公然わいせつで後日逮捕はあり得るの? 具体的行為や処分内容を弁護士が解説
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公然わいせつ事件では現行犯逮捕されることが多いと言われていますが、仮に現行犯逮捕されなかった場合でも、後日逮捕される可能性はないのか気になるところではないでしょうか。
「目撃者からの通報で逮捕されないだろうか」「後日逮捕の可能性はどの程度あるのだろうか」と不安に感じていませんか。
まずは、ご自身の行為が公然わいせつ罪に該当するのかを知り、後日逮捕されるリスクがあるのなら、今できることは何かを考える必要があります。この記事では、公然わいせつ罪の具体的行為や処分内容、後日逮捕される可能性について、福岡オフィスの弁護士が解説します。
1、公然わいせつ罪はこんな犯罪行為
そもそも公然わいせつ罪とはどんな犯罪なのでしょうか。定義や具体的な行為、処分内容を紹介します。
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(1)公然わいせつ罪の「公然」とは
公然わいせつ罪とは、刑法174条で定められている犯罪で、公然とわいせつな行為をすることで成立します。
ここで言う「公然」とは、不特定または多数の人物が認識できる状態のことで、現実に認識していることまでは求められていません。
たとえば、深夜の誰もいない公園で裸になった場合では、周囲に人がいなかったとしても、誰かに見られる可能性が否定できないことから、「公然」の定義に当てはまります。 -
(2)「わいせつな行為」の具体例
「わいせつな行為」については、判例で「いたずらに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通の人の正常な羞恥心を害し、善良な性的道義に反するもの」と示されています。
わいせつの定義は時代や状況によって変わるため曖昧さがありますが、簡単に言えば、人目に触れる可能性がある状態で、他人の性欲を刺激したり、性的嫌悪感を抱かせたりするような行為を指します。
具体的には、性器を露出して見せつける、公園や漫画喫茶で性交や類似行為をする、陰部が映った動画を不特定多数に向けてリアルタイムで配信する、などがあります。 -
(3)誰が被害者となり得るのか
公然わいせつ罪は、強制わいせつ罪のように被害者の特定個人の性的感情のような個人的利益を侵害する犯罪を罰するものではなく、健全な性秩序、性風俗という社会的な利益を侵害する犯罪を罰するものですので、被害者というものがそもそも想定されていません。
しかし、わいせつ行為を目撃した方が精神的にショックを受ける可能性は十分にあり、実質的な被害者となって被害届の提出に至るケースも少なくありません。
マンションの共有部分でわいせつ行為がなされた場合では、マンション内の秩序を乱されたことから、マンションの管理人が被害者となって後日訴えることもあります。
被疑者としては、このような実質的な被害者に対して賠償と謝罪を尽くすことで、情状が酌量されて量刑が軽くなる可能性が生まれます。被害者がいないからといって開き直っていると、「反省していない」ととらえられて、量刑が重くなったりする可能性があることには注意すべきでしょう。 -
(4)公然わいせつ罪の処分内容
公然わいせつ罪で有罪になると、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料の範囲内で処分を受けます。
他の刑法犯と比べると比較的に刑罰が軽く、罰金刑や執行猶予、不起訴処分などで済まされることも多い点が特徴です。一方で、同種犯罪の前科が複数あり、常習性があるなどの悪質なケースであれば、実刑判決を受ける可能性もあります。 -
(5)公然わいせつと少年事件の関係
公然わいせつ事件を起こしたのが少年であっても、逮捕・勾留までの流れに大きな違いはありません。ただし、捜査終了後の流れが成人の場合とは異なります。
少年事件は家庭裁判所に送致されて、審判を経た後に処分が決まります。
処分の内容は事件の大要や少年の性格・生活環境などによって、以下のケースに分類されます。
- 保護処分
- 検察官送致
- 都道府県知事または児童相談所長送致
- 審判不開始
- 不処分
少年事件におけるポイントは、刑事罰を科すことよりも、犯罪を起こした少年を更生させ、再び事件を起こさないように保護・指導することが目的である点です。
だからといって、必ずしも処分が軽くなったり、早期に釈放されたりするわけではありません。特に公然わいせつ事件では、事件の異常性から更生の必要があると判断される可能性があり、少年院送致などによって、家族や友人と離れ離れになることも考えられます。
2、公然わいせつ罪で後日逮捕される可能性はあるのか
福岡市内で公然とわいせつ行為におよび、後日逮捕されるのではないかと不安に感じる方もいるでしょう。
ここからは、公然わいせつ罪で後日逮捕される可能性や後日逮捕されるパターンを紹介します。
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(1)公然わいせつ罪は現行犯逮捕されることが多い
公然わいせつ事件は、事件が起きたそのとき、その場所で、被害者や通行人、通報を受けた警察官によって現行犯逮捕されることが一般的です。
一方、逮捕状に基づく通常逮捕による後日逮捕は、逮捕状の発付を得られるだけの証拠が必要とされます。そのため、目撃証言や防犯カメラの映像などの証拠が固まった状態で逮捕となります。
後日逮捕までの期間は事件の様態や捜査の進行具合によって変わるため一概には言えません。1ヶ月以内に逮捕されるケースがあれば、数ヶ月も後になって逮捕されるケースもあります。 -
(2)警察に後日逮捕されるパターン
公然わいせつ罪で後日逮捕されるパターンとしては、以下のケースが考えられます。
- 証拠隠滅や逃亡のおそれが高い
- 証拠がそろっているのに否認している
- 組織的犯罪
逮捕されずに在宅捜査となった場合でも、捜査機関からの呼び出しに正当な理由なく応じなかった場合や、証拠隠滅のおそれがある場合は、後日逮捕される可能性があります。
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(3)公然わいせつ罪で起訴処分となる可能性
公然わいせつ事件は刑法犯の中でも量刑が軽い犯罪で、捜査項目も少ないため勾留請求される可能性は他の犯罪と比較的してやや低く、数日中に釈放されるケースもあります。
ただし、「犯行を否認している」「常習性が認められる」「逃亡のおそれがある」など、一定の条件を満たすと長期間勾留され、起訴処分となる可能性があります。実は、公然わいせつ事件の起訴率はおよそ6割となっており、性犯罪の中では起訴率が比較的高いのです。
理由としては、被害者不在で示談が成立しにくいことが考えられます。犯行に覚えがあるのなら、早めに認めて反省の意を示すことも早期釈放には有効です。もっとも、公然わいせつ事件では略式起訴となり非公開のまま審理されることも多くなります。
3、後日逮捕が不安な場合にできること
公然わいせつ罪で後日逮捕されるのではないかと不安に感じる場合に有効な手段となるのが「弁護士への相談」です。
後日逮捕される前に弁護士のアドバイスを受けることで、取り調べに対して適切な対応をすることができるでしょう。逮捕後に起訴されてしまった場合でも、できるだけ早期に釈放したり、量刑を軽くしたりするように働きかけてくれます。
公然わいせつ事件を含む刑事事件は、逮捕後72時間が勝負と言われるように、少しでも早く動き出すことが大切です。日常生活や家族への影響を最小限に食い止めるためにも、できるだけ早い段階でプロである弁護士を頼ることをおすすめします。
4、まとめ
今回は、公然わいせつ罪の該当例や後日逮捕の可能性を解説しました。
公然わいせつ事件では現行犯逮捕されるケースが大半ですが、後日逮捕されるケースがないわけではありません。ご自身の行為が公然わいせつ罪に当たるのか、量刑や拘束期間はどのくらいなのかなど、不安や疑問があれば弁護士に相談することが得策です。
プロから受けるアドバイスは何よりの安心材料となり、万が一の逮捕にも早い段階で対処することができます。後日逮捕の不安があれば、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでお気軽にご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています