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相続人全部と連絡が取れない! 勝手に遺産の話し合いを進めていい?

2019年03月28日
  • 遺産を受け取る方
  • 相続人
  • 連絡取れない
相続人全部と連絡が取れない! 勝手に遺産の話し合いを進めていい?

高齢化の影響などにより、全国的にも遺産相続に関する裁判所の利用は長期的にみて増加傾向にあります。それは福岡でも例外ではありません。遺産相続には多くの煩雑な手続きがあり、しかも同意をまとめなければいけない内容が難しい場合が多いからでしょう。

中でも法定相続人の全員の同意を求めようとして、連絡が取れない場合は途方に暮れてしまうものです。そのようなとき、どのように対処していけばいいのでしょうか。
ベリーベスト法律事務所・福岡オフィスの弁護士が、相続にまつわる疑問に回答します。

1、連絡が取れない相続がいるのに遺産分割協議を行うと?

相続は、遺産を持つ「被相続人」が亡くなったタイミングではじまります。遺産を相続する権利を持つ方は、「相続人」と呼ばれ、相続が発生したタイミングで相続人が集まり、遺産の分け方について話し合う必要があります。これは「遺産分割協議」と呼ばれるものです。

なお、正式な遺言が遺されていれば、遺言を基準にして遺産分割協議を行うことになりますが、遺言がないときは、民法によって定められている被相続人が保有していた財産を相続する権利を持つ、「法定相続人」が相続する権利を保有することになります。この範囲や割合はすでに民法によって定められているのです。

しかし、すべての遺産分割協議がスムーズに行われるわけではありません。
ときどき、遺言も遺言書もなく父親が亡くなったのに、一部の兄弟姉妹が音信不通で、連絡が取れない……という事態が起こることがあります。

相続人としては、話し合いができなければ遺産分割もできないということになり、大変困り果てる事態でしょう。たとえば、相続そのものに期限がなくとも、相続放棄など、期限が定められている手続きが多々あります。「できるだけ早く相続の分割をしてしまいたい」、「主要な相続人が集まれるタイミングで話し合いを進めてしまいたい」と思う気持ちも理解できます。

しかし、連絡が取れない相続人を無視して、とりあえず遺産分割協議を進めてしまうことは、避けたほうが無難です。もし進めてしまったとしても、現在いる相続人たちのあいだで分割方法をもめることなく決めたとしても、法的に有効な遺産分割にはならない可能性があります。

遺産分割を請求する権利には、いわゆる「時効」がありません。現状で連絡が取れない相続人からしてみれば、いくらあなたをはじめとしたほかの相続人が納得していたとしても、あとから改めて遺産分割協議を請求できるということです。

もし、今現在連絡が取れない相続人が「遺産分割協議の請求」を行えば、あなたをはじめとした相続人全員が応じなければなりません。何よりも二重手間となりますし、トラブルの火種となる可能性が高いことから、一方的に遺産分割協議は進めるべきではないといえます。

2、連絡が取れない相続人がいるときすべきこと

前述のとおり、連絡が取れない相続人がいると困ることは、遺産分割協議ができない点だけではありません。預金口座や不動産の名義変更では、分割協議結果を記載した「遺産分割協議書」が必要となります。

よって、連絡が取れない相続人を探し出さない限りは、相続の手続きができないということです。つまり、何としても相続人を探す必要があるといえるでしょう。

  1. (1)戸籍謄本で法定相続人がほかにいないかを確かめる

    相続手続きが必要なときは、最初に、亡くなった方の戸籍謄本を取ってみましょう。今回のように兄弟姉妹がいることがわかっている場合もありますが、なかには戸籍謄本を取ってはじめて、自分自身に兄弟姉妹がいたという事実が発覚するケース場合もあります。「そんなドラマみたいなこと……」と思うかもしれませんが、意外と多い事例なのです。

    連絡が取れない相続人のほかに、会ったことも連絡先も知らない相続人がいるときも、次の手順でその所在を調べていくことになるでしょう。

  2. (2)連絡が取れない相続人の戸籍謄本をたどり本籍地を調べる

    連絡が取れない相続人(法定相続人)がいる場合は、生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本や除籍謄本や改製原戸籍を調べることからはじめることになります。
    具体的には、該当する方の氏名や戸籍に記載された住所などを、ピックアップし、最終本籍地からひとつずつさかのぼりながら請求していきます。

    ただし、調べるのは、現在連絡が取れない相続人だけではありません。そのほかにも相続人がいる可能性を考慮し、法定相続人の子どもの数や名前、養子の有無などを調べる必要があります。もしも子どもがいない場合は、父母や祖父母、兄弟姉妹の戸籍を調査することになります。

    地域が異なる戸籍や住民票については、まとめてひとつの窓口で請求することができません。それぞれの市町村の窓口に申請する必要があるでしょう。気が遠くなりそうな作業ですが、あらかじめ法定相続人の数を確定してから相続を進めることが、のちのトラブルを防ぐポイントとなります。

  3. (3)連絡が取れない相続人の「戸籍の附票」を取得してみる

    相続人の戸籍謄本を取り寄せる際は、同時に「戸籍の附票」を取り寄せることをおすすめします。残念ながら現在、戸籍謄本を取得しても、戸籍謄本に本籍地の記載はあっても住民票のある住所は記載されていないためです。

    「戸籍の附票」は本籍地の市区町村で、戸籍の原本と一緒に管理されている書類です。戸籍に記載されている者の戸籍を作成したときから現在までの住所の異動履歴が記載されています。附票の記載を頼りに連絡を取ることができるかもしれません。

3、それでも相続人と連絡が取れない場合は?

前述した作業を実践してみても、転居を繰り返している方などは連絡が取れない場合があるでしょう。中には意識的に連絡を返してこない方もいるかもしれません。
しかし、それでも、連絡が取れない・取ろうとしないということ自体が相続放棄の意思表示となるわけではありませんので、注意してください。

どうしても連絡が取れないときは、どうすればよいのでしょうか。

  1. (1)連絡が取れない相続人のことを弁護士に相談する

    電話やメール、郵便で相続のことについて連絡を取っても無視をする方もいるでしょう。そのために遺産分割協議が進まないと相談に来る方は少なくありません。
    同じように困っているときや、どうしてもすべての相続人と連絡が取れない場合は、弁護士に相談してみることをおすすめします。

    わざと連絡を取れない状態にしている相続人の場合なら、家庭裁判所に間に入ってもらい解決する方法を選ぶことが可能です。
    いわゆる裁判手続きをすることになりますので、早めに弁護士の協力を考慮しておくといいでしょう。家庭裁判所に遺産分割の調停(審判)の申し立てをすることになっても、経験に基づいたアドバイスを行えます。

  2. (2)遺産分割の調停や裁判

    法定相続人の任意の話し合いである遺産分割協議がうまくいかない場合に行うのが、家庭裁判所で遺産分割について第三者を交えての話し合い「遺産分割調停」です。
    調停にあたっては、裁判官と調停委員(裁判官とあわせて調停委員会)が、対立する当事者の話をよく聞き、問題点を整理しながら公平妥当な解決策についてアドバイスをしてくれます。

    結果、当事者だけではなかなかなまとまらなかった話し合いが、調停に移行するとスムーズに進むということも少なくありません。調停の際に、弁護士の協力があれば心強いはずです。

    また、もし話し合いがまとまらなかった場合や、ほかの相続人が調停手続きに出席しなかった場合には、審判手続きに移行し、審判が下されることになります。調停手続きで合意を得るかまたは審判手続きにおける審判が確定すると、遺産相続の具体的な手続きをはじめることができます。

    これらの裁判所の手続きおよび、相続の事務処理などは、相続に関する調停や裁判の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。必要な書類や手順、より適した方法など、ていねいなアドバイスを受けることができます。

  3. (3)連絡が取れない遺産相続人の不在者財産管理人を立てる

    どうしても連絡が取れない遺産相続人には「不在者財産管理人」を立てる方法もあります。

    ただし、相続人が勝手に選任できるものではありません。不在者の「従来の住所地」または「居所地の管轄の家庭裁判所」に、不在者財産管理人選任の申し立てを行い、家庭裁判所に選任してもらう手続きが必要となります。

    「不在者財産管理人」とは、あくまでも不在者の財産を管理するための人であるため、遺産分割協議に参加する、協議に同意するなどの行為は禁じられています。協議の同意や、財産の処分をするためには、別途「不在者財産管理人の権限外行為許可」の手続きを行う必要があります。

    これらにかかる手続きの申立先は、不在者財産管理人選任の申し立てと同じ家庭裁判所です。「不在者財産管理人の選任」と「不在者財産管理人の権限外行為許可」の申し立てを同時に行うと手続きがスムーズに進むでしょう。

4、まとめ

遺産分割協議には期限はありません。
しかし、たとえば相続税の申告であれば、原則10ヶ月以内に行う必要があります。期限に間に合わなければ、各種の特例・控除を使えない可能性があるのです。

そこで、多くのケースで10ヶ月をひとつの基準として、協議を進めることになります。できるなら、失踪宣告・不在者財産管理人の申し立ての手続きに時間を取られず、相続人を探し出したいものです。

それでも、今までしたことのない申請や手続きも多いことでしょう。日常の仕事などもあるため、相続に関することだけで時間を作ることが難しいケースも多々あります。

連絡が取れない相続人がいるときは、ベリーベスト法律事務所・福岡オフィスにご相談ください。相続問題に対応した経験が豊富な弁護士が、適切なアドバイスを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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