夫が痴漢容疑で逮捕! 前科を回避するために家族がすべきこと

2017年12月04日
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夫が痴漢容疑で逮捕! 前科を回避するために家族がすべきこと

夫が痴漢の疑いで逮捕されてしまった! このような事態が起きた場合、ほとんどの方は突然の事に動揺し、どのような方でもパニックになってしまうものです。しかし、まずは落ち着いてください。

夫の逮捕を知らされた時、逮捕初期段階でどのように対処するかによって、後の展開が大きく変わってきます。解雇や実刑などの不利益を避けるためには、妻・ご家族が適切に行動することが重要です。

そこで今回は、夫が逮捕されたときに妻・ご家族がとるべき行動について、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、痴漢容疑で逮捕された後の流れを知っておこう

痴漢容疑をかけられた場合の対処法

夫が突然痴漢容疑で逮捕されたら、その後はどのような流れで手続きが進んでいくのでしょうか?
妻・ご家族としては、まずは逮捕後の手続きの流れを把握しておくことが重要です

過去コラムで逮捕後の基本的な流れと費用等について詳しく解説していますので、まずはこちらをご覧ください。
⇒ 刑事事件はいつ弁護士に相談すればいい? 逮捕後の流れと費用も合わせ弁護士が解説!

長いコラムですが、ぜひ最後までご覧ください。
逮捕後の流れを把握しているかどうかが、今後、夫を救うために重要になります
逮捕後の流れを押さえた上で、以下で具体的に夫が痴漢で逮捕された場合の展開についてみていきましょう。

2、会社にバレる?前科がついた場合の影響は?

会社にバレる?前科がついた場合の影響は?

夫が痴漢で逮捕されたら、逮捕・勾留により身柄の拘束が続く限り、当然会社には行けなくなります
会社への影響について、具体的に見ていきましょう。

  1. (1)警察から会社へ連絡は行くの?

    痴漢容疑で逮捕されてしまった場合でも、警察等の捜査機関から会社へ連絡が行くことはありません
    ただ、痴漢容疑で逮捕されてしまった場合、仮に不起訴になったとしても、最大23日間身柄を拘束されてしまう可能性があります。
    その間会社を欠勤せざるを得なくなりますから、一刻も早く、身柄を解放してもらう必要があります
    そのためには、弁護士に依頼して、検察官に勾留請求しないように交渉をしてもらったり、勾留された場合は準抗告の申立てや勾留を取り消してもらう等の対策を行い、身柄を早期に解放してもらうよう動いてもらうことが大切です。

  2. (2)会社にバレてしまったときの影響

    仮に痴漢容疑で逮捕されたことが会社にばれてしまったとしても、逮捕されたというだけで会社が解雇したり何らかの処分をしたりすることはできません
    逮捕されたからといって、有罪が確定した(痴漢行為を行ったことが確定した)わけではないからです。
    ただ、会社によっては、逮捕されたということは犯罪行為を行ったのだろうと誤った判断をして、裁判の結果が出る前に何らかの処分を下す場合もあるので、そうならないよう、弁護士から申し入れをしておくことが重要です

    仮に、有罪になってしまった場合は、会社から何らかの処分をうけることはやむを得ません。
    とはいえ、刑事事件で有罪になったことだけで常に解雇できるわけではない(最高裁判所昭和49年3月15日判決参照)ので、この点についても、弁護士から会社に対してきちんと申し入れをしてもらっておくことが大切です。

3、逮捕・前科がついた場合のデメリット

逮捕・前科がついた場合のデメリット

警察から会社へ連絡が行くことは基本的にありませんが、突然会社を休むことで業務に支障が出ますし、有休等で休むにしても限界があるでしょう

上記で述べたとおり、逮捕されたことだけでは解雇の理由にはなり得ませんが、突然の長期休みを理由にした解雇の可能性はありえます。
前科がついた場合には、就業規則等を理由としての解雇もあり得るでしょう。

また、国家資格を生かして仕事をされている方の場合は資格が制限されてしまう場合があります
例えば、公務員や保育士、社会福祉士、介護福祉士、行政書士、宅建士、学校の教員等の国家資格を剥奪されてしまいます。 国家資格の種類によっては再度資格と取ることもできなくなりますので、再就職も困難になるでしょう。夫が経済的な大黒柱のご家庭の場合、大きな打撃を受ける事になります

夫が逮捕されたことが子供の学校等の教育機関にバレることは通常ありませんが、噂話でご近所に知られてしまう可能性もゼロとは言えません。
最悪の場合には刑務所に入り、服役しなければならないので、妻や子供とも離れ離れになってしまいます。

このように、夫が逮捕され前科がついてしまうと、夫本人のみならずご家族にとっても大変な不利益を受けてしまいます

4、不起訴処分を獲得することが重要!

不起訴処分を獲得することが重要!

このような不利益を防ぐためには、「不起訴処分」を獲得することが非常に重要です
不起訴処分にしてもらうことができたら、在宅事件の場合には、そのまま事件が終了し、前科がつくことがありません。身柄事件の場合には、身柄を解放されて、会社にも復帰できますし前科もつきません(前歴はつきます)。
もしも夫が痴漢で逮捕されたら、妻は不起訴処分獲得のために、すぐに行動にでるべきです

5、夫を救うためにするべき事

夫を救うためにするべき事

以下では、不起訴処分を勝ち取るためにすべきことを、具体的に説明します。

  1. (1)すぐに本人と連絡をとる

    痴漢容疑で逮捕されたら、家族には警察から連絡が来ることが多いです。
    突然のことに気が動転する方がほとんどですが、まずは落ち着きましょう。
    すぐに本人と連絡をとることが重要です

    しかし、逮捕から勾留決定までの3日間の間、弁護士以外本人と連絡を取ることはできませんそこで、本人が逮捕されている警察署を聞いて、弁護士に相談・依頼をし、すぐに接見に行ってもらいましょう

    すぐに本人と連絡をとることのメリットは、本人が何を言っているのか、痴漢が冤罪ではないのか、痴漢現場の状況はどうなっていたのかを確認し、本人の主張内容によって、その後の方針を早期に決定できることにあります。
    本人の主張によっては、方針も全く変わってくるため、後に不起訴を獲得するためにも、まずは状況確認が重要です

  2. (2)虚偽の自白をしないことを認識させる

    痴漢で逮捕された後、夫が身柄拘束を受けている場合には、警察署で勾留されたまま取り調べが続きます。逮捕や勾留などと言うことは日常生活とかけ離れており、夫にとって大きなプレッシャーとなります。

    捜査員の圧力を受けると、本当はやっていないのに、虚偽の自白をしてしまったり、実際の状況以上に悪質な行為をしたと言ってしまったりすることもあります
    しかし、こういった虚偽の自白をすると、不起訴処分を勝ち取ることが難しくなり、刑事裁判になったときにも極めて不利になります。
    不起訴になるためには、夫に対し、絶対に警察等の捜査員の圧力に負けて虚偽の自白をしないように伝える必要があります

    ただし、上記で述べたとおり、逮捕から勾留決定までの3日間の間、本人と連絡・面会できるのは弁護士のみで、ご家族には連絡や面会が許されていません。手紙でのやりとりも、一切認められていません。
    勾留決定後であれば、ご家族でも面会することが可能です。

  3. (3)本人を安心させる

    身柄拘束を受けていると、精神的に相当追い詰められます。自暴自棄になって捜査員に適当なことを言ってしまうこともありますし、留置場内でトラブルを起こすおそれもあります。
    このようなことが起こらないように、夫を精神的に安定させることも必要です
    そのためには、家族としても夫に頻繁に面会に行き、励ましてあげましょう
    留置場の中で足りないものがあり、不自由しているのであれば、できるだけの差し入れをしてあげましょう。
    ただし、上記で述べたとおり、ご家族が面会できるのは、勾留決定後です。

  4. (4)在宅捜査になるように進める

    痴漢で逮捕された被疑者が受ける不利益を最小限度に抑えるためには、在宅捜査にすることが非常に効果的です
    在宅捜査になると、身柄事件に比べ、起訴不起訴の決定が行われるまでの期間も長くなるので、不起訴処分を勝ち取るためのいろいろな対応がしやすくなります。

    そこで、夫が痴漢で逮捕されたら、まずは在宅事件になるように働きかけましょう。
    そのためには、検察官と交渉をして、勾留請求をしないように求めたり、勾留請求されたときには、裁判所に勾留決定しないように求めたりすることが重要です。

    痴漢容疑をかけられていても、勾留が行われずに在宅事件になると、会社に勤務することも可能ですし、普通に生活することができるので、勤務先や近所の人を始めとして、ほとんど誰にも「痴漢の疑いをかけられている」ことを知られずに済みます

  5. (5)被害者と示談をする

    痴漢で逮捕されたとき、不起訴処分を獲得するために非常に重要なポイントは、被害者と示談をすることです
    刑事事件では、被害者と示談ができていて、きちんと被害弁償(賠償金の支払い)が終わっていると、被疑者にとって非常に良い情状となります。
    起訴前に被害者に示談金を支払い、刑事処罰を望まないといった内容の示談が成立していると、不起訴処分になる可能性が格段に高くなります。

    そのためにも、夫が痴漢で逮捕されたら、とにかく早めに被害者と連絡をとり、示談交渉を進める必要があります
    特に、身柄拘束されている場合には、処分決定までに10日または20日程度しかありませんから、急がなければ間に合いません

    しかし、通常、警察などの捜査機関は、加害者やその家族に対し、被害者の連絡先を教えることはありません。弁護士であれば、被害者の了解を得たうえで、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらうことができます。
    早急に被害者と示談を希望するのであれば、弁護士に依頼し、示談交渉を行ってもらうべきです

  6. (6)できれば、嘆願書を書いてもらう

    痴漢の被害者と示談ができたとき、できれば「嘆願書」を書いてもらうと有効です。

    嘆願書というのは、被害者の立場から、検察官や裁判官に対し、「被疑者(被告人)の処分を軽くして下さい」とお願いする書類です。
    被害者と示談できているだけではなく嘆願書まで書いてもらうことができたら、多くのケースで不起訴処分にしてもらえます
    強制わいせつ罪で逮捕されている場合でも、被害者が告訴を取り下げてくれるので、やはり不起訴になる可能性が高いと言えます。

6、法的な知識がないと対処は難しい

法的な知識がないと対処は難しい

以上のように、夫が痴漢で逮捕された場合には、虚偽の自白をしないように励ましたり、勾留決定が行われないように活動したり、被害者と効果的に示談を進めたり…など、状況に合わせ適切な行動を取らなければなりません。
また、不起訴処分を勝ち取るためには、法的に適切な対処を短期間で行わなければなりません。

しかし、そもそも一般の方にはできないことも多々あり、荷が重いと感じられたのではないでしょうか

7、夫を救うためには、一刻も早く護士に相談を!

夫を救うためには、一刻も早く護士に相談を!

一番大切なのは、すぐに刑事事件に詳しい弁護士に依頼をすることです
逮捕されてしまった場合、警察署の留置係に依頼すれば当番弁護士を呼ぶことができます。
当番弁護士とは、警察などの捜査機関に逮捕されて身柄を拘束されてしまった人が、1度だけ無料で弁護士を呼べる制度です。しかし、弁護士を選ぶことはできません。

弁護士の対応次第で結果が大きく変わりますので、妻・ご家族が刑事事件に強い信頼できる弁護士を選んで依頼をすることが重要です
依頼後は弁護士が不起訴処分獲得に向けて対応を行いますので、妻・ご家族が行う事は基本的には弁護士と方針や今後の対応について相談するのみです
ただし、場合によっては、弁護士と一緒に被害者に会い、夫の代わりに謝罪するなどして示談に向けた取り組みに協力し、本人の身柄が早期に解放されるように尽力することも必要でしょう。

刑事事件は初期対応が非常に重要ですので、逮捕直後の3日間に弁護士が面会し、適切な対処ができないと、その後の展開で不利になってしまう可能性が高くなります

逮捕から勾留決定までの最初の3間の間、ご家族には一切面会・手紙等でのやりとりが認められていませんが、弁護士であれば被疑者(夫)と面会できます。
身柄を拘束されて誰とも連絡が取れないという状況は、想像以上に精神的な負担となります(特に、携帯電話やメール等によっていつでも連絡をとることのできる現代において、他者との連絡を禁じられてしまうのは思っている以上に苦痛なものです)。
そんな中で、きつい取り調べを受けて、やってもいないのに痴漢をしたと自白してしまう場合も少なくありません。
弁護士が面会し、捜査機関の圧力に負けず自白をしないように勇気づけたり、ご家族からの伝言・手紙等のメッセージを伝えて励ますことは、夫本人にとっても精神的に大きな支えになるでしょう。

以上のように、不起訴処分を勝ち取るためには、刑事事件の経験が豊富な弁護士を選ぶ事が何より重要です。

ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスには元検事の弁護士が所属していますので、逮捕後どのような対応をすれば最短で解決できるのか、起訴されないためにはどのようなポイントをついて弁護すべきか、熟知しておりますのでご安心ください

夫が逮捕されてしまったら、1日の遅れも許されない切迫した状況となります。
夫が痴漢で逮捕されたら、すぐにベリーベスト法律事務所の福岡オフィスの弁護士にご相談ください。

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