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運送業、長距離ドライバーには休みがない? 未払い残業代の請求方法

2022年04月12日
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運送業、長距離ドライバーには休みがない? 未払い残業代の請求方法

「平成 28 年経済センサス-活動調査結果概要(福岡市)」によると、福岡市内には、1611もの「運輸業、郵便業」の事業所が存在しています。物流がビジネスや生活を支えていることから、業務を止められず、結果、長距離トラック運転手の労働時間が長時間に及ぶケースがあるようです。休みといえる休みがなく、実質トラックに乗りっぱなしのような状態に陥っている方は多いのではないでしょうか。

それでも、ドライバーの中には、長時間労働に見合う残業代の請求を諦めてしまっている運転手がたくさんいます。しかし、労働基準法などでは、長距離トラックのドライバーであっても、当然、休みは適切にとるよう規定されていますし、残業代も適切に支払われるよう規定されています。そこで本コラムでは、福岡オフィスの弁護士が長距離トラック運転手の残業代請求方法を詳しく解説します。

1、長距離ドライバーには休日がない?

長距離ドライバーには休日がない?
  1. (1)長距離ドライバーの労働規定は特殊なのか

    トラック運送業のドライバーは、拘束時間が長く休みが非常に少ないように見えるだけでなく、残業代の未払いが多いといわれる業界です。これは、トラック運送業界においては、長距離のトラック運転手は仕事の性質上長時間労働は当たり前、残業代を請求することはおこがましいという風潮があることによるのではないかと考えられます。

    しかし、厚生労働省は、トラック運転者の労働時間等の改善を図るため、労働大臣告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下、「改善基準告示」といいます。)を策定しています。

    具体的には以下の通りです。
    ●拘束時間
    拘束時間とは、始業から終業までの時間すべてを指します。ここには、実労働時間も休憩時間も含まれます。なお、休憩時間とは、労働者が持ち場を離れても問題なく、使用者の指揮命令下からまったく自由になれる時間を指します。たとえば、「休憩時間中に電話番をするよう上司に言われたので事務所で待機した」、「荷待ち時間のあいだに食事をした」などのケースは、法律上休憩をしたとはいえません。これらはすべて労働時間となります。

    そのうえで、1か月の拘束時間の限度は、原則として293時間と定められています。ただし、労使協定を締結している場合は、1年のうち6か月まで1か月の拘束時間を最長320時間まで延長することが可能です(1年の拘束時間が3516時間を超えない範囲)。なお、1日の拘束時間の基本は、13時間以内です。拘束時間を延長する場合でも、16時間が限度と規定されています。

    ●休息時間
    休息時間とは、勤務と次の勤務のあいだの時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとってまったく自由な時間を指します。

    ●運転時間の限度について
    さらに、厚生労働省は、2日間の運転時間を平均した1日あたりの運転時間について9時間を限度としており、2週間の運転時間を平均した1週間あたりの運転時間44時間を限度としています。

    また、連続運転時間は4時間が限度とされています。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に運転を中断して30分以上の休憩等を確保しなければなりません。

    一部特例として、分割休息や2人勤務についての定めはありますが、厚生労働省が公表する改善基準のポイントを考慮してシフトを組んでいれば、休日がない、休む時間がない、まったく仕事をしない日はほとんどない、などということは当然発生しえない、ということになります。

  2. (2)法律上でも休日は決まっている!

    そもそも、労働基準法35条1項において、使用者は労働者に対して「毎週少なくとも1回の休日」を与えなければならないと規定しています。同時に、労働基準法35条2項によれば、4週のあいだに4日以上の休日がある場合でも問題ないとされています。この大前提は、運送業者であっても、長距離ドライバーであっても、企業に雇用された労働者であれば、関係なく適用されます。

    改善基準告示によれば、トラック運転手の場合、休息時間と合わせて24時間を超える連続した時間が休日になることが定義されています。しかも、「いかなる場合においても」、という非常に強い言葉を用い、休日は30時間を下回ってはならないとされています。そうすると、休息期間は原則として 8 時間確保されなければならないので、休日は、「休息期間 8 時間+24時間=32時間」以上の連続した時間となります。

    なお、適切に法定休日を与えていなかった会社に対しては罰則が定められていて、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

  3. (3)手待ち時間は休憩に入るのか?

    荷待ち時間が実質休憩のような扱いになっている、というケースは少なくないようです。しかし、厚生労働省では、トラック運転手の労働時間には、運転や整備、荷扱いといった作業時間だけでなく、荷待ち時間などの手持ち時間も労働時間に含まれることが明記されています。

    なぜなら、労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいうところ、荷積み先ないし荷卸し先の担当者から携帯電話等で連絡があればすぐにトラックを動かさなければならない手待ち時間は、労働者は業務から完全に解放されておらず、使用者の指揮命令下にあるといえるからです。

    そのため、たとえば、このような手待ち時間中に、労働者がトラックを離れる時間があったとしても、これをもって休憩時間であると評価するのは相当ではないと考えられています。

    もし、手待ち時間は労働時間に入らないと会社から説明されている場合は、適切な残業代を支払ってもらえていない可能性が高いでしょう。

    以下のような状況に陥っているときは、まずは給料明細を確認してみてください。適切な手当てがついていないようでしたら、弁護士や労基署で一度相談したほうがよいでしょう。
    ●8時間を超えて日々労働しているのに、残業代が一切つかない
    ●24時間連続した休みさえもらえていない
    ●頻繁に休日出勤がある(ただし、本来、会社が従業員に対して命じられる休日出勤の限度は、2週間に1回に限られます)
    ●長時間労働が続いている、もしくは、休日出勤をしているにもかかわらず、受け取れる給料の金額がずっと変わらない

2、トラック運送業界で残業代の支払いが拒まれやすい理由

  1. (1)労働時間を正確に把握しづらい

    長距離トラック運転手に対しては、労働時間に見合う残業代が支払われていないケースが多くみられます。運転手の方がご自身や周りの運転手についてみた場合、誰も残業代をもらっていないということはよくあるのではないでしょうか。

    特に長距離トラック運送業のドライバーの場合、長距離運送業という職種の特殊性によって、残業代の支払いを求めても拒まれてしまう可能性が考えられます。早朝勤務や深夜勤務があるなど勤務時間もバラバラであるうえ、荷待ち時間も発生するため、運転手自身や会社が労働時間を正確に把握することが難しくなる傾向があるためです。

    そもそも会社としても、正確な残業代の金額を計算しづらいという背景があることから、長距離トラック運送業界では残業代が支払われないというケースが多くみられるのでしょう。

  2. (2)会社側が主張しがちな残業代を支払わない理由

    特に長距離トラック運送業においては、その性質上労働時間が長くなることが想定されています。

    しかし、会社としては、労働時間に見合った残業代を適切に支払っていては人件費がかかりすぎるので、少しでも人件費を削りたいと考えるのかもしれません。そのため、運転手が会社に残業代を請求した場合、会社からは以下のような反論がなされることがあります。

    しかし、いずれも違法となっている可能性があるので、ご自身がどのような労働契約をしているのか、実際にどのように支払われているのかについて確認したほうがよいでしょう。

    ●残業代は固定の給与に含まれている
    確かに、残業代を固定の給与に含めること自体は可能です。しかし、そのためには、残業代を固定の給与に含めることを会社の就業規則等により従業員に周知しておく必要があります。

    また給与のうち、どの部分が基本給にあたり、どの部分が残業代になるのかを明確に区別しておかなければなりません。さらに、残業代として明示されている金額が労働基準法の規定から算出される金額に満たない場合には、その差額分についても、賃金の支払時期に清算するという合意が存在するか、あるいは少なくとも、そうした取り扱いが確立している必要があります。

    ●歩合制だから残業代が出ない
    次に、「歩合制を採用しているので、残業代が出ない」という主張です。完全歩合制度においては、労働時間にかかわらず売り上げによって賃金が決定されることが多いものです。このため、いくら残業をしても賃金は支払われず、このような主張がなされることがあります。

    しかし、歩合制が採用されている場合であっても、労働時間に見合った残業代を支払わなければならないのは当然のことであり、残業代の請求は可能です。歩合制を採用しているということだけで残業代が支払われないということはあり得ません。

    歩合給制を採用している場合の残業代の計算方法は、月給制の場合の残業代の計算方法とは異なりますので注意が必要です。具体的には、基礎賃金の算定の仕方が異なり、月給制の場合の基礎賃金の算定は固定給を所定労働時間で割って算出しますが、歩合給の基礎賃金は当月の歩合給を当月の総労働時間数で割って算出することになります。

3、運転手事故後の労災保険申請時に残業代の不払いが発覚することが多い

運転手事故後の労災保険申請時に残業代の不払いが発覚することが多い

長距離トラック運送業界においては、運転手が労働時間に見合った残業代を支払われていないケースは少なくないようです。それが正当化されている空気感があれば、それが当然と考え、支払われていない賃金があることに気が付かないのかもしれません。その結果、労働者本人が、自分が違法な状態で働かされているという事実を知らず、心身を疲弊させているというケースは多いでしょう。

そのためか、これまで残業代の不払いが発覚する多くのケースは、長時間労働を強いられ続けた運転手が交通事故を起こしてしまったのち、労災保険を申請する際に発覚するというものでした。

もちろん、事故後に残業代の不払いが発覚した場合、会社や社長等が罪に問われることはあります。それでも、社長らに科される刑罰は、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と定められています。不当な長時間労働がたたったせいで重大な事故を起こし、一生十字架を背負わなければならなくなってから、会社や社長等が何らかの刑罰を受けとしても何の解決にもならないはずです。

何のプラスにもならない長時間労働により心身を疲弊させたり、交通事故を起こしたりしてしまう前に、まずはご自身の労働環境は本当に適正なのか、確認してみてください。適切な労働環境を整えるためにも、トラック運転手自ら、事故を起こす前に、労働時間に見合った残業代を請求する必要があるのです。

4、残業代を請求するための証拠

それでは、いざ長距離トラック運転手が残業代を請求しようとした場合、どのようなものを証拠にすることができるのでしょうか。

証拠としては、以下のようなものが考えられます。

  • 業務日報・運転日報、週報
  • 配車票
  • タコグラフ(デジタコデータ)
  • ドライブレコーダーの記録
  • タイムカード
  • 業務報告や業務指示が記載されたメールやLINE
  • 会社の携帯電話による発着信記録
  • 配送時刻に関する記録
  • アルコール検知記録(アルコール検知記録には、時刻が記録されています)
  • 手帳、メモ
  • 就業規則、雇用契約書、労働条件通知書等


自分で作成した手帳やメモも、証拠にすることができます。 特に、会社がタコグラフの電源をオフにしてきた場合などには、自分でしっかり記録をつけておきましょう。

5、残業代請求の手順

残業代請求の手順
  1. (1)証拠を集めて未払い分の残業代がいくらあるのか計算する

    長距離トラック運転手が会社に残業代請求を行うときには、まずは上記のような証拠を集めて残業代の計算を行う必要があります。

    そのうえで、会社に対し、残業代請求の通知書を送ります。

  2. (2)内容証明郵便を使って請求する

    通知書は、通知日時などが明記され、公的にも記録される内容証明郵便を使用することをおすすめします。未払いの残業代を請求する場合には時効があるため、もし「届いていない」と会社が主張した場合、時効を迎えた分を受け取ることができなくなるためです。内容証明郵便の作成方法がわからない場合には、弁護士に相談してください。

    ●残業代請求権の時効に要注意
    賃金の支払い請求権の時効期間は「2年」でしたが、令和2年4月1日以降は民法改正の影響で「3年」に延長されていることにご注意ください。

    時効期間が経過すると、請求できる未払い残業代が時間の経過とともに1か月分ずつ減少していってしまいます。悩んでいると損をしてしまいますので、早めに請求しましょう。

    いきなり訴訟を提起することも時効の完成を止めるためのひとつの手段ではありますが、訴訟は費用も時間もかかります。そこで、裁判外の交渉として、内容証明郵便等の書面により会社に対し未払い残業代を請求することで、その書面が会社に到達してから6か月間は時効の完成が猶予されます。そのため、まずは裁判外交渉をするのもひとつの手です。

  3. (3)話し合いを進める

    会社とのあいだで話し合い、その内容について合意できれば、合意書を作成したうえで合意した金額の残業代を支払ってもらうことになります。一労働者個人による請求に対して真摯に対応してくれる会社であれば、すでに適切な法対応がなされている可能性が高いです。さほど大きな額ではないケースは多く、スムーズに未払い分を支払ってくれるでしょう。

    請求をしても無視をする、支払わない理由だけを述べる、さらに不当な業務条件を言い渡すなど、真摯な対応が難しい会社の場合は、弁護士に対応を依頼してください。依頼を受けた弁護士は、通常、内容証明郵便を発送したのち、直ちに会社とのあいだで未払い残業代支払いについての話し合いを開始します。

  4. (4)話し合いで合意できない場合

    当事者間で合意に至らない場合には、労働審判手続に移行することが多いでしょう。

    労働審判とは、労働に関する労使間のトラブルについて、原則として3回以内の期日で結論を出すという、簡易的な裁判手続きです。労働審判は、労働審判官(裁判官)と労働審判員(非常勤の民間の裁判所職員)2名で構成される労働審判委員会によって審理されます。

    労働審判の第1回期日において、労働審判委員会から、労働者使用者双方に対してさまざまな質問がなされます。そのうえで、基本的には話し合いによる解決(調停)が図られ、合意が得られない場合には労働審判委員会から解決案が提示されます(審判)。

    迅速かつ柔軟な解決が図られますので、労働者使用者双方にある程度の譲歩が求められるのが一般的です。そのため、未払い残業代を満額回収できるとは限りません。

    労働審判手続を利用しても、双方が納得できる、解決ができない場合には、訴訟によって残業代を請求することになるでしょう。

    労働審判であれ訴訟であれ、法的な知識がない方がご自身で対応することは難しいものです。弁護士に委任することをおすすめします。

6、残業代請求を弁護士に依頼するメリット

残業代請求を弁護士に依頼するメリット
  1. (1)残業時間や未払い分の残業代を正確に計算できる

    まず、弁護士であれば、上記のような証拠を入手できれば、実際の労働時間に見合った残業代を正確に計算することができます。

    残業代計算の作業はかなり煩雑で、複雑になることもあります。特に、長距離トラック運転手は実労働時間を把握することが困難であるうえ、賃金規定の解釈も煩雑であることも多く、ご自身で計算することは難しいように思われます。

    弁護士に任せることが、正確な残業代を把握するための最善の方法だといえるでしょう。

  2. (2)弁護士に対しては会社も真剣に対応する

    長距離トラック運転手に限らず、労働者がご自身で残業代を請求する場合、会社から黙殺されたり、不誠実な対応をされたりしてしまうことがあります。ひどいケースでは残業代を計算するための証拠を隠されてしまうこともあります。

    しかし、弁護士を介して残業代を請求する場合、通常は会社側も弁護士に委任して対応することになるため、上記のような対応をされることはなくなります。

  3. (3)スムーズに裁判所での手続きを進められる

    弁護士に任せれば、労働審判や訴訟などの裁判所における手続きを利用するときにも、安心だといえます。証拠となる資料集めや書類の作成、労働審判等の申立てやその後の手続きをすべて弁護士が行うことになるので、弁護士との打ち合わせを除けば、労働者は手間をかける必要がほとんどありません。

    また、当然ながら、弁護士であれば、法律の専門家として適切な主張や立証を行うことが可能です。

    さらに、裁判所から、会社が残業代を支払うべきである旨の判断が出されたにもかかわらず、会社が残業代を支払ってくれない場合には、会社の土地建物や車両等を差し押さえ、強制的に残業代を回収していくことも可能となります。

7、まとめ

未払いとなっている残業代を請求する場合には、ご自身で会社に対して請求されるよりも、専門家である弁護士に任せた方が有用です。ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスには、残業代請求問題についての知見が豊富な弁護士が常駐しています。

残業代の請求には時効がありますので、残業代の請求をお考えである場合には、どうぞお早めにベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士にお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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