旦那が西鉄天神大牟田線で痴漢容疑で逮捕! 妻が知っておきたい逮捕後の流れを福岡オフィスの弁護士が解説
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人気都市福岡市への移住者が増え、通勤・通学ラッシュ時間帯における西鉄天神大牟田線の車内は、九州地方有数の混雑率と言われています。本コラムをご覧の方の中にも、旦那が西鉄天神大牟田線を通勤に利用しているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人と人とが密着しあう電車内では痴漢事件が起こりやすいとは聞くものの、まさか自分の家族が巻き込まれるとは夢にも思わなかったかもしれません。
旦那が電車内で痴漢をおこない、迷惑防止条例違反で逮捕された…。妻としてはにわかには受け入れがたい現実ですが、拘束されている夫に代わって妻が迅速に動くことで、事態が好転する可能性があります。少しでも早く旦那の身柄を解放させるためにも、奥様に今できることを知っておきましょう。
今回は、痴漢で逮捕された後の一般的な流れや期間、具体的に何をすべきかについて解説します。
1、痴漢で逮捕された後の一般的な流れ
まずは、痴漢容疑で逮捕された直後から数日間の流れを解説します。
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(1)逮捕後72時間以内に「勾留決定」か「身柄釈放」が決まる
刑事事件において、逮捕後の基本的な流れは以下のようになっています。
- 逮捕直後…留置場に収監され、警察から取り調べを受ける
- 逮捕から48時間以内…警察から検察官への引き継ぎ(送検)、または釈放
- 送検から24時間以内…検察官から裁判所への勾留請求、または釈放
検察官からの勾留請求の後、最終的には裁判所が「勾留決定」か「身柄釈放」を決めるわけですが、逮捕からここまでは最大72時間です。
勾留決定が行われない場合、容疑者は身柄を釈放されますが、無罪放免になるわけではありません。容疑者は自宅に戻り、会社に行くこともできますが、捜査は続きます。
これを在宅捜査といいますが、軽微な痴漢事件では比較的見られる捜査方法です。
在宅捜査となれば今後不起訴を得るための準備もしやすくなるため、まずはここでの身柄釈放を目指すことになります。 -
(2)家族でも逮捕直後は面会できない
夫が逮捕されたらすぐにでも直接会って、体調は大丈夫なのか、痴漢を本当にやってしまったのかと、話したいことがたくさんあることでしょう。
しかし、逮捕直後は妻であっても旦那と会うことはできません。メールや電話、手紙などでのやり取りも禁止されています。
このとき、唯一容疑者と会って話ができるのが弁護士です。
弁護士は本人と面会し、取り調べを受けている夫のさまざまなサポートのほか、外の様子を伝えたり、弁護士を通じて家族から伝言したりすることもできます。
後述しますが、逮捕直後から勾留決定が行われるまでできる限り早期に弁護士に連絡をとることが、今後の対応に大きく関わってきます。 -
(3)勾留後20日以内に「起訴」か「不起訴」
次に、逮捕後72時間以内の身柄釈放が叶わず、勾留決定された場合の流れを見ていきましょう。
勾留決定がされると、10日間の勾留と、さらに10日を限度としての勾留延長がなされ、最大で20日間勾留されることになります。勾留期間が終わるまでに、検察官は容疑者の起訴、不起訴処分、処分保留を判断していきます。
旦那が痴漢で逮捕された場合、逮捕後72時間を含めると最大で23日間は身柄を拘束される可能性があるということです。
日本の刑事事件ではいったん起訴されると有罪率は非常に高いため、ここで不起訴処分を得ることが重要です。不起訴処分となれば前科もつかず、そこで事件は終了となります。
起訴処分となれば引き続き身柄を拘束され、その後の裁判で有罪となれば、刑事罰をうけて前科もつくことになります。 -
(4)不起訴の鍵を握る被害者との示談交渉
不起訴の大きな鍵を握るのが被害者との示談交渉です。
迷惑防止条例違反の痴漢事件においては、示談成立と示談書の提出によって釈放、不起訴となる可能性が高まりますので、早期の示談成立が重要となります。
しかし、痴漢事件の性質上、被害者が容疑者への嫌悪感情をもっていることが多く、本人が直接示談交渉をおこなうことは極めて困難です。
捜査機関が被害者の連絡先を教えてくれることもありませんので、事実上は弁護士しか示談交渉はできません。
勾留の満期日までは10日~20日間ほどしか時間がありませんので、この間に示談を成立させるためにも、逮捕後とにかく早く動き出すことが大切です。 -
(5)起訴から裁判へ
起訴処分がくだると、そこから1ヶ月ほどして刑事裁判が開かれ、審理期間を経て判決となります。判決が下るまで、事案によっては1年近くかかってしまうこともあり、その場合、本人はもちろん家族にとってもさまざまな負担が生じます。
2、旦那が痴漢容疑で逮捕されたとき、妻がすぐやるべきこと
旦那が痴漢容疑で逮捕されたとき、多くの妻は気が動転してしまい、何から手をつけたらよいかわからなくなってしまうことでしょう。
しかし上述の通り、逮捕後は起訴や不起訴処分がくだるまでやることは多いうえ、あまり時間はありません。
ここでは、旦那が痴漢容疑で逮捕されてしまった場合、妻がやるべきことを押さえておきましょう。
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(1)刑事事件専門の弁護士を探し、接見依頼をする
真っ先におこなうべきは、弁護士への依頼です。
弁護士に頼んで迅速に対応するということはもちろんですが、弁護士に相談することで、その時のご家族の不安の解消することにもつながります。
逮捕された本人には、当番弁護士と呼ばれる、一度だけ無料で相談できる弁護士がいます。
しかし、当番弁護士は刑事事件に強い弁護士かは分からない、相性が悪くても別の弁護士に相談することはできないなどの理由で、今後の対応に影響を及ぼす可能性も否定できません。
痴漢は逮捕から72時間がひとつの勝負期間なので、刑事事件に強い信頼できる弁護士を妻が探し、早期に相談することが大切です。 -
(2)虚偽の供述をしたり冤罪を認めたりしないようにすすめる
逮捕後72時間は家族の接見ができませんが、家族接見が可能な勾留段階では直接会って話すことができます。
ここでのポイントは、旦那が虚偽の供述をしないようにすすめ、励ますことです。
痴漢事件では容疑が事実なのであればすぐに認め、示談交渉に向けて動き出すことが大切ですが、事実を隠そうと虚偽の供述をしてしまうと不起訴処分を得にくくなってしまいます。
一方、無実であっても厳しい取り調べにより精神的に疲弊したり怖くなったりしてしまい、やっていないまでを自白してしまうケースも考えられます。
一度自白すると証拠とされて起訴される確率が高くなり、後で否定しても有罪となってしまう可能性も上がってしまいます。
落ち着いて取り調べに対応し、無実を主張するように本人を励ますことが必要となります。 -
(3)示談のための活動
被害者側との示談交渉は基本的に弁護士がおこないますが、場合によっては弁護士と一緒に妻が被害者のもとに出向いて謝罪したり、謝罪文を作成したりといったことも考えられます。
同じ女性である立場からの苦しみや謝罪の意を示すことで、被害者からの同情が得られて示談が成立することもあるからです。
また、示談成立には示談金の支払いが必要となるため、その準備をすることも妻の役割となるでしょう。 -
(4)会社への対応を弁護士と相談する
痴漢で逮捕されても、警察から会社側に連絡がいくことはありませんが、問題は勾留されている間に欠勤になる点です。勾留期間の長さや連絡の有無によっては、会社規則に応じた処分(無断欠勤による解雇や降格など)がくだるリスクもでてきます。
旦那が直接会社に連絡することはできませんので、妻が会社への報告方法を弁護士と相談して対応します。
具体的には、病欠や有休の連絡を入れるほか、逮捕を理由に解雇できない旨を弁護士から会社側に伝えてもらうといった対応が考えられます。
3、まとめ
旦那が痴漢で逮捕されたとき、妻は迅速に弁護士と連絡をとり、できるだけ早期に身柄釈放を目指すことが大切です。旦那に代わり、家族を守るために妻が果たす役割は大きいと言えます。
旦那が逮捕というショッキングな出来事に精神的にも追いつめられるでしょうし、逮捕後の慌ただしさに、冷静に対処していくのはとても大変なことです。
自分一人で何とかしようとするのではなく、ぜひ早い段階でベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています