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酒に酔って記憶がない! 飲酒時におこした事件でも暴行罪は成立する?

2020年08月14日
  • 暴力事件
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酒に酔って記憶がない! 飲酒時におこした事件でも暴行罪は成立する?

福岡市は有数の歓楽街である天神・中洲を抱えているため、飲酒のうえでの暴行トラブルも少なくありません。平成30年には、福岡市中央区にある飲食店の店員に暴行を加えた男が暴行の疑いで逮捕されました。以前の利用時に店舗に迷惑をかけて出入り禁止にされた経緯があり、腹いせに店長の頭をたたいた罪で逮捕されましたが、逮捕当時、男は酒に酔っていたそうです。

もし飲酒のうえで他人に暴行を加えた場合、逮捕されてしまうのでしょうか? 酒の勢いで暴行を加えてしまった場合や、深く酒に酔っていて記憶にないような場合でも、やはり同じように罪に問われるのでしょうか?
暴行罪と飲酒の関係について、福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、酒に酔って記憶がなくても暴行罪は成立する?

芸能人やスポーツ選手などの有名人が「酒に酔って暴行を加えた」というニュースが報道されることがあり「あの人が?」と驚かされることも珍しくありません。
飲酒のうえで暴行事件を起こしたあとの謝罪会見などでよく耳にするのが「当時は酒に酔っていて記憶がない」と釈明するシーンです。酒の勢いで起こした暴行事件では、加害者である本人でさえ「よく覚えていない」といったケースが少なくありません。

記憶がなくなるほど酒に酔った状態では、意図的とはいえないようにも思えますが、この場合でも暴行罪に問われてしまうのでしょうか?

  1. (1)暴行罪とは?

    暴行罪は、刑法第208条に規定されている犯罪です。
    条文では「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」に暴行罪が成立するとされています。

    暴行罪が成立するのは、人の身体に対して、不法な有形力の行使があった場合です。
    殴る・蹴るといった暴力行為はもちろん、胸ぐらをつかむ行為や背中を押す行為でも暴行罪が成立することがあります。また、人に塩を振りかける行為や、耳元で大きな音を出す行為でも暴行罪が適用された例があり、非常に広い範囲の行為が処罰の対象となります。

    暴行罪が成立するには「故意」であることが必要です。単純にいえば「わざと」であれば暴行罪が成立するため、たとえば腕を振り上げたところ偶然にも身体に当たってしまったようなケースは罪に問われません。

    暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または勾留、もしくは科料です。ほかの刑法犯と比べると軽く感じられますが、たとえ軽くても有罪判決が下されれば前科になるため、決して軽視はできません。

  2. (2)酒に酔った状態も「故意」と判断される

    暴行罪の成立には「故意」であることが必要ですが、記憶がなくなるほどに酒に酔っていたのであれば故意とはいえないようにも感じられます。刑法には、酒に酔っていた場合でも刑事責任を負うのかについての明記はありません。ただし、民法の「責任能力」に関する規定を読み解くと、法律の考え方が理解できるでしょう。

    民法第713条では「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態になる間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない」と明記しています。深く酒に酔った状態は「自己の行為の責任を弁識できる」とはいえないので、暴行を加えても責任を負わないように感じられるかもしれません。

    ところが、ただし書きで「故意または過失によって一時的にその状態を招いたときはこの限りではない」と付記しています。飲酒して記憶を失うほどの状態は、まさに「故意」が招いたものであり、思いのほか酒量が進んで酔っ払ってしまった場合も「過失」があることは避けられません。

    つまり、民法の考え方に従って責任能力を読み解けば、酒に酔って理性や判断能力が失われていたとしても、自分の行為に対して責任を負うことになります。この考え方によれば、飲酒して記憶がないほど酔っていたとしても、他人に暴行を加えれば故意が認められ、暴行罪が成立する可能性があるのです。

  3. (3)中毒症や体質が量刑を左右することもある

    「酒に酔っていて記憶がない」と釈明することが、加害者にとって有利にはたらくことはまずありません。むしろ、酒の勢いに責任を転嫁するばかりで反省していないと評価され、情状酌量の余地はないと判断される可能性が高くなります。酒気を帯びていないときの暴行事件よりも量刑が重たくなるおそれがあるため、賢い弁解であるとはいえません。

    また、アルコール依存症などの中毒症を抱えている人や、体質として「お酒に弱い」という人は、飲酒する行為そのものが「未必の故意」に結び付けられるおそれがあります。
    飲酒すると暴力的になる、自制が効かなくなり暴行を加えてしまうかもしれないと認識している人は、飲酒するという暴行への引き金を自らが引くことで、悪質な故意があると判断され、量刑が重たくなるおそれがあります。

2、飲酒時の暴行ではいつ逮捕されるのか?

飲酒のうえで同席した同僚や飲食店のスタッフなどに暴行を加えた場合、相手が被害届を提出すれば逮捕されてしまうおそれがあります。
では、飲酒時に起こした暴行事件では、どのタイミングで逮捕されるのでしょうか?

  1. (1)逮捕の種別

    警察による逮捕には種別があります。
    逮捕状が要らない現行犯逮捕と、逮捕状に基づく通常逮捕のふたつです。

    罪を犯したその場や、終わって間もない場合にその場で逮捕するのが、現行犯逮捕です。

    犯罪が発生して時間が経過している場合は、裁判官が発布する逮捕状がないと逮捕できません。裁判所に逮捕状の発付を請求し、逮捕状に基づいて逮捕します。これを、通常逮捕といいます。

  2. (2)現行犯逮捕されるケース

    飲酒のうえで他人に暴行を加えた現場を警察官が目撃している場合や、被害者・目撃者らが警察に通報してすぐに警察官が駆けつけたケースでは、その場で現行犯逮捕されます。
    また、暴行のあとにその場を立ち去った場合でも、時間・場所が近接していて、被害者や目撃者があとを追っていたなどのケースでは、現行犯逮捕が可能となります。

    現行犯逮捕は、犯罪の現場においておこなわれる逮捕なので、その場で身柄を拘束されてしまいます。

  3. (3)通常逮捕されるケース

    飲酒時の暴行でも、その場では警察に通報されなかったようなケースでは、事件の後日に通常逮捕されます。
    被害者がいつ警察に相談して被害届を提出するのか、警察が逮捕状を請求するために必要な捜査をどれくらいのスピードで終わらせるのかによって、逮捕のタイミングが変わります。数日以内に逮捕されることがあれば、数か月後になることもあるので、本人が忘れたころに逮捕される可能性も十分にあるといえます。

3、飲酒時の暴行で逮捕された場合の流れ

飲酒時に暴行事件を起こして逮捕された場合、どのような流れで刑事手続きが進むのでしょうか?
逮捕後の流れを見ていきましょう。

  1. (1)逮捕から裁判までの流れ

    警察に逮捕されると、警察署の留置場で身柄を拘束されることになります。事実関係などの取り調べを受けたあと、逮捕から48時間以内に検察官へ送致されます。
    検察官に送致されたあと24時間以内に、起訴・不起訴が判断されます。ただし、逮捕後の72時間で判断できない場合、検察官は裁判所に身柄拘束の延長を求めます。これを勾留請求といい、勾留が認められると原則10日間、最長で20日間の身柄拘束が続きます。

    勾留を受けると、身柄が警察に戻されて、引き続き取り調べなどの捜査がおこなわれます。勾留が満期を迎えるまでに、検察官は再び起訴・不起訴を判断します。
    刑事裁判で罪を問う必要がある場合は起訴され、証拠が不十分な場合や刑罰を科す必要はないと判断されれば不起訴処分となり釈放されます。

    起訴されると、刑事裁判で審理され、有罪となれば量刑が下されます。日本では起訴されると非常に高い確率で有罪判決が下されるため、起訴の回避が重要だといえるでしょう。

  2. (2)飲酒時の暴行事件では略式起訴もあり得る

    暴行罪は、ほかの刑法犯と比べると事実関係に争いが起こりにくい犯罪です。故意を持って暴行を加えれば成立するという単純な要件であるため、刑事裁判で有罪・無罪を争うケースは多くありません。

    事実関係に争いがなく、被疑者が暴行を認めている場合は、刑事裁判を経ることなく書面上の審査のみで刑罰を確定する「略式手続」が取られることがあります。略式起訴を受け入れた場合は、罰金刑の略式命令が下されます。

4、飲酒時の暴行事件を弁護士に相談するメリット

飲酒のうえで暴行事件を起こしてしまった場合、早急に弁護士に相談してサポートを受けましょう。
弁護士に相談することで、さまざまなメリットを得ることができます。

  1. (1)逮捕の回避が期待できる

    被害者が警察に被害届を提出する前や、被害届を提出して間もないタイミングで示談が成立すれば被害届が取り下げられるため、逮捕の回避が期待できます。
    ただし、示談交渉を加害者自らおこなうことは、さらなるトラブルになる可能性も否定できません。弁護士に依頼し、弁護士を代理人として示談を進めていくことが得策です。

  2. (2)不起訴や減刑が期待できる

    警察に逮捕されてしまった場合でも、示談成立を目指すことが大切です。起訴前であれば、犯罪が存在していても刑罰を科す必要がないと判断され、不起訴処分になることが期待できます。万が一、起訴されてしまった場合でも、示談が成立していれば減刑される可能性があります。
    弁護士は捜査機関にはたらきかけるといった弁護活動をおこないながら、平行して示談交渉もすすめます。

    また、飲酒時の暴行事件における量刑判断では、加害者本人の反省や再発防止も重視されます。真摯(しんし)な謝罪はもちろんですが、アルコール依存症の改善にむけた治療や断酒のために家族がしっかりと監視するといった約束があれば、量刑が軽くなる可能性があります。逮捕された本人だけでなく、家族のサポートも必須となります。
    弁護士であれば、これまでの知見や判例などから、どのような対応がプラスにはたらくのかを、的確に判断することができます。弁護士のアドバイスを受けながら対処することで、有利にはたらくことが期待できるでしょう。

5、まとめ

記憶がなくなるほどに酒に酔っていたとしても、暴行の事実があれば暴行罪の成立は避けられません。「酒に酔っていた」という言い訳は通用しないので、被害者との示談を成立させ、不起訴処分にしてもらうことを目指しましょう。
被害者との示談を進めるには、弁護士に相談してサポートを受けるのが賢明です。直接の示談交渉では、高額な慰謝料や示談金を請求される場合もあります。事案に応じた慰謝料・示談金の相場を熟知している弁護士が代理人として交渉すれば、適切な範囲で示談が成立することが期待できます。

ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスには、飲酒時の暴行事件を含めた刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しています。的確な示談交渉によって逮捕の回避や不起訴処分の獲得を目指します。
飲酒時に暴行事件をおこしてしまい相手と示談したい、いつ逮捕されるのか心配しているとお悩みの方は、まずはベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでご相談ください。
解決むけて、徹底的にサポートします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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