきでしょう。弁護士が間に入り、示談の成立に向けた交渉を行います。
7、まとめ
未成年の息子が盗撮で逮捕された場合は、迅速に弁護士にご相談ください。成人事件よりも手続きの進行が早い傾向があるため、より「時間との勝負」になってきます。
早めの対応ができると、学校や職場に知られてしまう事態を防いだり、黙秘権などについて適切なアドバイスを息子さんにすることができたりと、たくさんのメリットがあります。
示談も、当人同士で行うのは避けるべきです。状況によっては、加害者側の人間が、被害者を脅して証拠隠滅を図っているなどと受け取られてしまう可能性があります。弁護士によるサポートを受けたほうが、さまざまな面で穏便にかつ素早く解決できることでしょう。
未成年の息子が逮捕されてしまったときは、まずはベリーベスト法律事務所 福岡オフィスへ相談してください。状況に適した対応をアドバイスするとともに、本人の更生と将来に受ける影響を最小限に抑えるよう、福岡オフィスの弁護士が尽力します。
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