逮捕されて留置場(留置所)にいる人との面会方法と施設の概要
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警察に逮捕された人がまず収容されるのが「留置場(留置所)」と呼ばれる施設です。令和6年10月現在、福岡地区には15の警察署が置かれています。逮捕されてしまった人は基本的に事件を担当している警察署の留置場に収容されていると考えておけば間違いないでしょう。
刑事ドラマなどでは、逮捕されると牢獄のような場所に収容されたり、拷問のような扱いを受けたりといったシーンが描かれることがありますが、実際の留置場とはどのような場所なのでしょうか?
本コラムでは「留置場」について、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。留置場とはどのような場所なのか、施設の概要から留置場に収容された人との面会方法などについて知っておきましょう。
1、留置場(留置所)とはどんなところ?
警察に逮捕された人は、まず「留置場」に収容されます。
しばしば「留置所」と表記されることがありますが、正しくは留置場です。
留置場とは、どんなところなのでしょうか?
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(1)留置場は警察の施設
留置場とは、警察が管理する施設です。
ほぼすべての警察署内に設置されているほか、都道府県警察本部が集中管理する留置管理センターといった施設も存在しています。
似ている機能をもつ施設としては「刑務所」や「拘置所」といったものもありますが、まったく違う役割を担う施設です。
「刑務所」は刑事裁判を経たうえで懲役や禁錮といった刑罰の執行を受けて収監される施設で、「拘置所」は刑事裁判の被告人を判決が下されるまでの間に限って収容するという役割があります。
ドラマや映画などで登場する留置場は、暗く、じめじめとした牢獄のように描写されることが多いという印象があります。
しかし、実際の留置場は、そういった非人道的な扱いを受ける場所ではありません。
決して快適とはいえないまでも、畳敷の部屋で消灯時間を除いては明るさが保たれており、座ったり寝たりするスペースも確保されています。
朝・昼・夜の食事も警察の負担で提供されるだけでなく、必要なら自費で弁当やパン、菓子類などを購入できるので「寝食も取れないまま取り調べを受ける」といった扱いは受けません。 -
(2)留置場に収容されるのは捜査中の「被疑者」
留置場に収容されるのは、逮捕されて取り調べなどの捜査を受ける「被疑者」という立場の方です。刑事事件を起こして逮捕されると、まずは被疑者として捜査を受けたのち、検察官が起訴することで「被告人」へと立場が変わります。
被告人になると、留置場から「拘置所」へと移送されるのが基本です。ただし、収容人員がいっぱいで拘置所に移送できないなどの状況では、被告人になったあとでも留置場に収容され続けることがあります。 -
(3)福岡市内と近郊の警察署一覧
福岡市内、および近郊にある警察署は以下のとおりです。
- 中央警察署 福岡市中央区天神1丁目3番33号 092-734-0110
- 博多警察署 福岡市博多区博多駅前2丁目8番24号 092-412-0110
- 東警察署 福岡市東区箱崎7丁目8番2号 092-643-0110
- 南警察署 福岡市南区塩原2丁目3番1号 092-542-0110
- 早良警察署 福岡市早良区百道1丁目5番15号 092-847-0110
- 城南警察署 福岡市城南区七隈7丁目41番15号 092‐801‐0110
- 西警察署 福岡県福岡市西区今宿西1丁目14番10号 092-805-6110
- 粕屋警察署 糟屋郡粕屋町大字上大隈147番地1 092-939-0110
- 春日警察署 春日市原町3丁目1番地21 092-580-0110
- 筑紫野警察署 筑紫野市上古賀1丁目1番1号 092-929-0110
- 糸島警察署 糸島市前原中央一丁目6番1号 092-323-0110
- 宗像警察署 宗像市東郷1丁目2番2号 0940-36-0110
- 朝倉警察署 朝倉市甘木225番地1 0946-22-0110
- 福岡空港警察署 福岡市博多区大字下臼井782番地1 092-621-0110
- 博多臨港警察署 福岡市博多区石城町9番18号 092-282-0110
2、留置場(留置所)に行けば面会できる?
家族や大切な人が被疑者として逮捕され、留置場に収容されてしまうと「なんとかして会いたい」と考えるものです。本人が収容されている警察署に行けば面会は可能ですが、留置場での面会には厳しいルールが設けられています。
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(1)留置場の面会ルール
留置場での面会にはルールがあり、無制限というわけにはいきません。
面会が可能なのは、警察署の開庁日・執務時間だけです。警察署の開庁日は平日だけなので、土曜日・日曜日・祝祭日は面会できません。
執務時間はおおむね午前9時から午後6時までですが、留置場内でのスケジュールに合わせるため、午前10時から午後0時までの間と、午後1時から午後5時までの間としている警察署が多いようです。
1日に面会できるのは1組だけなので、すでに同日中に別の人との面会を済ませている場合は別の日に出直す必要があります。面会には事前予約が必要な留置場もあります。
一度に面会できるのは3人までです。小さな子どもでも1人として数えるので、面会を希望する人数が多い場合は誰が面会するのかをあらかじめ絞っておいたほうがよいでしょう。
面会の制限時間はおおむね15分以内ですが、ほかの被疑者との面会希望者が多く面会室が空いていない場合や、食事など留置場内のスケジュールが押し迫っている場合はさらに短くなることがあります。
なお、面会の際には警察官が立ち会います。他人には聞かれたくない話があるかもしれませんが、被疑者の逃亡や規制外の物品のやり取りなどを防ぐための保安上の措置なので我慢するしかありません。 -
(2)逮捕直後の72時間は面会できない
逮捕された被疑者との面会は、被疑者の「勾留」が決まったあとです。勾留が決定するのは、逮捕されて48時間以内の警察の持ち時間と、検察官の持ち時間である24時間以内が過ぎたあとなので、逮捕直後の72時間は面会が認められません。
逮捕直後は、関係者にとってもっとも不安に駆り立てられるタイミングですが、警察署を訪ねても面会できないと心得ておきましょう。
なお、勾留が決定したあとでも「接見禁止」を受けた場合は面会が許されません。接見禁止とは、検察官の請求によって、家族などを含めた外部の人との面会を一切禁止する処分です。
逃亡や証拠隠滅を図るおそれがまったくないと認められれば全面解除されることもありますが、すでに接見禁止の可否が検討されたあとでは、全面解除が認められる可能性は高くありません。
ただし、家族や婚約者・恋人などの限られた近親者との面会については、裁判官の裁量による「一部解除」が認められやすい傾向があります。接見禁止を受けてしまった被疑者との面会を実現したいと望むなら、弁護士に相談して一部解除を目指すとよいでしょう。
お問い合わせください。
3、留置場(留置所)から釈放されるタイミング
留置場は、捜査中の被疑者の逃亡や証拠隠滅を防ぐために身柄を拘束するための施設です。あくまでも一時的な身柄拘束を担う場所なので、刑務所のように年単位の長期収容を受けることはありません。
留置場から釈放されるタイミングをみていきましょう。
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(1)不送致で釈放されるケース
警察が逮捕した被疑者について、検察官への送致が見送られることを「不送致」といいます。
不送致になると事件の指揮権が検察官に移らず、警察限りで事件が終結するので、直ちに釈放されます。 -
(2)勾留されずに釈放されるケース
検察官が「身柄拘束を続けなくても捜査は可能だ」と判断した場合は、勾留が請求されません。また、検察官が勾留を請求しても、裁判官が「勾留の必要はない」と判断すれば、請求が却下されます。
勾留されなかった場合は被疑者の身柄を拘束できないので、即時釈放となるのがルールです。この場合、在宅にて捜査が継続されることになります。 -
(3)勾留中に釈放されるケース
勾留されている途中でも、身柄拘束の必要がなくなれば勾留が解除されて釈放されます。
捜査の過程で真犯人ではないことが判明した、被害者との示談が成立して被害届や刑事告訴が取り下げられたといったケースが考えられるでしょう。また、弁護士に依頼し、勾留に対する準抗告を行い、勾留請求が却下された場合も、身柄は釈放されます。 -
(4)不起訴で釈放されるケース
検察官が起訴を見送って不起訴とした場合も、事件はその段階で終結です。
刑事裁判が開かれないので、それ以上は身柄拘束の必要もなくなって釈放されます。 -
(5)処分保留で釈放されるケース
検察官が勾留期間満了までに起訴するか否かを判断せず、引き続き在宅による捜査の必要がある場合、処分を保留したまま釈放されます。
4、逮捕された人をサポートするには弁護士の力が必須!
犯罪の容疑をかけられて警察に逮捕され、留置場に収容されてしまうと、社会生活からの隔離を強いられてしまいます。会社からの解雇、学校からの退学といった不利益な処分を受けたり、家庭内の不和などを招いてしまったりする原因にもなるでしょう。
逮捕や勾留による身柄拘束を受けてしまった場合は、早期釈放を目標にアクションを起こす必要があります。
直ちに弁護士に相談してサポートを依頼しましょう。
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(1)弁護士なら逮捕・勾留中はいつでも接見できる
逮捕・勾留によって留置場に収容されている人との面会については、時間や回数などの制限が設けられています。
一刻も早く無事を確認して本人の主張や意向を聞きたい、どうしても早急に伝えないといけない用件があるといった事情があっても、時間外や回数などの制限を超えた面会は認められません。
一方で、弁護士による「接見」には制限がないので、いつでも、何回でも、留置場で本人に会うことができます。さらに、家族などとの面会も許されない勾留決定前のタイミングでも接見が可能で、警察官による立ち会いもありません。
残されたご家族や不安に押しつぶされそうな関係者の方にとっては、弁護士による接見が本人との橋渡し役となります。逮捕・勾留されている本人にとっても、わからないことや不安なことのアドバイスを受けられるという意味で、とても心強い存在になるでしょう。 -
(2)勾留回避や不起訴に向けた活動が可能
身柄拘束の長期化や厳しい刑罰を避けるためには、検察官による勾留の回避や不起訴を目指す必要があります。
身柄を拘束しなくても任意の在宅捜査で対応できる、罪を犯したことは事実だが深く反省しており被害者への謝罪・弁済も尽くしているといった事情が評価されれば、勾留が見送られたり、不起訴になったりする可能性も高まるでしょう。
被疑者にとって有利となる事情を整理し、的確に検察官や裁判官へと伝えるためには、弁護士のサポートが欠かせません。被害者との示談交渉、示談書の作成や提出、家族や職場の上司・同僚などによる嘆願書の提出、本人が深く反省している状況の主張といった活動は、弁護士に任せましょう。
5、まとめ
犯罪の容疑で警察に逮捕されると「留置場」へと収容されてしまいます。架空の物語で描かれる牢獄のような場所ではなく、寝食も確保されていますが、自由な行動を大幅に制限されてしまうという意味では長居する場所ではありません。
刑事手続きの流れに従えば、留置場に収容されるのは限られた期間だけです。しかし、検察官が起訴に踏み切って被告人になってしまえば、その後も拘置所へと移送されて身柄拘束が長引いてしまいます。なんの対策も講じないまま流れに身を任せるのは危険なので、直ちに弁護士に相談してサポートを依頼しましょう。
家族・恋人・友人など、大切な方が逮捕されて留置場に収容されてしまいお困りなら、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスにご相談ください。刑事事件の解決実績を豊富にもつ弁護士が、早期釈放や刑罰の回避に向けて全力でサポートします。
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