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相続における同意書とは? 同意を求められたらどう対応すべきか

2022年03月23日
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相続における同意書とは? 同意を求められたらどう対応すべきか

福岡市を管轄する福岡国税局が公表している、相続税の申告事績の概要によると、令和2年分における被相続人の数(死亡者数)は、8万882人でした。前年度が8万1678人であったことからすると、若干の減少はあるものの、ほぼ同水準であるといえます。

被相続人が死亡して相続が開始したら、相続人は、さまざまな相続手続きを行わなければなりません。相続手続きの中には、他の相続人による同意があったことを証明するための「相続同意書」という書面が必要になることがあります。

しかし、突然、他の相続人から「相続同意書を書くように」と求められたとしても、どのような内容の書類なのかもわからず、不安になる方も多いでしょう。また、相続同意書がどのような書類なのかを十分に理解せず署名をしてしまうと、遺産分割において思わぬ不利益を被る可能性がありますので注意が必要です。

本コラムでは、相続同意書が必要になるケースや相続同意書に署名する際の注意点などについて、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、相続の同意書とは? 遺産分割協議書との違い

まず、相続手続きの際に必要となる「相続同意書」とはどのような書類であるのか、また、「遺産分割協議書」とはどのような違いがあるのかについて、解説します。

  1. (1)相続同意書とは?

    相続同意書とは、「特定の遺産を誰が相続するかについて、相続人全員が合意をしたこと」を証明する文書のことをいいます。
    相続同意書は、主に、遺産分割協議が成立する前に金融機関などから被相続人名義の預貯金を引き出すために利用されます。

  2. (2)相続同意書と遺産分割協議書の違い

    遺産分割方法に関する相続人全員の合意を示す書類としては、相続同意書の他に、遺産分割協議書というものもあります。多くの方にとっては、遺産分割協議書の方がなじみ深いでしょう。
    遺産分割協議書と相続同意書には、以下のような違いがあります。

    ① 対象とする遺産の範囲
    遺産分割協議書は、被相続人の相続財産のすべてを対象として、「誰が、どのような財産を、どのような割合で取得するのか」を話し合い、合意した内容について記載するものです。そのため、遺産分割協議書は、「すべての遺産」を対象として作成する文書だといえます

    これに対して、相続同意書は、被相続人の相続財産のうち、預貯金や車など特定の遺産のみを対象として、それを誰が取得するのかを明らかにするための文書です
    このように、遺産分割協議書と相続同意書では、対象とする遺産の範囲がすべてであるか、一部であるか、という違いがあるのです。

    ② 作成する時期
    上記のとおり、遺産分割協議書は、相続財産のすべてを対象にして話し合いを行わなければなりません。そのため、すべての遺産の分割方法について合意が得られなければ、遺産分割協議書を作成することができません。話し合いが長期化して、いつまでたっても遺産分割協議書が作成できない場合もあります。
    これに対して、相続合意書は、特定の遺産についての分割方法についてのみ合意ができれば、その都度作成することができます。例えば、被相続人に不動産と預貯金があり、不動産については遺産分割方法が決まらないという場合であっても、預貯金のみについて相続同意書を作成することによって、早期に払い戻しを受けることが可能となるのです。

    ③ 相続登記への利用の可否
    遺産に不動産が含まれている場合には、遺産分割の結果に従って、被相続人の名義から相続人の名義に登記を変更する必要があります。これを「相続登記」といいます。
    相続登記をする際には、登記原因証明情報として、遺産分割協議書の添付が求められます。

    しかし、相続同意書は遺産分割協議書に比べて簡易な様式であるため、不動産の相続登記をする場面における登記原因証明情報として利用することはできません。

2、相続同意書が必要なケース

遺産分割協議書があれば、原則として、相続手続き全般に対応することができます。
また、以下のような手続きに関しては、遺産分割協議書よりも簡易な様式である相続同意書でも代用することができるのです。

  1. (1)預貯金の払い戻し手続き

    被相続人名義の預貯金口座は、被相続人の死亡を金融機関が把握した時点で、凍結されてしまいます
    口座が凍結されてしまうと、預貯金の引き出しだけでなく、預け入れや引き落としなどもできなくなってしまいます。被相続人の死亡後は、葬儀費用の支払いや医療費などの支払いのために多額の現金が必要になることが一般的ですが、口座が凍結された状態では、そのような緊急の資金需要に対応することができないのです。

    このような場合には、相続同意書を利用することができます。
    遺産分割協議書でも預貯金の払い戻し手続きを行うことはできますが、遺産分割協議が成立するまで払い戻しができませんので、急を要する場面では不向きといえます。一方で、相続同意書であれば、すべての遺産についての分割方法が定まっていない場合であっても、預貯金のみを対象として先行して払い戻しをすることが可能です。

  2. (2)事業における許認可手続き

    被相続人が公官庁から営業許可を受けて事業を営んでいた場合には、被相続人の死亡から一定期間内に営業許可の相続手続きを行うことによって、相続人が被相続人の営業許可を承継することができます。
    このような相続手続きを行うことによって、新規の営業許可申請に比べて簡易な手続きで営業許可を承継することができます。被相続人が事業を相続人が引き継ぐという場合には、大切な手続きとなるのです。

    このような許認可の相続手続きに関しては、申請期限が定められているものもあるため、遺産分割協議書では間に合わない可能性があります。しかし、被相続人の事業を引き継ぐ人が決まっているという場合には、相続同意書によって先に手続きをすることができるのです。

  3. (3)車や船舶の名義変更手続き

    被相続人が車や船舶を所有していた場合には、その名義変更の手続きが必要となります。
    車や船舶の名義変更の手続きにおいても、遺産分割協議書だけでなく相続同意書による手続きが認められています。

3、相続同意書の書き方

一般的に、相続同意書は以下のように作成します。

  1. (1)タイトル

    特に決まりがあるわけではありませんが、一般的に「相続同意書」や「相続人同意書」というタイトルが用いられます。

  2. (2)作成日付

    相続同意書を作成した(相続人全員の合意が得られた)日を、作成日付として記入します。

  3. (3)被相続人に関する情報

    被相続人を特定するために、被相続人の氏名、住所、生年月日、死亡年月日などを記入します。
    戸籍謄本や住民票などを参照しながら、正確に記載するようにしましょう。

  4. (4)遺産分割に関する内容

    誰がどのような割合で遺産を取得することになったのかについて、記入します。
    例えば、預貯金を特定の相続人が相続することになった場合には、「相続人は全員、被相続人の貴行における下記預金について、相続人○○が相続することに同意しました」といったように記入します。

  5. (5)遺産に関する情報

    相続同意書による相続の対象になった遺産を記入します。
    例えば、金融機関の預貯金口座が対象となる場合には、「○○銀行 ○○支店 普通預金 口座番号○○○○○○○」といったように記入します。

  6. (6)相続人全員の署名と押印

    相続人全員の署名と実印による押印が必要となります。

  7. (7)相続同意書の添付書類

    相続同意書には、以下のような書類の添付が必要となります。なお、提出先によっては、他にも添付を求められる書類があります。事前に提出先に確認をしておくとよいでしょう。

    • ① 相続人全員の印鑑証明書
    • ② 相続人全員の戸籍謄本
    • ③ 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本

4、署名する前によく確認したほうがよい理由

相続同意書に署名する際には、以下のような理由から、内容を十分に確認してから署名するようにしましょう。

  1. (1)署名した後は撤回が困難

    相続同意書に署名をしてしまうと、「相続同意書に記載された内容に関して、合意をした」ということが推認されます
    相続合意書の内容が不利な内容だったとしても、後日、「内容を十分に確認していなかったから」という理由で同意の撤回をすることは非常に困難となるのです。

    例えば、相続人から「預金を払い戻すために必要だから署名をしてほしい」と言われて署名をしたとします。署名した本人としては、預金の払い戻しについて同意をしただけであり、預金を誰が取得するかまでについて同意したつもりはないという場合であっても、相続同意書の内容によっては、預金の相続については解決済みという扱いになるおそれがあるのです。
    そのため、相続同意書に署名する場合には、その内容を十分に確認することが大切です。

  2. (2)遺言書がある場合には遺言書が優先する

    被相続人が遺言書を残していた場合、被相続人の遺産は、遺言書の内容に従って分割することになります。
    原則的には、相続同意書による遺産分割よりも、遺言書の内容が優先されるのです。

    しかし、相続人全員の合意がある場合には、遺言書と異なる方法での遺産分割も可能となります。
    そのため、遺言書が存在しないものと思って、相続同意書によって遺産分割手続きを行ってしまうと、本来なら遺言書によって得られるはずであった遺産が得られない、という事態が生じる可能性があります。
    そのため、相続同意書への署名を求められた場合には、遺言書の有無を調べたかどうかを確認して、調査未了の場合には、署名する前に遺言書の有無をしっかりと調べるようにしましょう

5、まとめ

相続同意書は、遺産分割協議書に比べて簡易な様式であるため、特定の遺産のみ先に分割をしたいという場合には、便利な手段といえます。
しかし、内容を十分に確認することなく、相続同意書に署名をしてしまうと、将来の遺産分割においてトラブルが生じる可能性がありますので、十分に注意することが大切です。

相続手続きを相続人だけで進めてしまうことは、トラブルの原因となります。
福岡県内で遺産相続に関してお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスにまでご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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