闇金に手を染め家族が逮捕された! 闇金に関わってしまった家族を助ける方法

2020年07月10日
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闇金に手を染め家族が逮捕された! 闇金に関わってしまった家族を助ける方法

平成30年2月の新聞報道によりますと、山形署は出資法違反(超高金利)の疑いで、福岡県の男ら3人を逮捕しました。福岡県内でも闇金の事件は後を絶ちません。

あなたの家族が突然、闇金の容疑で逮捕されたという知らせを聞けば、気が動転してしまうことでしょう。しかしながら、どれだけ真面目に通勤通学している方であっても、インターネットなどを通じて犯罪行為にかかわっていたというケースは少なくありません。「うちの人に限って……」ということも十分起こりうるのです。また、表向きは登録業者に見えていた勤務先が、違法な営業を行っている可能性もあります。

逮捕後の流れや、家族として知っておくべき対策について、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、闇金とは?

闇金融またはヤミ金融とは、貸金業法や出資法で定められた手続きや規制を行わずに金を貸す違法業者のことを指します

貸金業法は、貸金業を営む上で適正な運営の確保と、資金需要者等の利益保護、国民経済の適切な運営に資することを目的に定められているものです。国や都道府県への登録、金利の上限など、さまざまな手続きや規制が定められています。

闇金業者は、一般的な貸金業者では審査に通らない層などをターゲットに、弱みにつけこみ法定利息を超えた高い金利設定で貸金業を行っているようです。組織的な犯罪となることも多く、検挙された場合には、関係者への処罰も非常に重くなる可能性があります

2、闇金事件に関係する法令とその罰則

家族が逮捕され闇金の容疑者となったとなれば、どのような刑罰が科せられるのか心配になるところでしょう。事件の態様により異なりますが、闇金事件で主に関係する法令とその罰則について説明します。

  1. (1)貸金業法違反の罰則

    以下の違反行為をすると、貸金業法第47条により、10年以下の懲役もしくは3000万円以下の罰金、あるいはその両方が科されます。なお、法人の場合は、同法第51条により1億円以下の罰金が科せられます。

    • 不正の手段によって貸金業法第3条第1項の登録を受ける
    • 登録業者ではないものが貸金業を営む(貸金業法第11条)
    • 登録を受けた者が名義を貸して他人に貸金業を営ませる(貸金業法第12条)


    他、登録業者であって各種報告を怠る、業務改善命令を無視して営業した場合なども罪に問われます。

  2. (2)出資法違反の罰則

    貸し付けの際の金利については、出資法(正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」)で上限が定められています。

    出資法第5条第1項は、金銭の貸し付けを行う者が、年109.5%(うるう年については年109.8%とし、1日あたりについては0.3%とする)を超える割合による利息の契約を禁じており、違反すると、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金あるいは併科が科せられる可能性があります。

    同法第5条第3項では、金銭の貸し付けを行うものが「業として」上記の利息以上で契約することを禁じています。違反をすると、10年以下の懲役、もしくは3000万円以下の罰金あるいは併科となります。

  3. (3)組織犯罪処罰法違反の罰則

    組織犯罪として闇金融をしていた場合は、組織犯罪処罰法の適用も受けることになるでしょう。たとえ末端であったとしても、その活動の一部を担うだけでも罪に問われます

    同法第10条第1項では、犯罪収益を隠匿したものは、5年以下の懲役または300万円以下の罰金、または併科されます。同法第10条第3項では、第1項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

    闇金で得た違法な金銭を、他人名義の銀行口座に隠す行為なども、この罪に問われる可能性があります。口座売買なども、よく行われる手口です。

  4. (4)取り立てに関する違法行為の罰則

    また、借金の取り立てにおいて行きすぎた行為があれば、行為内容に相応の処罰を受ける可能性があるでしょう

    考えられる主な罪名と決定刑は以下のとおりです。

    • 脅迫罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)
    • 恐喝罪(10年以下の懲役)
    • 業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)
    • 住居侵入・不退去罪(3年以下の懲役または10万円以下の罰金)
    • 逮捕・監禁罪(3か月以上7年以下の懲役)
    • 名誉毀損罪(3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金)
    • 暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料)
    • 傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)


    複数の罪状に該当する場合、もっとも重い罪の1.5倍もの刑期が科される可能性があります。

3、逮捕された後の流れ

万が一、嫌疑がかかり逮捕された後はどのような処遇を受けるのでしょうか。一般的な流れを解説します。

  1. (1)逮捕からの取り調べ

    逮捕された場合、警察で48時間以内の取り調べを受けることになります。逮捕後は、原則として家族との面会が許されません。しかし、弁護士であれば自由な接見が可能です。

    ひとりで取り調べに対応をしていると、早く帰りたい一心でやってもいない罪を認めてしまう可能性もあります。自白は非常に強力な証拠となってしまうので、その後これを覆すことは非常に大変な労力を要します

    可能であれば、弁護士に相談しながら取り調べについてのアドバイスを受けることをおすすめします。この時点で容疑が晴れれば、嫌疑不十分として釈放される可能性があります。また、犯行内容によってはこの段階で微罪処分とされ、釈放される可能性もあります。

  2. (2)検察送致

    警察での48時間以内の取り調べ中に十分な証拠が集まった場合は、検察に事件を送致することとなります。以降の取り調べは検察に移ります。

    身柄ごと検察に送致された場合は、さらに24時間以内の取り調べを受けることになります。捜査状況や犯罪の性質、本人の認否によっては、釈放され在宅のまま取り調べを受けるケースもあります。その後、在宅起訴となることもあるでしょう。

  3. (3)勾留

    検察で24時間以内の取り調べでは十分でないと判断されると、さらに身柄を拘束しての取り調べをする「勾留(こうりゅう)申請」がなされます。裁判所から勾留が許可されると10日間身柄を拘束されます。組織的な犯罪や金融に関係する事件は捜査に時間がかかるケースも多く、延長申請が通れば最長で20日間にも及びます

    勾留が決まった後であれば、原則として家族も面会ができるようになります。
    ただし、接見禁止処分がついてしまうと、勾留決定後も面会が禁止される可能性があります。そのような状態であっても、弁護士であれば自由な接見が可能です。

  4. (4)起訴・不起訴の判断

    検察は勾留期間中に、事件を起訴するか不起訴処分とするか判断します。不起訴となれば、罪を裁かれることはありません。直ちに身柄は自由になり、前科もつきません。
    書類のみの簡易な裁判を行う、略式命令が下ったときは、罰金の支払いが命じられたらすぐに釈放となるでしょう。

    そのほかにも、一度釈放して捜査を継続したのちに、正式処分を決める処分保留というパターンもあります。

  5. (5)裁判

    起訴となった場合は、裁判となります。起訴後、保釈請求が認められれば身柄は解放されるでしょう。起訴からおおむね1か月後程度に裁判が始まることとなります。

4、闇金で逮捕されたときに弁護士に依頼するメリット

闇金で逮捕されたときに、ご家族にできる善後策としては、すぐに弁護士に相談することです。弁護士は逮捕直後から本人と接見し、その際に、取り調べの応対に関するアドバイスを行えます。

  1. (1)示談により解決できる可能性が高まる

    被害者が明確な場合は、弁護士を通じて勾留より前に示談交渉をまとめることで、長期の身柄拘束を回避する可能性が高まります。

    示談とは、事件当事者間で謝罪と賠償により問題の解決を図ることで、被害届などを取り下げてもらい刑事罰の回避を目指すものです。謝罪と賠償金の支払いや、被害者からの要望をくみ取って対応することとなります。その金額や内容の交渉は弁護士に依頼することで、被害者のお気持ちを刺激せずに交渉することができるでしょう

  2. (2)無実の罪で前科がつく可能性を防ぐことができる

    無実の罪であれば、なおさら、弁護士の力が不可欠です。
    かかわっていないことを示す証拠は、時間がたてばたつほど集めるのが難しくなります。身柄を拘束され動くことのできない本人に代わって、弁護士があらゆる手を尽くして情報や証拠を集め、捜査機関に意見書などを提出して早期釈放のために力を尽くします

  3. (3)釈放されるかどうかの判断に、有利になる

    もし罪を認める場合、釈放されるかどうかは、本人の身元引き受け体制がしっかりしているかどうかも判断されます。弁護士のサポートを含め、ご家族や職場・学校の受け入れ態勢が十分にあるのならば、その後の本人の反省と再犯防止につながるとして、釈放の判断に傾きやすくなるでしょう。

    早めの釈放、裁判で有罪になったとしても執行猶予の獲得、懲役刑の刑期を短くするなどの結果を得るためにも、早期に弁護士を依頼することをおすすめします

5、まとめ

闇金事件の場合は基本的に重い罪に問われる傾向があります。
そのため、弁護士によりしっかりと聞き取りを行い、対策を採る必要があります。

ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士にご相談ください。
刑事事件の中でも、金融にかかわる事件に対応した経験が豊富な弁護士が、しっかりとサポートして、ご家族のいち早い社会復帰のために力を尽くします。

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