オレオレ詐欺に手を染めてしまった! 受け子になったら逮捕されるの?
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福岡県内では偽電話詐欺事件が相次いでいます。息子を名乗るオレオレ詐欺や警察官をかたってだます手口で、平成30年の7月から約2ヶ月だけでも未遂も含めて63件も発生しており、被害額は約6000万円に上るという現状です。
もし、オレオレ詐欺の受け子として働いてしまったとしたら、逮捕されるのかどうかが気になるところでしょう。
そこで、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が、その点について解説していきます。詐欺行為にかかわってしまったことを後悔しているのなら、まずは今後どうすべきか、ぜひ弁護士に相談してください。
1、オレオレ詐欺とは
「オレオレ詐欺」とは振り込め詐欺の一種で、「特殊詐欺」と呼ばれるものです。
電話、ファクス、メールなどで不特定の相手をだます詐欺のことを指します。
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(1)オレオレ詐欺の受け子とは?
特殊詐欺に分類される詐欺行為の一例としては、「振り込め詐欺(オレオレ詐欺)」や還付金詐欺などが有名でしょう。ほかにも架空金請求詐欺や融資保証金詐欺と呼ばれるものもありますが、いずれも最終的にはお金をだまし取ろうとするものです。
これらの特殊詐欺は、多くが首謀者の指示によって、電話をかける「かけ子」、振り込ませたお金を口座から引き出す「出し子」などと役割を分担し、組織的に行われています。その中でも、被害者と接触して現金を受け取る役のことを「受け子」といいます。
アルバイト感覚や、先輩に断れず手を染めてしまう若者も多いようです。もちろん首謀者が主犯格となりますが、立派な犯罪です。 -
(2)オレオレ詐欺の受け子の罪状は?
「受け子」や「出し子」「かけ子」は、首謀者が誰かも知らないというケースも多い、末端の役割であるとされています。しかし、詐欺行為に手を染めたことには変わりなく、オレオレ詐欺の「かけ子」「受け子」は詐欺罪の共犯者という扱いになります。有罪となれば刑法で定められたとおりの刑罰が科されることになります。
詐欺罪とは刑法第246条第1項で規定される詐欺行為で、「人を欺いて財物を交付させ」ることと法文で示されています。 -
(3)オレオレ詐欺の受け子の量刑は?
オレオレ詐欺の「受け子」の特徴としては、警察に捕まるリスクがもっとも高い役割というのがあげられます。そのような立場でありながらも、詐欺グループの中でも報酬も少なく、いいように利用されているという立場でしょう。
しかし、組織の末端である受け子についても、前述のとおり警察・検察・裁判所のいずれもが厳しく処罰することを覚えておいてください。それまで前科前歴がないにもかかわらず有罪判決が下りてしまうケースも少なくありません。
「詐欺罪」で有罪となれば、10年以下の懲役に処されます。
なお、実際にお金などをだまし取れなくても、「未遂罪」として同様の処罰を受ける可能性がある点にも注意が必要です。
2、オレオレ詐欺の受け子で逮捕されたときの流れ
オレオレ詐欺の受け子として逮捕されると、「被疑者」として警察署での取り調べが行われます。
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(1)オレオレ詐欺の裁判までの流れ
警察は、逮捕から48時間以内に、事件や被疑者の身柄を検察官に送致するか否かを判断します。ここで検察官に送致されなければ、釈放となります。
送致を受けた検察官は、送致から24時間、逮捕から72時間以内に「勾留(こうりゅう)」を行う必要性を判断します。もし、共犯者が逮捕されないなどの状況があれば、裁判所へ「勾留請求」が行われる可能性が高いでしょう。
裁判所が勾留を認めれば10日間、最長20日間ものあいだ、留置場もしくは拘置所で生活することになります。取り調べの結果、起訴されれば約1ヶ月後に刑事裁判が開かれます。
振り込め詐欺のような特殊詐欺は、多くが組織ぐるみで行われる犯罪であり、被害者が複数人に及ぶことが多いという特徴があります。そのため、逮捕された後はそのまま勾留され、起訴された後も保釈がすぐ認められないケースが少なくないでしょう。 -
(2)保釈について
勾留されたまま起訴された場合には、そのまま身体は拘束され続けます。
しかし、起訴後、保釈請求を行うことができます。保釈が認められれば一定の保釈保証金を支払うことで一時的に帰宅が可能です。
ただし、「お金を払いさえすれば保釈が認められる」というものではありません。
罪の内容に応じて、逃亡の恐れや証拠を隠滅する恐れなどがないことを主張して、裁判所に認めてもらう必要があります。もし認められなければ、裁判が終了するまで勾留され続ける可能性が高いと考えられるでしょう。 -
(3)不起訴について
不起訴は、取り調べののち、「嫌疑不十分」「起訴猶予」のいずれかに該当したケースを指します。不起訴となれば、裁判にかけられることも刑罰を受けることもないため、前科もつきません。
しかし、オレオレ詐欺の場合、警察や検察は社会問題であり重大な犯罪と考えてられています。たとえ被害者との間で示談が成立したとしても、起訴猶予になる可能性は低いと考えられます。もし不起訴を目指すのであれば、被疑者に嫌疑がないこと、あるいは嫌疑が不十分であることを主張していく必要があるでしょう。 -
(4)執行猶予について
オレオレ詐欺罪で起訴されて刑事裁判になっても、執行猶予になる場合があります。
オレオレ詐欺事件の結果が軽微で、行為が悪質でないケースであり、初犯であれば執行猶予になる可能性があります。
しかし、結果が重大で行為も悪質な場合、執行猶予にならず、初犯でも実刑になるケースも少なくありません。執行猶予付き判決を得るためには、詐欺事件の被害者に謝罪と賠償を尽くし、示談を成立させることが重要です。
3、オレオレ詐欺の受け子の場合、弁護士ができること
不起訴や執行猶予付き判決を目指すのであれば、弁護士による弁護活動が必要不可欠です。弁護士ができることや、依頼するメリットについて解説します。
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(1)逮捕直後
逮捕直後から、少なくとも48時間の間は、身内の方が逮捕された本人と接見(面会)することができないケースがほとんどです。
しかし、弁護士であれば逮捕直後であっても自由な接見が認められています。
しかも、勾留中は面会や手紙のやりとりができることが原則ですが、オレオレ詐欺の場合、証拠隠滅の恐れがあるとみなされると、裁判所が弁護人以外の者との面会、手紙のやりとりさえ禁止する決定をすることがあります(接見禁止処分)。
オレオレ詐欺は、逮捕されていない者も含めた多数の人物が関与している可能性が高い、組織的な犯罪です。口裏合わせなど証拠隠滅の恐れがあるため、接見禁止となることもあるでしょう。
弁護士を依頼することで、家族とのやりとりができるだけでなく、早期に弁護活動を着手できます。勾留を回避できる可能性も見いだすことができるかもしれません。 -
(2)示談の重要性
被害者がいる刑事事件において、警察や検察は「被害者の処罰感情」を非常に重視します。そこで、被害者との間で示談を行い、損害賠償を行うとともに被害者から処罰を望まないなどの言葉をもらうことを目指すことになります。
示談が成立すれば、通常は被疑者が罪を認めて反省し、賠償を行ったこととみなされます。被疑者が処罰を望まなければ、証拠隠滅や被害者やその親族を脅迫するなどの恐れがなくなると考えられるため、勾留や執行猶予がつかない判決が下ることを回避できる可能性が高まります。 -
(3)弁護士に依頼するタイミング
弁護士への依頼は、できるだけ早いタイミングで行うことをおすすめします。
前述どおり、逮捕後すぐは弁護士しか接見できない時間があります。早期に弁護士に相談することによって、適切に刑事手続きを進行させるためのアドバイスが得られます。弁護士に依頼しないまま、警察官や検察官などに従って「調書」に署名、指印をしてしまい、裁判で不当に重い罪に問われてしまうケースもあります。
弁護士のアドバイスを受けて、認めるべきところ、否定すべきところを話し合っておくことが、のちの人生を左右すると言っても過言ではないでしょう。
特にオレオレ詐欺罪の場合、詐欺行為を否認するために「だますつもりがなかった」ことを主張すべきケースも想定できます。そのため、あらかじめ「取り調べの適切な対応方法」を知っておくことは非常に大きなカギを握ることになります。
弁護士に依頼して早期に的確な法律相談を受けることで、不利益を回避することができるでしょう。
4、まとめ
たとえ、軽い気持ちでオレオレ詐欺の受け子となったとしても、詐欺罪として罪に問われる可能性があります。多くが長期にわたり身柄を拘束されることになり、日常生活への影響を否定できません。早めに弁護士に相談いただくことで、少しでも不当に重い罪を科せられてしまう事態を回避できると考えられます。
もしも、オレオレ詐欺の受け子の容疑で逮捕されるようなことがあれば、すぐにベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士へ相談してください。
刑事弁護に対応した実績が豊富な弁護士が、適切なアドバイスを行います。
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