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学校から自主退学勧告を受けた! 納得できないときできる法的対応

2021年11月22日
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学校から自主退学勧告を受けた! 納得できないときできる法的対応

令和3年4月、発達障害を持つ児童に退学処分を下した福岡市内の私立小学校に対して、児童側が提訴したことが報道されました。本件のように、自ら退学する意思がないのにもかかわらず学校側から自主退学勧告、あるいは即日で退学処分を受けたなどの報道は時折見かけます。自主退学勧告や退学処分を受ける以上、学校側にとって生徒に何らかの容認しがたい事実があると思う方は多いかもしれません。

しかし、自主退学勧告や退学処分の原因となった問題行動の実情などを考慮すると、生徒の学ぶ権利を奪う自主退学勧告や退学処分が必ずしも適正な処断とはいえないケースがあります。

そこで本コラムでは、お子さまが学校から自主退学勧告や退学処分を受けたときにできる対応について、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、自主退学勧告とは

  1. (1)自主退学勧告を行うことは違法ではないのか

    自主退学勧告とは、生徒や学生に対して学校側が「自主的に退学するように」とすすめることです。

    生徒(の親)が納める学費で経営している学校が生徒に対して退学するように勧告する以上は、それなりの理由が学校側と生徒にあるはずです。

    たとえば、以下のような行状があったことが考えられます。

    • 正当な理由なく欠席を続けている
    • 大声を出して騒ぐなどして授業を妨害し、何度注意されても改めない
    • 著しい学業不良で、留年しても改善の見込みがない
    • 校則で禁止されている芸能活動を継続している
    • 学校内外で刑事法規に抵触するような犯罪行為があった


    生徒に学校を選ぶ権利があるように、学校側には入学試験で生徒を選抜する権利と入学後の素行が著しく不良な生徒を退学させる権利があります。学校側が生徒を退学させる権利は、学校教育法第11条に規定する学校の「懲戒権」のひとつとして認められているのです。

  2. (2)自主退学勧告が妥当とされる可能性があるケース

    なお、自主退学勧告の処分が相当と決定されるうえでは、主に以下の要素が総合的に勘案されるようです。

    • 校則
    • 世間一般的な慣行
    • 当該学生の素行不良が他の生徒に与える影響
    • 本人の性格および普段の素行
    • 本人の反省の度合い
    • 処分をしなかった場合に本人および他の生徒に及ぼす影響
    • 他の類似事案との公平性


    このように、自主退学勧告や後述する退学処分は、以下のケースに該当する場合における学校側の最終手段なのです。

    • 学校側が当該生徒に何度も更生を促しても改善がみられない場合
    • 放置しておくことで他の学生や学校の風紀に著しい悪影響があると考えられる場合
    • 当該学生に刑事法規に抵触するような犯罪行為があった場合

2、自主退学勧告を受けたら辞めないといけないのか?

憲法第26条では、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と規定しています。

このため、たとえ自主退学勧告を受けたとしても、少なくとも法的にはそれに従い自主退学することは義務付けられていません。ましてや、少し程度の素行不良で退学処分になることもありません。

しかし、自主退学勧告を受けたあとは自宅謹慎を命じられ登校を禁止されることが多くあります。この場合、現実的には自主退学勧告を無視したりそれに抗い続けたりすることで、学校に在籍したまま自宅謹慎の期間が継続し、数か月以上も登校できないという状態が続くと考えられます。そして、一定期間が経過すると最終的に退学処分となる可能性があります。

つまり、いたずらに時間を浪費したあげく、結局は退学処分になってしまうのです。

自主退学勧告は、事実上の退学処分といっても過言ではありません。したがって、学校側から自主退学勧告を受けたときは、現在の学校を退学し早急に次の進路を検討すること、あるいは在学謹慎の状態で次の進路を探し、決まり次第すみやかに退学することが得策と考えられます。

高校生であれば、別の高校や通信制高校あるいは定時制高校への転入・編入、あるいは高卒認定試験を受け高卒資格を取得して大学に進学するなど、さまざまな進路が考えられます。

3、退学処分との違い

先述のとおり、自主退学勧告は学校側が生徒に対して退学するよう勧告すること、そして退学処分は学校側が問答無用で生徒を退学させることです。

自主退学勧告と退学処分との大きな違いは、退学処分となった事実が「指導要録」に記載されるかどうかです。

指導要録とは、生徒の学籍に関する記録と指導に関する記録から構成され、その後の指導および外部に対する証明などに役立たせるためのものです。学校教育法施行規則第24条第1項により、各学校の校長はこの指導要録を作成することが義務付けられています。

そして、退学処分の事実は、この指導要録に記載されます。退学した生徒が別の学校へ転入・編入を希望したとき、その学校は退学した学校に退学理由の照会をすることが一般的です。したがって、このときに前の学校を退学処分となった事実が、転入・編入を考えている学校に知られることになります。

転入・編入を受け入れる学校からしてみると、退学処分を受けるとは相当に問題のある生徒であると考えることが通常です。このため、全日制、定時制、通信制を問わずどこの学校にも転入・編入が難しくなってしまうのです。

これに対して、自主退学勧告を受けて退学した場合は、あくまで生徒の意思に基づく自主退学の扱いとなります。したがって、指導要録上も退学理由は「一身上の都合のため」や「進路変更のため」など、当たりさわりのないものになることが一般的です。

したがって、他の学校への転入・編入を希望するときも、退学処分を受けたときと比較して入学審査における大きなマイナス要素とはなりにくいと考えられます。これは就職する場合も同様です。

このように、自主退学勧告と退学処分との違いは、会社における退職勧奨と懲戒解雇の違いと同じなのです。そのため、退学処分は「懲戒退学」とよばれることもあります。

なお、学校によっては懲戒退学よりも重い処分として、「放校」または「放学」があります。この処分を受けると、復学が認められないだけではなく当該学校の在校生だったという事実すら抹消されます。

4、学校が下した処分に納得できないとき弁護士ができること

学校から自主退学勧告や退学処分を受けたとしても、違反行為の実情と比べて処分の内容があまりにも重すぎる、そもそも生徒側に非はないなどのような理由で、自主退学勧告や退学処分に納得がいかないという生徒や親御さんもおられるかと思います。

しかし、生徒やその親御さんの立場で学校側から一度出された自主退学勧告や退学処分を覆すことは、簡単なことではありません。そもそも、自主退学勧告や退学処分は教員が単独で出しているわけではないためです。

自主退学勧告や退学処分は、よほど特別なケースではない限り、校長以下、学校が組織として熟慮したうえで決断していますしたがって、自主退学勧告や退学処分の取り消しを求めることは、組織対個人の交渉となるのです

このような組織との交渉において、弁護士はあなたやお子さまの心強いパートナーになります。

まずは学校から自主退学勧告や退学処分を受けた理由について、詳細な事実を弁護士にご教示ください。警察などの捜査機関と異なり、学校は事実調査に関する専門的な能力を有していません。したがって、学校側による不十分な調査や誤認などに基づき、自主退学勧告や退学処分が出された可能性もあります。なかには、学校側の方針や校風に沿わないなどの不当な理由から、安易な自主退学勧告や退学処分が出された可能性も否定できないでしょう。

あなたやお子さまから教えていただいた事実を踏まえながら、弁護士は自主退学勧告や退学処分が不当なものかどうか、その取り消しが相当かどうか精査しますそして、自主退学勧告や退学処分を受けたお子さんや親御さんの代理人として、自主退学勧告や退学処分の取り消しを求め、学校側と交渉します

もし学校との交渉がまとまらない場合は、裁判所に生徒としての地位保全を求める仮処分の申し立て、さらに学校側に退学処分の取り消しや復学を求める訴訟の提起を行います。また、学校側の自主退学勧告や退学処分が明らかに不当な場合は、学校側に損害賠償を請求することも可能です。

5、まとめ

自主退学勧告や退学処分は、それを受けた生徒に少なからず精神的なダメージを与えるものと考えられます。ましてや、多感な時期で学生生活を楽しんでいたのであれば、なおさらでしょう。そして、それは将来にわたって生徒に影響を及ぼすことすらあり得るのです。

だからこそ、お子さまのためにも不当と考えられる自主退学勧告や退学処分については、学校側にその撤回を求めていく必要があるケースがあります。しかし、自主退学勧告や退学処分を言い渡された学生本人とその親御さまだけでは、その立場から学校側との交渉において不利な展開になってしまうでしょう。

学校側から自主退学勧告や退学処分を出されてしまった、あるいは出されることが予想される場合は、できるかぎりお早めに弁護士へご相談ください。ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士は、処分が適切かどうだったのか、撤回してもらえる可能性を探るとともに、お子さまにとってよりよい未来を得られるように、弁護活動を行います。まずはお気軽にご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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