夫や未成年の息子が痴漢の冤罪で逮捕されたらどうすればいい?
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福岡市は福岡県の県庁所在地で、九州地方最大の政令指定都市です。人口も多く、経済や交通も発展している大都市で、海外からもたくさんの観光客が訪れ、活気がある街並みを形成しています。
そんな華やかな側面の一方で多くの犯罪が起こっており、痴漢事件も例外ではありません。しかし、痴漢犯罪は報道されているように、冤罪だったというケースもあります。
もし、あなたの家族、たとえば夫や未成年の息子が痴漢事件の容疑者として逮捕されてしまったら、あなたはどうしますか? 本人が言うとおり無罪であることを信じて適切な対処をしないでいると、有罪判決を受けて刑に服すことになりかねません。
ここでは、痴漢事件について、夫や息子が痴漢容疑で逮捕された場合に家族が取るべき行動を、福岡オフィスの弁護士が詳しく解説します。家族が逮捕されて「間違いに違いない」と信じている方は、ぜひ読み進めてください。
1、痴漢冤罪について
実は、痴漢冤罪をテーマにした映画が存在するほど、痴漢の容疑で無実の罪を着せられて逮捕され、有罪判決を受ける事例はかなりの件数が存在しているといわれています。
しかし、今もなお「痴漢くらい」と軽く見る方も少なくありません。それでも数々の冤罪事件をメディアが取り上げてきたことで痴漢冤罪が問題視されるようになりました。
冤罪をそのままに受け入れてしまうと、真の犯人が野放しになってしまうことも周知されつつあります。それに伴って「反論しても無駄だ」という風潮から「やっていないものはやっていない」と正当に無罪を主張する事件が増えつつあるようです。
2、痴漢事件はどのように処罰されるのか?
痴漢容疑で逮捕され刑事裁判で有罪判決を受けた場合、どのような罰を受けることになるのでしょうか?
痴漢を処罰する法律は2種類あります。
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(1)迷惑防止条例違反
まず、都道府県が定める「迷惑防止条例」の違反です。迷惑防止条例は各都道府県が独自に定めている条例ですが、東京都で先行して制定されたものをモデルに、全国に広まりました。
福岡市で痴漢事件が発生した場合、適用されるのは「福岡県迷惑行為防止条例」の第6条です。福岡県の迷惑防止条例では「卑猥な行為の禁止」の中で、わいせつな目的で他人の身体に直接または衣服の上から触れる行為を禁止しています。
これに違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられることがあります。 -
(2)強制わいせつ罪
痴漢を処罰するもうひとつの法律は刑法です。痴漢行為は「強制わいせつ罪」に該当する場合があります。
刑法第176条では、「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6ヶ月以上10年以内の懲役に処する」と規定しています。
迷惑防止条例違反との大きな違いは「暴行・脅迫を用いる」という部分ですが、これは「殴る・蹴る」などの暴力だけを指しているわけではありません。
被害者の抵抗をいちじるしく困難にする程度の行為であれば暴行となり、たとえば満員電車などの密閉した空間で執拗に身体を触り続けたり、下着の中に手を差し込み直接肌に触れたりするなどのわいせつ行為も、同時に暴行の一種とみなされる場合もあります。
これら2つの法律を比較すると、性的自由の侵害が軽いケースが迷惑防止条例違反、重いケースが強制わいせつ罪で処罰されると考えて、ほぼ間違いではありません。
3、痴漢容疑で弁護士を選任するメリット
ご主人や息子さんなど、家族が痴漢容疑で逮捕されたら、残された家族がまずやるべきことは「弁護士を選任すること」です。特に、無実の罪を着せられそうになっている場合は、弁護士のサポートがないと事態を覆すことが非常に困難になります。
ここでは、痴漢容疑で逮捕された場合に弁護士を選任するメリットを解説していきます。
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(1)自由に面会ができる
ドラマなどでは、警察に逮捕されて家族が面会に訪れるシーンがよく描かれています。
しかし、実際には被疑者と家族が面会するには制約があります。
まず、警察に逮捕されてしまうと、最初の48時間と検察庁が身柄拘束を継続するのかを判断する、最長24時間の合計72時間の間は、家族であっても面会が許されないケースがほとんどです。
また、引き続き身柄拘束が続くことが決定しても、事件の内容によっては「接見禁止」となり、面会の対象が制限される場合もあります。さらに、警察署での面会は決められた時間内に1日1回だけと決められています。
たとえば、家族が面会をしようと警察署を訪ねても、時間外なら取り次いでもらえません。また、すでに友人などがその日に訪ねていれば1日の回数制限によって面会を断られてしまいます。
このように、家族の面会には強い制限が設けられていますが、弁護士には面会の制限がありません。逮捕後の72時間以内でも面会ができますし、1日のうちにいつでも、何回でも面会することができます。
逮捕直後で心細い心境になっている夫や息子を法的にも精神的にもサポートできるのが弁護士なのです。 -
(2)早期釈放を目指すことができる
痴漢で逮捕されて警察と検察の取り調べの後、検察官が「さらに身柄を拘束する必要がある」と判断した場合は、検察官は裁判所に勾留請求をおこない、原則10日、延長によってさらに10日の最大20日間、身柄が拘束されることになります。
つまり、合計23日間もの間身体の自由が奪われることになります。長い身柄拘束が続けば、会社であれば長期欠勤によって解雇されてしまう懸念があります。学校でも長い欠席によって後の学生生活に大きな支障をきたすおそれがあるため、できる限り早く釈放されることが望ましいでしょう。
弁護士を選任すれば、なぜ勾留請求が許可されたのかを開示するよう求める「勾留理由開示請求」や勾留決定に対して不服申し立てをおこなう「準抗告」、勾留の取り消しを求める「勾留取消請求」などの手続きをおこなうことができます。
これらの請求によって、逮捕された家族の身柄拘束が解かれることもあります。さらには、検察庁や裁判所が勾留延長に対して慎重になるため、早期釈放につながります。 -
(3)無実の罪を晴らすことができる
痴漢事件の捜査は、基本的には被害者の供述をもとに進められます。ここに痴漢冤罪の根元があり、「被害者ひいき」ともいえるような判決によって多くの方が冤罪の苦痛を味わってきました。
最近の刑事裁判では、痴漢冤罪を防ぐために、被害者の供述だけに頼らず多角的な証拠をしっかりと検討するようになりました。弁護士のサポートがあれば、駅員や乗客への事情聴取、防犯カメラや乗車記録などの解析、DNA資料の鑑定依頼、当時の状況を再現した実験などをおこない、無実を証明する証拠を集めることができます。
「痴漢をしていない」ということを具体的に証明するための証拠を集めることが、痴漢冤罪を防ぐためには最良の手段なのです。
4、まとめ
ここでは、夫や息子などの家族が痴漢容疑で逮捕されてしまった場合に、痴漢冤罪を防ぐために家族が取るべき行動について紹介しました。
「痴漢などしていない」と主張する家族をサポートするには、法的・精神的な支えとなり、証拠の収集に長けた弁護士を選任することが大切です。また、逮捕・勾留が会社や学校などの社会生活に支障をきたさないように早期釈放を目指すためにも、一刻も早く弁護士を依頼することが重要になります。
家族が痴漢をしたと疑われてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスで相談してください。刑事事件に対応した経験が豊富な弁護士が冤罪を晴らすべく力を尽くします。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています