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サービス業でも残業代請求は可能! どう計算すべきか弁護士が解説

2018年10月23日
  • 残業代請求
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サービス業でも残業代請求は可能! どう計算すべきか弁護士が解説

福岡県福岡市役所では、さまざまな統計データが公表されていて、「産業別常用労働者1人平均月間労働時間数」も、明らかになっています。平成28年度には、美容・アパレル・スーパーなどを中心とした「生活関連サービス業」や「卸売業・小売業」に従事している労働者、ひとりあたりの月平均労働時間は、139時間強であることが明らかになっています。

この数字は、公的に申請されているものです。近年の労働者不足のあおりを受け、サービス残業を強制されている例や、残業と認識せず働かされている事例も少なくありません。これらの不法な長時間労働は、深刻な問題となっています。

未払いになっている残業代を改めて会社に請求したいケースでは、まずは、該当の残業代がいくらあるかを計算しなければなりません。この記事では、未払い残業代の計算について、福岡オフィスの弁護士が紹介します。

1、一般的な残業代の計算方法とは?

日々の勤務時間帯が固定されている職場であれば、残業代の計算方法はそこまで難しくありません。

まずは、残業時間についての考え方がポイントです。働くうえでは「基礎賃金」が決められています。そこで、残業代について計算するときには基礎賃金がベースとなります。

  1. (1)残業代の計算式

    「残業代」とひとまとめにしてしまいがちですが、残業には「法定内残業」「法定外残業」があります。どちらに該当するかによって、もらえる残業代が異なるのです。

    法定内残業であれば、「基礎賃金×労働時間数」という基本的な計算式が用いられます。

    法定外残業のケースでは、企業が、基礎賃金に上乗せした割増賃金を支払う必要があるため、「(基礎賃金×労働時間)×割増率」という計算式になります。

    おおよその残業代を簡単に知りたいという方は、ベリーベスト法律事務所の残業代計算ツールもぜひご利用ください。(あくまで簡易的な残業代チェッカーとなっております)

  2. (2)残業時間の算出

    実際に残業代を計算する前に、まず残業時間数を明確にしなければなりません。
    労働者は、会社が定めている「所定労働時間(しょていろうどうじかん)」の中で勤務します。この所定労働時間は、労働契約が短時間勤務となっていれば、4時間程度となっているケースもあるでしょう。
    「労働契約書上の所定労働時間」以上に働けば、「残業」代が発生するということになります。

    ①法定労働時間について
    「法定労働時間(ほうていろうどうじかん)」とは、法律によって定められている労働時間の上限です。具体的には1日につき8時間、1週間では40時間が限度とされています。

    よって、たとえば「所定労働時間は1日に9時間」のような規定は違法です。正社員労働契約では、所定労働時間が法定労働時間いっぱいまでとして規定されているケースが多々あります。

    ②時間外労働について
    時間外労働とは、「法定労働時間」として定められた、1日につき8時間を超えて働くことです。残業代を計算するときは「法定外残業」として計算していくことになります。

    ただし、「所定労働時間」を超過して残業する場合であっても、1日8時間までの法定内残業は、「時間外労働」にはみなされません。たとえば所定労働時間が7時間とする職場で、9時間の勤務をしたケースでは、残業をした2時間のうち1時間は「法定内残業」、8時間を超えた残りの1時間が「時間外労働」に該当します。

    本来、「時間外労働」を行う企業は、以下2つのプロセスをクリアしておく必要があります。

    • 労働組合などとの間であらかじめ「時間外労働・休日労働に関する協定書」を締結する
    • 締結した協定書を労働基準局監督署へ届け出する


    この2つのプロセスを行っていない企業は、労働基準法違反として罰せられることになります。なお、この協定書は、労働基準法第36条に規定されていることから、「36((サブロク)協定」と呼ばれています。

    ③固定残業代の時間外労働について
    企業によっては、社員の基本給を設定するうえで当初から一定の残業代を込みにしているケースがあります。それが、固定残業代です。
    しかし、規定したからといって、「労働者がどれだけ残業をしてもよい」というわけではありません。

    固定残業代を規定する企業は、労働者に対して、「基本給のうち固定残業代に相当する金額」と、「固定残業代に含まれる残業時間数」を、あらかじめ知らせておく必要があります。

    そして固定残業代を規定した企業は、見込まれた時間外労働の残業時間分を働いていなくても、固定の残業代を支払う義務があります。スマートフォンの通信料契約のように、残業時間の繰り越しなどもできません。なお、定められた固定残業時間以上に働いた場合は、割り増しの残業代も発生します。

  3. (3)基礎賃金の計算

    基礎賃金が高額であれば、それだけ残業代も高額になります。そもそも基礎賃金は、基本給の金額から所定の額を差し引いた金額です。

    差し引かれる金額は、労働基準法に定められた「通勤手当」や「家族手当」、「住宅手当」などの手当が含まれます。ただし、同じ手当でも、資格手当や役職手当、地域手当などは該当しません。

    そのほか残業代も差し引かれるのですが、固定残業代に含まれている残業代は対象外となります。

    月給制のケースで、1時間あたりの基礎賃金を計算するうえでは、「『基礎賃金』÷『月平均所定労働時間』」の計算式を使用します。

2、変形労働時間制の残業代の計算方法は?

基本的な計算式は、ある程度決まったサイクルで、勤務時間が割り振られているケースを基準として考えられています。勤務時間、休憩時間などが、明確に判明するためです。

しかし、繁忙期にだけ特別に仕事が忙しくなる業種では、繁忙期の身長時間労働になりがちです。そこで、落ち着いている時期を加味して、年間の労働時間を調整すべく、「変形労働時間制」が採用されている例も少なくありません。その場合、残業代の計算方法はやや複雑になります。

  1. (1)変形労働時間制とは

    「変形労働時間制(へんけいろうどうじかんせい)」では、多忙な時期のみ1日の労働時間が長く設定されています。そのため、一時的に法定労働時間を超過している事実があっても、長いスパンで見て平均すると、1週間あたりの平均労働時間が法定労働時間である40時間以内となるのです。

    主に小売業や飲食業、旅館業、美容院など、「週末や祝日に忙しくなる」など繁閑の違いがあるサービス業に適した勤務形態として、広く採用されています。
    ただし、実際に変形労働制を導入する雇用主は、事前に、「就業規則」や「労働協定」を定め、対象の労働者や期間を決めておく必要があります。

  2. (2)変形労働時間制における残業の定義

    変形労働時間制度においても、「いくら残業させても払わなくてよい」というわけではありません。ひと月を単位にした変形労働時間制では1ヶ月分の労働時間、1年単位であれば1年分の労働時間について……というように、それぞれ上限が決められているのです。そのほかにも詳細な規定がありますから、すべて網羅したうえで違法とならないように所定労働時間が定められています。

    変形労働時間制における残業時間は、「所定労働時間以上となる労働時間」が該当します。あまりに忙しく「法定休日に働いた」ケースは、たとえ変形労働時間制が採用されていても、すべての法定休日に働いた労働時間が残業として扱われます。

    変形労働時間制であっても、法定労働時間を超えて働けば「残業」となります。よって、ややわかりづらくはなることは確かです。しかし、基礎賃金の計算方法や残業代を算出する際の基本的な考え方は、一般的な労働形態との違いはありません。

  3. (3)残業代の割増率について

    「法定外残業」が発生した際の割増賃金の計算方法は、「『基礎賃金』÷『月平均所定労働時間』」で計算した「基礎時給」がベースとして計算していきます。最終的には、「『基礎時給』×『割増率』」の計算で、割増分の残業代が算出されるわけです。

    基本の割増率は、「1.25倍」です。ただし、労働基準法第37条の規定に基づき、残業している時間が午後10時を過ぎ、「深夜時間帯」に該当すれば、さらに1.25倍が加算され、「法定休日」日に労働すれば1.35が加算されます。

    つまり、深夜の時間外労働があるケースの割増率は「1.5」で、休日の深夜労働であれば「1.6」になるというわけです。

  4. (4)残業時間に含まれるケースとは?

    過去の習慣から「『残業にはあたらない』と考えられがちだが実際には残業となる』ケースは以下のとおりです。残業代を計算する前に知っておきましょう。

    ①始業時間前の労働
    通常の就業時間では、どうしても終わらなかった仕事を、早く出勤して作業することは、残業になります。また、上司や先輩から、始業時間よりも前に出勤して作業しておくように伝えられることもあるでしょう。たとえば、「お店がオープンする前にちょっとした掃除をする」なども含め、本来であれば始業時間前に行われる仕事も労働時間に含まれます。

    たとえタイムカード上では定時に仕事を終えていたとしても、所定よりも早い始業が求められているわけですから、実質的には残業が発生していることになるのです。

    ②終業後の研修
    美容業やスーパーなどの接客業などでは、スキルアップのために営業時間の終了後、スタッフが掃除したり、トレーニングしたりするケースを多々耳にします。カット練習、エステティシャンの施術練習しかりです。

    いずれにしても個人のスキルアップを目的にしているとは言え、ひいては店舗サービスのクオリティーを高めるための訓練です。「残業」にはならない理由はありません。

    ③名ばかり管理職
    近年、アパレルやコンビニエンスストアなど、小売店の店長職を担う契約社員が増加しています。2010年ごろからは、社会問題としても注目されはじめました。

    時給制が採用されている例も少なくありませんが、企業側では「管理職として採用しているため、長時間労働になっても残業代を支給しない」として、残業代を支払わない例が多く見られています。
    しかし、営業時間や労働時間を労働者本人が決めて行動できないケースでは、「管理職」にはみなされません。これらの事例でも、長時間労働をした際は「残業代」の請求が行えます。

    ④仕事の持ち帰り
    職場では残業が許されないため、もしくは終電などに間に合わなくなるため、自宅に仕事を持ち帰るというケースもあるでしょう。会社内で持ち帰り仕事が推奨されていたり、「営業日の翌朝までに報告書を提出する」など、持ち帰らなければ対応できない無理な納期が設定されていたりするケースでは、たとえ職場にいないとしても仕事をしていることに変わりはありません。

    自由に判断して持ち帰り仕事を行っていたケースでは証明が難しくなりますが、ある一定の強要が認められたうえで、所定の労働時間を超過していれば、「残業」であると認定される可能性があります。

3、フレックスタイム制の残業代計算方法は?

フレックスタイム制というと、自由な時間に出退勤することのできる働き方として認識されているところがあります。自由な時間に出退勤できることから、残業代は発生しないのではないかと思う方もいるかもしれません。

しかし、労働者である以上、「法定労働時間」を超えて働くことがあれば、残業代は発生するのです。

  1. (1)フレックスタイム制とは

    フレックスタイム制は、1987年の労働基準法改正を受け、1988年の4月から導入されました。なお、企業が制度として適用する場合は、労使協定の締結など、あらかじめ決めておかなければならないことなどが多々あります。

    労使協定では、必ず「清算期間」と呼ばれる任意の一定期間を定める必要があります。この期間は最長で1ヶ月までと定められていて、清算期間における合計の労働時間も、事前に決めておかなければなりません。

    企業は、清算期間内の労働時間に基づき、「勤務が義務づけられた『コアタイム』」を設定します。社員は、「出社、退社を個人の判断に任せる時間帯『フレキシブルタイム』」の範囲で、自主的に日々の出勤時間などを決めて運用する例が一般的です。

  2. (2)変形労働制との違い

    フレックスタイムは、あくまで「働く側が主体」となって、自らの都合に合わせて勤務時間を設定することができるものです。同じように勤務時間が不規則な「変形労働制」との違いは、社員個人の出社・退社の時間を誰が決めているか? という点にあるでしょう。

    たとえば出勤時間を、通勤ラッシュからずらせば、ゆとりを持って出勤することができます。遅い時間帯に打ち合わせなどの予定が入っている日は、自己判断で出勤時間を遅くできるため、無駄な労働時間が発生しないという特性があります。

  3. (3)残業時間の定義

    フレックスタイム制における残業時間の定義は、「一定期間における総労働時間」が定められているため、「清算期間」の中で勤務した「総労働時間」が超過した時間が「残業」に該当します。

    たとえば、9時間働いた1日があったとしても、清算期間内の労働時間を合計し、1日あたりの労働時間をだしたとき、1日あたり8時間以内であれば、残業には該当しません。基礎賃金の計算については、一般的な働き方と同じ計算式を利用します。

  4. (4)残業代の割増率

    ただし、フレックスタイム制で残業代を計算するとき、休日出勤や深夜勤務などの割り増しが発生する際は注意が必要です。変形労働時間制同様、法定外残業の時間を計算する方法がやや複雑であり、割増率に関する規定が一般的なものと異なるためです。

    まず、フレックスタイム制の残業時間の算出としては、「清算期間」内で「総労働時間」が「法定労働時間」以上になったとき、割増計算が必要な「法定外残業」代が発生します。

4、まとめ

福岡県の最低賃金は、平成29年10月1日以降から789円になりました。パートやアルバイトを含め、働いている人たちは誰でも最低賃金以上の賃金を受け取ることが当然の権利として認められています。

しかしながら、労働条件が改善されていない状況も現実としてあるようです。特に、サービス業ではその傾向が顕著であるといわれています。「実質的に固定残業制で残業代分とされている金額以上の残業をさせる」、「タイムカードの終業時間を打刻した後で残業させる」といった例も少なくありません。

まずはあなた自身が会社と交わした労働契約と、現状がどのようになっているかを比較し、確認してみる必要があるでしょう。未払い残業代の計算は難しくありません。せっかく働いた分なのですから、しっかり計算して請求することをおすすめします。

自分だけで対応することが難しいケースや、会社が弁護士を立ててきたときなどは、迷わずベリーベスト法律事務所福岡オフィスへご相談ください。労働問題に対応した経験が豊富な弁護士が、あなたの残業代を取り戻すために全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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