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学校で子どもがケガさせられた! 治療費や損害賠償の請求先はどこ?

2021年08月17日
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学校で子どもがケガさせられた! 治療費や損害賠償の請求先はどこ?

令和3年3月、福岡県内の公立中学校で老朽化したバスケットゴールが落下し、生徒がケガをしたという報道がありました。学校と言えども、思わぬ事故でケガをすることは珍しいことではありません。

あなたの子どもがこのような事故や同級生の悪ふざけが原因となりケガをしたら、親として、学校や加害者となった子どもに対して、ケガの治療費などを損害賠償として請求したいと思うこともあるでしょう。では、学校でトラブルが起きた際、どのようなケースで損害賠償請求ができるのでしょうか。ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、ケガをさせた加害生徒への損害賠償請求ができるケースできないケース

たとえば、お子さんが休憩時間中に同級生から押されてしまい、すでに永久歯となっている前歯を折ってしまったとしましょう。その場合、損害賠償請求はできるのでしょうか?

  1. (1)加害児童に損害賠償請求できるのか?

    同級生に押されたせいでケガをしたということであれば、損害賠償請求ができる案件になる可能性が高いと考えられます。

    しかし、加害者の同級生が誰なのかがはっきりしていて、かつ加害者本人がケガをさせた事実も認めているとしても、相手が中学校にも上がっていない年齢であれば、本人には賠償請求ができないと考えられます。

    なぜかといえば、責任能力について定めた民法第712条において、「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」と定めているためです。
    なお、この条文における「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかった」とみなされる目安は、11歳から12歳と考えられています。

    ただし、「責任能力を負える年齢でなければ絶対に損害賠償請求できない」というわけではありません。状況によっては、加害生徒に代わり、加害生徒の法定監督義務者(通常は親)が責任を負うことになる確率が高いためです。
    これは、民法第714条で定められた、「責任無能力者の監督義務者等の責任」の条文が根拠となります。

  2. (2)損害賠償請求できるもの

    では具体的に、どのようなものを損害賠償として請求できるのでしょうか。

    まず考えられるものは、「治療費」です。具体的には、病院にかかった費用だけでなく、治療を受けるための移動費(交通費)なども請求できると考えられます。
    さらに、負傷した子どもに付き添いが必要な状況であれば、看護や付き添い費、さらには保護者の休業損害なども請求できる可能性が高まります。

    また、万が一、子どもに後遺障害が残ったときは、将来にわたる労働能力喪失分「逸失利益」も請求可能となるでしょう。「後遺障害慰謝料」はもちろん、傷害を負った時点で慰謝料を請求できると考えられます。

    ただし、治療費や薬代など以外でもタクシー代など領収書はきちんと取っておくことをおすすめします。
    「このケガがなければかからなかった」と明確に言える金額や、ケガがなければ得ることができただろう賃金などは、証拠を提示できるように準備しておきましょう。

    あらかじめ弁護士に相談しておくことで、どの領収書が必要となるのかなど、具体的なアドバイスを得られるでしょう。

  3. (3)損害賠償請求ができない場合

    ここまでは加害生徒の親に損害賠償請求ができる可能性を説明しましたが、当然ながら、請求できないケースもあります。

    たとえば、加害生徒が中学生以上になれば、責任能力が認められる可能性が高くなります。よって、民法714条に基づき、両親などへ損害賠償請求を行うことはできない可能性が発生します。

    ただし、加害生徒に責任能力が認められたとしても、両親が普段から加害生徒を監督していなかったような場合は、民法709条の「不法行為責任」に基づき、損害賠償を請求できる可能性もあります。いずれにしても、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

    さらに、ケガをした側の生徒にも過失があるときは、「過失相殺(かしつそうさい)」が発生します。過失相殺とは、加害者だけでなく被害者にも負傷に至った原因があったことが認められるとき、その過失の内容などを考慮して賠償額を差し引くことを指します。

    つまり、被害者である子どもにも過失があるときは、被害者の子どもとその保護者が受けた損害の全額を賠償請求することはできません。認められた過失割合に応じて、損害賠償請求をした額から減額されることになります。

    もし、過失割合を交渉しなければならなくなったケースでも、弁護士に相談していれば、主張すべきポイントや方法をアドバイスできます。不当に責任を負わせられそうなときは、弁護士に依頼したほうがよいケースもあるでしょう。また、加害児童が過失を認めない場合も弁護士へ相談することをおすすめします。

2、損害賠償請求するための注意点

損害賠償請求をする際、気をつけたほうがよいことがあります。

  1. (1)治療が終了したと医師が判断するまで通院する

    ひとつめは、通院している際は、医師が「本件の治療は終了した」と明言するまではきちんと通うようにしてください。損害賠償額を計算するとき、勝手に通院をやめてしまうと、適切な治療が行えなくなるだけでなく、請求できるはずの金額が減ってしまうためです。

  2. (2)保険会社が対応する場合には弁護士に依頼を

    ふたつめは、加害児童が保険に入っていて、保険会社が対応に当たることになったときは、弁護士に対応を依頼してください。状況によっては、支払われるべき損害賠償額が不当に安くなってしまう可能性があります。適切な交渉を行うためにも、弁護士を依頼することをおすすめします。

    たとえば、永久歯、特に前歯を折った場合などでは、原状回復の一環としてセラミックの白い歯を入れることを視野に入れることもあるでしょう。しかし、適切な説明ができなければ、認められることはないかもしれません。それでも、交渉の経験が豊富な弁護士であれば、役に立てることがあるはずです。

3、学校や教師への損害賠償請求を検討している方へ

個人同士の損害賠償も大変な交渉を伴うものです。学校や教師への損害賠償請求と考えると、さらにハードルが高いと思い、あきらめてしまう方もいるかもしれません。

もちろん、学校側が事故を起こすように直接指示したわけではありません。しかし、事故が起きた現場は学校の敷地内です。責任の所在は、どのように関わってくるのでしょうか。

  1. (1)損害賠償請求できるもの

    12~13歳よりも幼い子どもが、ほかの子どもを傷つけてしまったというケースで、学校で起きた事故であれば、「代理監督者責任」と呼ばれるものがあるため、学校にも責任を追及できる可能性があります。

    さらに、教師や学校には、児童にケガをさせないようにする「安全配慮義務」があることも見過ごせません。ただ休憩時間に起きた事故のなかには、代理監督責任を問えないケースもあります。絶対に損害賠償を請求できるというものではない点に注意が必要です。

    ケガを負わせたのは個人ではなく、冒頭の事故のニュースのように学校の施設に不具合や安全配慮に欠ける点があった場合はどうなるのでしょう。学校の施設の不具合が原因でケガをすることになった場合、学校はその事故の損害を賠償する責任を負うことが少なくありません。これを「工作物責任」と言います。老朽化などであっても、その危険性を認識できていたかどうかを争う必要があるでしょう。

    学校側に請求できるものとしては、加害児童の場合とほぼ同じ内容となります。治療費、通院費、付き添い費用、それに伴う休業補償、そして慰謝料などです。基本的に公立学校であれば国家賠償法、私立学校や国立学校であれば民法715条が根拠条文となり、損害賠償請求できる可能性があると考えられます。

    しかし、事件については個々で状況が異なります。まずは、「自分の子どもにも非はあったのだから……」と泣き寝入りせずに、弁護士に相談してみることをおすすめします。

  2. (2)損害賠償請求の時効は?

    損害賠償請求は、いつでもできるというものではありません。
    損害賠償を行う対象となる事故が起きてから、時間がたってしまうと、損害賠償請求そのものができなくなってしまうのです。

    損害及び加害者を知った時から3年で、不法行為に基づく損害賠償請求権が時効となります。

    ただし、3年以上経過した場合でも安全配慮義務違反を主張できるケースがあります。すぐにあきらめず、まずは弁護士に相談して、詳しい説明を聞いてみるとよいでしょう。

4、子どものケガの損害賠償請求の判例

福岡県内で子どもが学校でケガを負い損害賠償請求で裁判まで至った判例のひとつは、県立高校で起きた騎馬戦での首骨折事故です。

本件は生徒に重い後遺症をもたらすことになってしまった、痛ましい事故でした。裁判の結果、平成27年3月、福岡地方裁判所で学校側の安全配慮義務を、ほぼ裁判所が全面的に認めた判決が出ています。

もちろん、どのような結果となるかは、個々のケースで異なります。必ずしも学校側の責任が全面的に認められるわけではないという点に注意してください。

5、単独事故のケガで加害者がいない場合の治療費はどうなるのか?

もしも、誰かに押されたのではなく、単純にひとりで転んで前歯を折ってしまったら、誰にも損害賠償請求できないのでしょうか。実は、その場合は「日本スポーツ振興センター」を利用することで保険金が支払われることがあります。

「日本スポーツ振興センター」では、義務教育諸学校、高等学校、高等専門学校、幼稚園、幼保連携型認定こども園、高等専修学校および保育所などの管理下における災害に対し、災害共済給付(医療費、障害見舞金または死亡見舞金の支給)を行っています。まずは学校へ問い合わせることをおすすめします。

ただし、災害共済給付金の請求権は2年で消滅します。
そのほかにも、生活保護世帯では給付できないものがあるなど、給付の制限が細かく定められているため、きちんと確かめてみる必要があるでしょう。

また、スポーツ振興センターの災害共済給付の額は、本来被害者が受け取るべき金額に比べると、ごくわずかな場合となることが少なくありません。学校側の責任が追及できるケースであれば、子どもの将来のためにも正当な金額の賠償を求めたほうがよいこともあります。どうしたらよいか迷うときは、弁護士へ相談してください。

6、まとめ

学校でのケガだからといって、損害賠償請求をためらうことはありません。穏便に済ませようとする圧力を感じ、それに憤りがあるのでしたら、一度弁護士に相談されることも検討してみてください。

損害賠償請求などの対応経験が豊富な弁護士であれば、請求に必要な証拠を集めたり、状況に合わせた交渉を行ったりと、適切な弁護活動に取り組みます。学校や加害児童やその両親などとの交渉窓口になることも可能です。

もしあなたの子どもが負傷していたら、治療に付き添う時間なども必要となるでしょう。学校などへの交渉は弁護士に任せることもできます。
まずはベリーベスト法律事務所 福岡オフィスへご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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