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介護の寄与分を認めてもらうための証拠とはどのようなものかを弁護士が解説!

2019年03月29日
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介護の寄与分を認めてもらうための証拠とはどのようなものかを弁護士が解説!

介護給付費実態調査における「都道府県別 65歳以上の高齢者向け施設、住まいの整備状況」において、福岡県は九州においては鹿児島、大分、長崎に次ぐ順位に位置しています。商業圏の発展に比べると遅れているとも考えられる結果です。

在宅介護を行う状況が多数を占める中、長年介護にあたってきた方がいれば、相続の場面で、「介護に従事したことを考慮されてほしい」と思うのは当然のことです。

たとえばあなたの父親が他界し相続が発生したとき、本来は相続権がないあなたの妻が長年にわたり介護していたとしたら、相続の寄与分が認められる可能性があるかもしれません。具体的に、介護などが相続に対してどのように影響するかを、ベリーベスト法律事務所・福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、寄与分とは?

相続には「寄与分制度」が存在します。被相続人(死亡した方)の財産の維持または増加について特別の貢献(寄与)をした相続人がある場合に、その貢献を相続に反映させることで、相続人の間での公平を図ろうとするものです。

そもそも「寄与」という言葉には、役に立つこと、貢献することなどの意味があります。つまり、寄与分とは、被相続人の財産形成に寄与した事実があるのに、それを無視して法定相続分通りの相続を認めることは、実質的には不公平なため、設けられた制度です。

  1. (1)寄与分が認められるケースとは?

    寄与を認められた方は、寄与していない方よりも相続の取り分を多く主張することができます。そのため、寄与分を主張する際は、相続人の財産形成における「寄与(貢献)」の有無が問われます。

    寄与分が認められている、代表的なケースは以下の5つです。

    1. ①家事従事型
    2. ②金銭など出資型
    3. ③療養看護型
    4. ④扶養型
    5. ⑤財産管理型


    あなたの妻があなたの父親の介護で寄与した場合は、療養看護型となるでしょう。療養型とは相続人が被相続人の療養看護を行ってきたケースです。このことにより、付き添い看護の費用が節約でき、相続財産の維持に貢献したとみとめられます。また、あなたの弟に養子がいて、あなたの父親の事業に対して金銭的な助力をしていた場合は、出資型の寄与分が認められることがあります。

    いずれにしても、寄与分が認められるためには、持続的、専従的に被相続人の財産形成に貢献したと認められる状況があったという証拠が必要となります。

  2. (2)寄与分が認められる権利者

    まずは相続できる順位から確かめていきます。1番目の配偶者は法定相続人です。それから子どもも常に法定相続人となります。子どもが死亡して孫がいるときは「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」することができるでしょう。

    次の法定相続人は親です。それから兄弟姉妹という順番になります。そのため、長男の嫁が義両親と共に生活して献身的に面倒を見てきたとしても、遺産相続をするのは、義両親とほとんど関わりのなかった夫の叔父叔母、ということも発生する可能性があるのです。

    しかし、相続できる方法がまったく方法がないというわけではありません。民法では、寄与分が認められる要件として以下の3つを挙げています。(民法904条の2)

    • 共同相続人による寄与行為であること
    • 寄与行為が特別の寄与であること
    • 被相続人の財産の維持または増加があり、寄与行為との間に因果関係があること


    この共同相続人による寄与行為であることから、たとえば同居の長男の妻が長年献身的に被相続人を看護していた場合などには、長男の寄与分としてその貢献度が認められることがあります。

2、どれくらいの寄与分がもらえるの?

もしも、寄与分が認められた場合の相続分は、次のようにして計算します。

  1. (1)具体的な寄与分の相続割合は?

    ここで具体的な寄与分の相続割合について説明しましょう。まず相続財産の総額から寄与分を差し引きます。

    • 相続財産の総額-寄与分=みなし相続財産


    この寄与分を差し引いた部分(みなし相続財産)をもとに遺産分割します。

    • みなし相続財産×法定相続分=各人の相続分


    そして、寄与した相続人の相続分に寄与分を足します。
    結果、各人の相続分+寄与分=寄与した相続人の相続分となるでしょう。
    それが寄与分を考慮した相続分配です。

    ただ特別受益や寄与分については、法的手続きの中で認められるための要件が非常に難しいものとなっています。これらの主張を検討されている方は、相続問題に対応した経験が豊富な弁護士に相談することがおすすめです。

  2. (2)平成30年の民法改正で寄与分はどうなる?

    残念ながら現行民法においては、寄与分が認められるのは相続人による行為に限られています。 相続人でない第三者によって相続財産の維持や増加が行われたような場合には、その第三者が相続によって財産を取得することは認められないことになります(遺言などがない場合)。

    いかに献身的に介護を行っていたとしても、相続人でない子どもの嫁や、内縁の妻は相続によって財産を取得することができないのです。 これは大変不公平だとする声が多い現状がありました。

    しかし、平成30年度民法改正により、配偶者の居住権に加えて、特別寄与について新しく民法第1050条「特別寄与料の請求権」が創設されました。

    これまでも寄与分として請求することはできましたが、民法904条の2第1項で「被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付。被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別な寄与をした」 場合に限定され、しかもその寄与の対象は基本的に相続人でした。それが、この民法の改正により、相続人以外にも被相続人への貢献を考慮する旨が明確に出されたのです。

    本法の施行日は2019年7月1日となる予定ではありますが、まだ確定はしていません。新設された民法第1050条にのっとり特別寄与料を請求する際は、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

3、寄与分を主張する際の手順と必要な証拠は?

寄与分を主張するためには、自分が特別な貢献をしたことを示す証拠を用意しておく必要があります。どのような証拠を用意しておけばいいのかを解説していきましょう。

  1. (1)寄与分を主張する際の証拠となるもの

    寄与分を主張する際、証拠が求められるケースがあります。あらかじめそろえておく必要があるでしょう。

    ①被相続人の事業に関して労務を提供した場合は、働いていたことを示すもの
    被相続人の事業所での勤怠履歴(タイムカードの記録など)が証拠となるでしょう。

    ②金銭出資など財産上給付した場合は、金銭のやりとりを示すもの
    通帳の写しや、ATMの取引明細書が証拠となります。カードの使用履歴も証拠になるので、明細を取っておいてください。また、被相続人の領収書など受領の確認文書も証拠たりえます。

    ③被相続人の療養看護をした場合は看護していたことを示すもの
    たとえば被相続人の診断書・カルテなどが証拠になるでしょう。また、要介護認定を受けたことを示す書類も証拠となります。それに意外かもしれませんが、介護日記も立派な証拠です。

  2. (2)寄与分を主張する場合の手続き

    まずは相続人の方たちと話し合いをすることになるでしょう。それで決着がつかなければ、調停や審判に移っていきます。

    調停では、調停委員(最高裁判所が任命した専門的な知識や経験をもつ市民)が、寄与分を主張する相続人とその他の相続人からの状況を聞き取り、合意に向けた話し合いが行われるはずです。これを「寄与分を定める処分調停」といいます(家事事件手続法244条、別表第2第14の項)。これは、共同相続人であれば誰でも申し立てることができます。

    任意の話し合いや調停で話がまとまらなかった場合や、そもそも協議ができない場合は、裁判所に寄与分を決めてもらうことになるでしょう。これが「寄与分を定める処分審判」です(民法904条の2第2項、家事事件手続法39条、別表第2第14の項)

    審判では、その方が被相続人をサポートした時期、方法、程度、財産の額などを考慮して、寄与分が認められるのかを判断します。もし認められれば、今度はどの程度認められるのかという範囲を裁判所が判断するでしょう。

    この際に上の段で述べたような証拠があったほうが、主張を認められやすくなります。上記以外にも証拠になりそうなものは、弁護士のアドバイスを受けて集めておくことをおすすめします。今まで証拠を取っていなくても、できることがあるかもしれません。今から証拠を集めるにしても、効率のいい方法を教えてもらえるでしょう。

  3. (3)証拠を早めに集めておく理由

    寄与分に関する審判を申し立てできるのは、寄与分を主張する者だけなので、その者が審判申し立てをしない限り、手続きは進行しません。多くの場合、裁判所は1ヶ月を下らない期間を定めて、その期間内に寄与分の審判申し立てを行うよう命ずることができます。
    また、期間経過後に寄与分の審判申し立てがなされても却下することができるとされています(家事事件手続法193条1項、2項)。

    裁判所が期間を定めなかった場合でも、相続開始時期に遅れて寄与分の審判申し立てを行った場合は、これを却下することができます(同法同条3項)。

    つまり、寄与分の主張をする場合は、早急に進めなければならないということです。遺産分割協議が始まる前に、寄与分主張に必要な証拠資料はできるかぎり多く集めておく必要があります。

  4. (4)弁護士を関与させるメリット

    以上のことを踏まえた上で、介護に尽力したあなたの妻の話に戻りましょう。法律的には現状、遺産相続権がないので、何も対処をしていないと、長年介護した姑や舅の遺産を受け継がせることができません。

    しかし、弁護士に相談することで、さまざまな知恵をアドバイスすることができます。たとえば財産を渡すための遺言書の作り方や、養子縁組、生前贈与などをうまく組み合わせる方法をレクチャーできるはずです。

    証拠の不十分さなどから、寄与した相続人とそうでない相続人とでは介護に対する落差がありすぎて、話し合いがまとまらない傾向が多々あります。生前の被相続人に対する寄与分を主張したい場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

4、まとめ

寄与分を巡っては相続人同士で争いになることが多く、家庭裁判所の調停で解決が図られることも少なくありません。特に、療養看護や扶養など金銭以外の貢献での寄与分は、証拠をかなりそろえなければ証明が難しいでしょう。

遺産相続権のない方へ効果的に相続させたい方は、できるだけ早いタイミングでベリーベスト法律事務所・福岡オフィスにご相談ください。税の専門家である税理士などとも連携し、相続税や贈与税などにも配慮した相続ができるよう、力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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