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夫婦間の暴行事件で被害にあった場合の損害賠償請求はどうすればいい?

2018年12月19日
  • 一般民事
  • 損害賠償請求
夫婦間の暴行事件で被害にあった場合の損害賠償請求はどうすればいい?

内閣府共同参画局の平成30年データ(平成30年9月28日 内閣府男女共同参画局 配偶者からの暴力に関するデータ)によると、配偶者の暴力を警察に相談した件数は年々増加の一途をたどっています。
福岡県でも平成30年8月には口論の末に、夫が妻をひき殺そうとして緊急逮捕された事件があったと報道されています。

このような夫婦間の傷害事件や暴力事件であっても、損害賠償請求は起こせるのでしょうか。また、ものを壊されてしまったときなど、損害賠償請求を行う手順や方法、できるケースできないケースなどを、福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、損害賠償請求とは?

損害賠償請求とは他人によって損害を与えられた場合に、その被害を具体的な金額で評価して相手に請求することができる権利です。

生活をするうえで、不幸にも他人から被害を受ける事態は、多かれ少なかれ誰にでもありえることです。命にかかわるような傷害事件はもちろん、DV被害や事故や婚約不履行、離婚などにも損害賠償請求を起こせる事案があります。また相手が個人ではなく会社の場合でも損害賠償請求は可能です。

具体的には、以下の法律が損害賠償請求を行える根拠となります。

不法行為
「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」という民法709条を根拠とする損害賠償請求


債務不履行
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができると定めた民法415条を根拠とする損害賠償

2、どのような損害賠償請求ができるのか?

民法で規定された内容だけをみても、意味がわかりづらいかもしれません。
そこで、本項で具体的にどのようなケースで損害賠償請求が行えるのか、代表的なものを解説します。

  1. (1)財産的損害と精神的損害

    実際に損害を受けるものには「具体的な財産的損害」と、「精神的損害」が考えられます。

    財産的損害は金銭や所有物が失わされたり、傷つけられたりしたことによる価値の減少を保証してもらうことを指します。

    精神的損害は「慰謝料」として請求できることが、民法710条に明文化されています。
    しかし、精神的損害は財産的損害に比べて、精神的損害は具体的な計算が難しいものです。個々によって価値が異なるものであるからこそ、損害賠償を行う相手に対して、受けた損害の大きさを証明する必要があります。損害賠償請求の対応経験が豊富な弁護士に相談すれば、妥当な金額を請求するためのアドバイスが得られるでしょう。

    なお、慰謝料と示談金は混同されやすいものですが、別物なので注意してください。慰謝料を支払ったからといって、自動的に示談が成立するわけではありません。

  2. (2)積極的損害と消極的損害

    与えられる損害の種類には「積極的損害」と「消極的損害」という分け方もあります。傷害を受けた場合などに、治療の費用がかかると財産がそれだけ減ってしまうようなことが積極的損害です。

    一方、消極的損害とは不法行為がなければ得られたであろう利益を指します。そのなかには逸失利益や休業損害、慰謝料などが含まれます。

  3. (3)逸失利益と休業損害

    消極的損害には、「休業損害」と「逸失利益」が含まれているのは前述のとおりです。休業損害には、けがを負わされたせいで仕事ができなくなった場合、得られたであろう給料などが想定されます。

    また、逸失利益は障害が残ったり、死亡したりしたときに、将来得られるはずだった利益のことです。死亡時のケースでは、死亡さえしなければ、これくらいは稼げていたはずだという金額を決めることになります。

    逸失利益の計算方法は自営業とサラリーマンでも異なりますし、かなり複雑なものとなります。正当な評価を算出したいときは、弁護士に相談することをおすすめします。

  4. (4)物的損害

    先にも述べたように金銭だけではなく、事故や故意によって財産の物的損害を受けたときにも損害賠償請求はできます。
    たとえば運送人のミスにより物的損害があった場合は、損害賠償請求の対象となるでしょう。壊れたものの修理費用や買い替え費用などは積極的損害として計算されるケースもあります。

3、損害賠償請求ができないケース

損害を受けたと思っていても、なかには損害賠償請求ができないケースも存在します。

  1. (1)損害賠償請求ができない理由

    損害賠償請求ができない理由として考えられる代表的なケースは、「故意又は過失ではなかった場合の損害」です。外形上違法行為であったとしても、そこに故意や過失がまったくなかったら、不法行為とは認定されない可能性があります。

    また、「証拠がそろわない場合」は、損害賠償請求訴訟自体はできたとしても裁判で勝訴することは難しいと考えられます。誰が加害者なのかがわからないケースで損害賠償請求を行うことはできません。

    さらに、要因が複数にわたり、誰を訴訟相手とするのかを決めるのも難しいことがあるでしょう。個人ではなく会社や組織を相手に、損害賠償請求を行う必要があるケース場合も考えられます。わからないことがあるときは、弁護士に相談してください。

  2. (2)民事の時効と刑事の時効

    さらに、時効が成立したときも、損害賠償請求ができなくなってしまいます。

    時効には損害を受けたケースによって時効が決まっています。たとえば、暴力を受けた場合では民事では3年、刑事では暴行罪で3年、傷害罪で10年です。この民事の時効は「消滅時効」と呼ばれ、損害および加害者を知ったときから起算します。

    消滅時効は期間が過ぎると、損害賠償請求ができなくなり、公訴時効は期間が過ぎると検察官が事件を起訴できなくなりますので気を付けましょう。

  3. (3)時効消滅と除斥期間

    民事的な損害賠償請求を行う際、注意しておくべき事項には、「時効消滅」とは別に「除斥期間」と呼ばれるものがあります。

    「時効消滅」では損害賠償請求する事案があることに気付いた時点からの起算となるため、損害相手や損害がわからなければ、その間の時効は停止します。時効が停止する理由は他にもありますが、損害賠償が可能な事案によって異なります。詳しくは弁護士に確認するほうがよいでしょう。

    ただし、所定の期間が経過すると、損害賠償を請求する権利が消滅してしまう「除斥期間」も設定されています。損害賠償請求権の除斥期間は「不法行為時から20年間」です。除斥期間については、被害者が不法行為の事実や加害者を知っているかどうかは問題になりません。期間について不安がある場合は、損害賠償請求を行う前に弁護士に相談してください。

4、損害賠償請求の進め方

冒頭のように、DVに対する損害賠償請求を行うときは、離婚が視野に入るケースや、損害賠償請求を行うことでさらなる被害を受ける可能性もあります。

しかし、新たな出発のためにも損害賠償請求をして、正当な被害額を補償してもらいたいと思うことは、正当な権利です。被害の金額は相場や基準などが存在する場合もありますが、基本的には個々のケースになるものです。

具体的に、どのように損害賠償請求を進めていくべきなのかを知っておきましょう。

  1. (1)損害賠償請求のために用意しておくこと

    損害賠償請求を行うのであれば、証拠が必要となります。

    不法行為のせいでけがを負った場合は病院代や通院代なども領収書を取っておきましょう。診断書も大事です。けがなどは写真を撮っておくこともおすすめします。

    また暴行を相手が行ったという証拠も集めておくといいでしょう。第三者の証言や録音データ、録画データなど、有力な証拠があれば、裁判が有利に進むと考えられます。

  2. (2)損害賠償請求の具体的な流れ

    相手の不法行為により損害賠償請求を行う際は、まずは警察へ行き、被害届を出すことから始まるケースがあります。もし、被害を受けたそのときに出せなくても、後から被害届を出すこともできます。

    もちろん、すべてのケースが被害届を出すというわけではありません。どのような手順を取ったほうがよいのか、不安な場合は弁護士に相談すれば、事情に合わせた適切な方法を提案します。

    次に話し合いを持つことになるでしょう。話し合いによって賠償金額が合意できないときや、そもそも話し合いができないときは、内容証明郵便で損害賠償請求するという手法が考えられます。

    それでも反応がなかったり、交渉がまとまらなかったりしたときは、調停を起こすこともあります。調停は、民事事件において調停委員という第三者を介した話し合いをする場を提供する制度です。相手と直接顔を合わせて話し合うことはないので、相手には会いたくないと考えているときでも利用できます。

    調停が不成立となった場合は、紛糾解決センターを利用することも可能です。それでも不成立の場合は、最終的に裁判となるでしょう。

    いずれの場合も弁護士に相談いただければ、最終的な裁判までをにらみ、経験豊富な立場からフォローを行います。弁護士を通して交渉したほうが、損害賠償金額が不当に安くなる事態を回避できる可能性が高まります。

5、損害賠償請求で弁護士を依頼するメリット

民事訴訟では「本人訴訟」といって、弁護士を雇わずに訴訟を行える制度があります。
しかし、膨大な作業量を迫られることになるうえ、ある程度の法律的な専門知識が求められることになります。

特に損害賠償請求では、ケースによって立証の方法が異なるなど、難しい交渉が続くことになります。相手方が弁護士を立てているケースでは特に、相当勉強していなければ、結果に直結してしまうことになるでしょう。

また、損害賠償請求を行う相手に直接接触したくないと考えるケースは少なくありません。特にDVなどのケースでは、対面で交渉するほうが危険を伴うと考えられます。そのようなとき、弁護士を依頼していれば、代理人として交渉を行ったり、窓口となって対応したりと、あなた自身の身を守ったまま損害賠償請求を行うことができます。

損害賠償請求に至るまで、すでに多大な苦痛を受けているケースも少なくありません。これ以上負担が増えることは避けたいものです。弁護士に相談するだけでも、豊富な経験にもとづいたアドバイスを得ることができますし、気持ちが落ち着いてくることもあるでしょう。まずは、弁護士に相談してみることをおすすめします。

6、まとめ

損害賠償請求は、暴行行為に対するものだけでなく、物的損害だけの場合や、婚約不履行などの物的損害やけががないケースでも行うことがあります。

ただし、交通事故による損害賠償請求の場合は、より複雑となるものです。
ひとまとめにすることは難しく、個々のケースによって、請求できる可能性が異なることもあるでしょう。また逆に、慰謝料請求が適正ではないとみなされてしまうと、あなた自身が不利になってしまうため、勇み足は禁物です。

損害賠償請求をしたいと考えたときは、まずはベリーベスト法律事務所 福岡オフィスで相談してください。状況や背景を整理し、過去の事例などとも照らし合わせながら、あなたが抱える問題を早期解決できるよう、全力を尽くします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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