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定款を紛失した場合の対処法を弁護士が解説

2024年02月15日
  • 一般企業法務
  • 定款
  • 紛失
定款を紛失した場合の対処法を弁護士が解説

定款は、会社にとってもっとも重要な社内規程です。株式会社は定款を本店・支店に備え置くことが義務付けられており(会社法第31条第1項)、株主の請求があれば定款を閲覧させなければなりません(同条第2項)。

したがって、定款を紛失することは厳に避けるべきですが、万が一定款を紛失した場合には再作成等の対応を速やかに講じましょう。

今回は、定款を紛失した場合の対処法などをベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、定款を紛失した場合の対処法

会社の定款を紛失した場合の対処法は、原始定款と現行定款で異なります。

  1. (1)原始定款を紛失した場合の対処法

    「原始定款」とは、会社を設立した当初に定めた定款です。金融機関における口座開設手続き等の際には、原始定款の提出を求められることがあります。

    原始定款を紛失した場合、その内容を証明するためには、以下の方法が考えられます。

    1. ① 定款認証を受けた公証役場に謄本の交付を申請する
      株式会社を設立する際には、公証役場で原始定款の認証を受ける必要があります。
      定款を認証した公証役場では、認証後20年間は原始定款の原本が保管されており、謄本の交付請求が可能です。
      なお、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の場合は定款認証が不要とされているので、公証役場に原始定款の謄本交付を請求することはできません。

    2. ② 会社設立業務を依頼した専門家に確認する
      会社設立業務を依頼した専門家(弁護士・司法書士・行政書士・税理士など)は、原始定款の謄本などのデータ(書面)を保管している可能性があります。

    3. ③ 法務局に閲覧を請求する
      会社設立の登記申請を行う際には、法務局に原始定款の写しを提出します。
      法務局では、会社設立後5年間は原始定款の写しが保管されており、会社代表者などはその閲覧を請求することが可能です。

    4. ④ 提出先に相談する
      上記のいずれの方法も奏功しない場合は、原始定款ではなく現行定款を提出することで済ませられないか、提出先(金融機関など)に相談しましょう。きちんとした手続きを踏めば、現行定款の提出も認められる可能性があります。
  2. (2)現行定款を紛失した場合の対処法

    「現行定款」とは、現在有効な会社の定款です。原始定款と同一の場合もありますが、一度でも改定が行われていれば、現行定款と原始定款の内容は異なります

    現行定款は、公証役場における認証や法務局への提出が不要とされています。したがって現行定款については、公証役場に対する謄本交付請求や法務局に対する閲覧請求を行うことはできません。

    現行定款を紛失した場合の対処法は、おおむね以下の2通りです。

    1. ① 顧問先等の専門家に確認する
      顧問先の専門家(弁護士・税理士など)や、会社に関して何らかの業務を依頼したことのある専門家は、現行定款のデータを保有している場合がありますので確認してみましょう。

    2. ② 定款を再作成する
      原始定款とは異なり、現行定款は株主総会決議によって再作成することができます。現行定款を紛失した際には、次の項目で紹介する手続きに従い、定款を再作成することもひとつの選択肢です。

2、定款を再作成する際の手続き

定款を再作成する際の手続きは、以下のとおりです。



  1. (1)最新の定款または原始定款の内容を把握

    定款を再作成する場合、基本的には最新の定款(現行定款)の内容をベースとすべきです。顧問先の専門家などに確認して、現行定款の内容把握に努めましょう。

    どうしても現行定款の内容がわからない場合は、原始定款をベースに再作成することも考えられます。その場合は、前述の方法によって原始定款の内容を把握しましょう。

  2. (2)会社の実態に沿った定款内容を検討

    再作成する定款の内容は、会社の実態に沿ったものとする必要があります。現行定款や原始定款をベースとする場合でも、その内容をすべて維持してよいのかどうか、現在における会社の実態を踏まえて慎重に検討しましょう。

    特に、現行定款の内容も原始定款の内容もわからない場合は、再作成する定款の内容を一から検討するほかありません。どのような内容の定款とすべきか、弁護士などのアドバイスを求めることをおすすめします

  3. (3)定款変更に関する取締役決定(または取締役会決議)

    再作成する定款の内容が固まったら、定款変更についての機関決定を行います。

    定款変更の議案を株主総会に提出するのに先立って、当該議案について取締役決定を行いましょう。取締役会設置会社の場合は、取締役会決議によって定款変更議案を決定します。

    なお、持分会社の定款変更は、原則として総社員の同意によって行います(会社法第637条)。ただし、定款に別段の定めがある場合には、その手続きに従って定款変更を行います。

  4. (4)定款変更に関する株主総会特別決議

    株式会社における定款変更は、株主総会の特別決議によって行います(会社法第466条、第309条第2項第11号)。

    <特別決議の成立要件>
    1. ① 定足数
      議決権を行使できる株主の議決権の過半数
      ※3分の1以上の割合を定款で定めた場合、その割合以上

    2. ② 賛成数
      出席株主の議決権の3分の2以上
      ※3分の2を上回る割合を定款で定めた場合、その割合
  5. (5)変更登記の申請(登記事項を変更する場合のみ)

    定款変更によって会社の登記事項(会社法第911条3項、第912条~第914条)を変更する場合には、株主総会決議による変更後2週間以内に、本店所在地において変更登記を申請しなければなりません(会社法第915条第1項)。

    会社の登記事項の内容は、全部事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば確認できます。再作成する定款の内容と比較して、変更登記を申請する必要がないかどうかを確認しましょう。

3、定款に関するその他の問題に関するQ&A

会社の定款について、企業経営者の方からよくご相談いただく以下の2点について回答します。



  1. (1)会社が定款に違反したらどうなる?

    会社(経営者)が定款に違反する行為をした場合、以下のペナルティが課される可能性があります

    1. ① 会社に対する任務懈怠責任(会社法第423条第1項)
      役員としての注意義務に違反して(任務を怠って)定款違反を見過ごした場合、それによって会社に生じた損害を賠償しなければなりません。

    2. ② 第三者に対する損害賠償責任(会社法第429条第1項)
      定款違反を見過ごしたことにつき、役員に悪意または重大な過失があった場合、それによって第三者(株主・取引先・債権者など)に生じた損害を賠償しなければなりません。

    3. ③ 株主等による差止請求
      会社や役員が定款に違反する行為をした場合、株主や監査役などの役員により、当該行為の差止めを請求される可能性があります(会社法第385条第1項など)。

    4. ④ 株主総会決議の取消し
      株主総会の招集手続き・決議方法・決議内容が定款に違反する場合、株主総会決議の取消事由に該当します。
  2. (2)定款に事業目的を追加する方法は?

    会社が新規事業を開始するなどの理由で、定款に事業目的を追加したい場合には、以下の手続きをとる必要があります

    1. ① 定款変更に関する取締役決定(または取締役会決議)
    2. ② 定款変更に関する株主総会特別決議
    3. ③ 変更登記の申請
    ※持分会社の場合、①②に代えて総社員の同意(または定款に定める手続き)


    会社の目的は登記事項とされているため(会社法第911条第3項第1号、第912条第1号、第913条第1号、第914条第1号)、法務局での変更登記申請が必要となる点にご注意ください。

4、中小企業は顧問弁護士への依頼がおすすめ

企業はその規模の大小を問わず、会社法その他の法令を順守しなければなりません。

コンプライアンスを徹底するためには、法的知識を備えた担当者を雇用することが理想ですが、中小企業ではその余裕がないケースも少なくないでしょう。その場合は、顧問弁護士との契約をおすすめします。

顧問弁護士は、法律家としての知識と経験を裏付けに、クライアント企業をさまざまな角度からサポートします


ベリーベスト法律事務所では、月額3980円からの顧問弁護士サービス「リーガルプロテクト」をご用意しています。

これから成長を目指す中小企業は、安定した成長基盤を整えるためにも、顧問弁護士との契約を積極的にご検討ください。

5、まとめ

原始定款を紛失した場合は、認証を受けた公証役場に謄本交付を請求するか、または法務局に写しの閲覧を請求しましょう。会社設立を依頼した専門家がいれば、原始定款のデータを保管しているかもしれません。

現行定款を紛失した場合は、会社法上の定款変更手続きに従い、定款の再作成を行いましょう。定款変更には複雑な手続きが必要になるため、弁護士へのご相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスでは、企業法務に関するご相談を随時受け付けております。顧問弁護士をお探しの場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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