退職代行ってどうなの? 退職時の4大トラブルと、弁護士ができること
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福岡市を含む九州・沖縄地区で人手不足などを原因として倒産に至った会社が、平成30年に過去最多となったことが株式会社帝国データバンク福岡支部の調査によって明らかになっています。
このような状況下では、退職の意思すら言い出せないことが少なくありません。たとえ伝えたとしても、辞めることをあきらめさせようとする会社もあり、近年では「退職代行サービス」が注目を集めています。
そこで今回は、退職の際に発生しがちなトラブルや弁護士による退職代行サービスを利用するメリットなどを、福岡オフィスの弁護士が解説します。退職代行サービスの利用を検討している方は、ぜひ読み進めてください。
1、退職代行サービスとは?
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(1)退職代行サービスの特徴
退職代行サービスとは、会社を辞めたいと考える労働者の代わりに会社側に退職の意思を伝えるサービスです。
ただし、民法627条では、期間の定めのない雇用(いわゆる正規雇用)の労働者が退職の意思を告げてから2週間が経過すれば、雇用契約は終了する、つまり退職できると定めています。よって、相手がブラック企業であろうと、本来は「辞めたい」と伝えるだけで、会社の意思とは関係なく退職することは可能だといえます。
では、なぜ退職代行サービスが脚光を浴びているのかといえば、次のような理由が考えられます。- 人手不足であることがわかっている会社に辞めると伝えにくい
- 次の人を探すまで待ってと言われたものの探す気配がない
- 何らかの理由をつけて脅されていて辞められない
- 体調不良などで直接辞めると伝えられない
このようなときは、そのほかにもトラブルを抱えているケースが少なくないようです。
検索を行うと、退職代行サービスをうたう退職代行事業者を見かけたという方は多いでしょう。数万円支払えばブラック企業と縁が切れると考える多くの若者が、利用しているようです。 -
(2)その退職代行業者は危険かも!? 退職代行の落とし穴
ただし、本来、報酬を得た上で個人の代理人として法的権利を主張・交渉・和解などができる者は、弁護士資格を持つ者に限られます(弁護士法第72条)。
そのため、弁護士資格を持たない者があなたから報酬を得た上であなたの退職を交渉することは本来不法行為にあたる可能性が高いのです。
たとえば、退職の際には「有給休暇の取得」や「未払いの残業代の請求」などの交渉が必要となるケースが多いでしょう。
特に残業代の未払い問題を抱えている方は少なくありません。
労働者は過去2年の未払い残業代を請求する権利を有していますが、退職代行事業者では取り戻すための交渉すらできないということです。
そこで、退職代行サービスを利用するのであれば、弁護士への依頼を検討することを強くおすすめします。
2、会社を辞めるときに起きやすい4大トラブル
実際に退職する際にはトラブルが発生しやすいものです。だからこそ、退職代行を依頼しようとお考えなのではないでしょうか。
退職時に起こりがちなトラブルを具体的な事例で確認していきましょう。
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(1)在職強要
ブラック企業に多いのが、在職強要です。
在職強要とは、退職の意思を伝えているにもかかわらず退職を認めないことを言います。退職代行会社は、退職の意思を通知するにとどまりますので、会社側は退職代行会社の通知を「本人からの退職の意思を示した通知ではない」として拒否する可能性があります。
退職代行会社は、弁護士のように「本人の代理人」になることはできません。
場合によっては、退職代行会社の通知は、退職の意思の通知とはみなされず無断欠勤扱いとなり、懲戒解雇などのペナルティが課される危険性があります。 -
(2)損害賠償請求
退職にあたって、損失が発生するから補填するように、退職のペナルティだ、などさまざまな理由をつけて損害賠償請求を行う企業も存在します。
このような損害賠償請求は理由がないことが多いですが、裁判所などから通知がきたら、絶対に無視をせず、弁護士に相談してください。無視をすると、会社の言い分がすべて認められてしまう可能性があります。 -
(3)給与の未払い
ブラック企業では、「退職を認める代わりに給与を支払わない」などと主張することが少なくありません。労働基準法では、労働者は賃金を全額受け取る権利があるとしており、給与の未払いはいかなる理由があっても違法です。
ブラック企業を退職したいばかりに、給与の未払いを受け入れてしまう方が少なくありません。しかし、未払いの残業代を含め、働いた分の給与はきちんと受け取りましょう。 -
(4)退職金未払い
雇用契約書や就業規則などに、退職金の規定があるにもかかわらず、支払おうとしない企業も存在します。
給与とは異なり、退職金の支払い義務はないものの、退職金に給与的意味合いがある企業が多く、その場合は賃金と同様に請求可能です。
就業規則に明記されている、慣行的に支払われているなどのケースでも退職金を請求でできる可能性がありますので、あきらめずに交渉しなければなりません。
3、弁護士に退職代行を依頼すべき4つの理由
退職の際には先述したようなさまざまなトラブルが発生するケースが少なくありません。そもそも、トラブルなくスムーズに辞められるだろう会社であれば、退職代行サービスの利用を検討する必要もなく、ご自身で伝えることができているはずです。
ここでは、弁護士に依頼すべき4つの理由を解説します。
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(1)弁護士であればすべてのトラブルに対応可能
弁護士は、依頼者の代理人となって会社との交渉に臨みます。退職の意思を伝えるだけでなくトラブルが発生した際の交渉も可能です。依頼者の味方となり訴訟を見据えた力強い交渉を行います。
企業側が退職に応じない場合はもちろん、有給の消化を認めない場合、未払いの残業代請求など、不法行為に対して泣き寝入りする必要はありません。
弁護士による交渉は、法によって認められている正当な行為です。会社側の損害賠償請求などの不当要求にも毅然と対応します。 -
(2)請求可能なお金をアドバイスした上で請求を依頼可能
弁護士には労働基準法をはじめとした各種労働関連法令の知見があります。
各相談者から状況を詳しくヒアリングして、会社側に請求可能なお金の有無を確認します。過去の残業代の未払いや給与の未払いなどの問題を、明らかにした上で請求の代行が可能です。
残業代や給与の未払いがあれば、弁護士は会社側に内容証明郵便を送付した上で、支払いを交渉し認めなければ労働審判や訴訟などの法的手続きに移行します。
残業代の未払い問題など、法的な問題を退職と同時に解決したいのであれば、弁護士に相談したほうがよいでしょう。 -
(3)確実に退職できる
繰り返しになりますが、労働基準法では、労働者は2週間前に退職の意思を告げれば退職できるとしています。本人が意思を通知できなければ、弁護士が代理人としてあなたの退職の意思を告げるだけで退職が可能です。
会社側が反論してきたとしても、労働者が退職することは正当な権利ですので、弁護士はあなたの代理人として矢面に立ち、毅然と拒否できます。
確実に退職したいと考えるのであれば、弁護士への依頼が最適と考えます。 -
(4)パワハラやセクハラなどの問題を解決できる
会社を辞めたい理由がパワハラやセクハラの場合、会社や上司などに慰謝料の請求ができるケースがあります。
弁護士に相談することで、証拠集めなどについてのアドバイスを受けることが可能です。さらには、パワハラなどが原因でうつ病などの病気を発症しているケースで証拠があるのであれば、退職の際、もしくは退職後にそれらの慰謝料や損害賠償金の請求手続きを弁護士に一任できることがあります。
苦しめられた分はきちんとお金で償ってもらいましょう。
4、まとめ
退職代行サービスには、さまざまな事業者が参入しています。
しかし、会社をスムーズに辞めさせてもらえないような会社との交渉には、退職以外にもさまざまな問題が発生する可能性が高いといえます。まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に依頼すれば、退職代行だけでなく、未払い給与や残業代の請求なども行えます。ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスでは退職したいと考えている方のご相談を広く受け付けております。
ひとりで悩みを抱えていても、退職問題は解決しません。まずはお気軽にお問い合わせください。福岡オフィスのスタッフが一丸となり、親身になって対応します。
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