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ネット通販で購入した商品が届かない! どこに相談すればいいのか

2023年07月10日
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ネット通販で購入した商品が届かない! どこに相談すればいいのか

福岡市生活消費センターが公表する「令和5年度 事業概要」によると、令和4年度中に生活消費センターが受けた相談11131件のうち、インターネットで購入した商品やサービスに関連する相談が35%も占めていることがわかっています。

数多くの方が相談をしているように見えますが、実際には警察にはもちろんどこにも相談できず、泣き寝入りしてしまっている被害者もいるでしょう。被害が高額な方もいるかもしれません。では、商品が届かないなどの通販トラブルに遭ってしまった場合はどのように対処すればいいのでしょうか。福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、商品が届かない! 債務不履行の対処法

「商品が届かない」「届いたが壊れている」など、購入時の約束を守ってもらえないことを法律用語で「債務不履行」といいます。債務不履行には3つの種類があり、それぞれ次のような対処法があります。

  1. (1)債務不履行には3つの種類がある

    債務不履行とは、簡単にいえば契約内容を守らないことです。

    通信販売サイトで商品を購入する際、購入者と販売業者は売買契約を結びます。この契約により購入者は代金を支払うことを、業者は商品を引き渡すことを約束します。

    代金を支払ったにもかかわらず業者が商品を発送しないことは、この約束に背いたということであり、債務不履行にあたります。

    債務不履行はその内容により次の3種類に分けられます。

    • 履行遅滞:在庫はあるのに引き渡さないなど、履行がないまま契約で定めた期限が過ぎる
    • 不完全履行:注文と違う商品を渡すなど、契約で定めたとおりに履行しない
    • 履行不能:契約締結後に倉庫が火事になり商品が焼失したなど、履行が不可能となる
  2. (2)債務不履行のケース別対処法

    通販トラブルにおける対処方法は、主に「催告」「契約解除」「損害賠償」です。債務不履行では上記の3つのどのケースに該当するかによって、選択すべき対処法が異なります。

    ●履行遅滞の場合
    履行遅滞では、まずは「催告」をしましょう。催告とは、相手に契約で約束した一定の行為を、その行為をするのに必要と考えられる期間を踏まえた期限を設けて実行するように要求することです。期限を設定したうえで、商品を早急に発送するように求めましょう。

    催告しても設定した期限までに対応してもらえない場合には、「契約解除」が可能です(民法第541条本文)。ただし、催告したときから設定した期限までの期間を経過したときの債務不履行が軽微な場合には「契約解除」ができないこともあります(民法第541条但書)。ここでいう債務不履行が軽微な場合とは、たとえば、数量的にわずかな債務不履行などです。
    商品が届かなかったために店をオープンできなかったなど、債務不履行により損害が発生した場合には、「損害賠償」を求めることもできます。「損害賠償」請求は、債務不履行によって通常生じると考えられる損害(たとえば、購入した商品が得られなかったことで同種の商品を買うのにかかった費用など)、当事者が特別に予見すべきであった損害であれば、認められるでしょう。

    ●不完全履行の場合
    不完全履行も同様で、まずは「催告」で約束通りの商品を送るように求めましょう。業者が応じない場合には「契約解除」や「損害賠償請求」を行いましょう。

    ●履行不能の場合
    履行不能の場合には商品がなくなっているなどの背景があるため、そもそも約束を守ってもらうことができません。

    そのため「催告」ではなく「契約解除」または「損害賠償」を求めていきます。なお契約解除の利用は催告をしていることが原則ですが、次のようなケースでは例外的に催告なしで契約解除ができます(民法第542条)。

    • 履行が不能
    • 業者が履行を明確に拒絶した
    • 一部についての履行不能または履行拒絶で、残った部分では契約目的が達成できない
    • 特定の日時または一定の期間までに届かなければ意味がない「定期行為」だった(誕生日ケーキなど)
    • 催告をしても履行される見込みがない


    ただし債務不履行が軽微な場合や購入者の落ち度によるものである場合は、契約解除できません。契約解除は、解除の意思を業者に表明したことが残る形で伝えることが望ましく、業者に内容証明郵便で解除を通知して行うとよいでしょう。その際、代金の返還もあわせて求めましょう。

2、クレジットカードで支払った場合の対処法

商品をクレジットカードで購入した場合には、カードの支払いを止めるという方法もあります。詳しくご説明します。

  1. (1)「抗弁権」で支払いを停止する

    クレジットカードで購入した商品が届かない、欠陥があるといった場合には、利用者はクレジット会社への支払いを一時的に拒否できます

    これを「支払い停止の抗弁権」といいます(割賦販売法第30条の4第1項、35条の3の19第1項)。

    たとえば次のようなケースで利用できます。

    • 商品が届かない
    • 商品が期限より遅れて届いた
    • 商品に欠陥がある
    • 商品が見本と違う
    • 販売条件だった役務が履行されない


    購入商品が届かず、販売業者とも連絡がとれない場合には、できるだけ早く支払い停止を申し出ましょう

    手続きは基本的に書面で行います。「支払停止の抗弁書」が各カード会社のホームページなどに掲載されていますので、チェックしてみてください。

  2. (2)抗弁権利用の際の注意点

    支払い停止の抗弁権は、次のケースに該当する場合には認められません

    • 割賦販売法の適用除外の場合(割賦販売法第35条の3の60)
    • 翌月一括払いの場合
    • 支払総額が4万円未満(リボ払いでは現金販売価格が3万8000円未満)のとき(割賦販売法30条の4第4項、第35条の3の19第4項)


    特に翌月一括払いは分割払いと違って手数料が発生しないため、クレジット決済で非常によく利用されています。ただし、支払い停止の抗弁権を定めている割賦販売法は、2回以上の分割支払いを対象としています(割賦販売法2条第1項1号、第2項1号参照)。そのため、翌月一括払いは、支払い停止の抗弁権を定めた割賦販売法の適用外なので、抗弁権が認められないので注意してください。

    また支払い停止の抗弁権はあくまで一時的に支払いを停止する措置であり、業者との契約が解除できたわけではありません。契約解除や損害賠償は別に行う必要があります

    なお銀行振り込みで支払った場合には、振込先の銀行に連絡をして事業者の口座の凍結をお願いしましょう。

3、業者と連絡がとれない場合の対処法

商品が届かない場合、行き違いの可能性もあるため、まずは相手の業者と連絡をとりましょう。ただ返信がなかったり、問い合わせ先情報が記載されていなかったり、そもそも実態のない業者だったりすることもあります。その場合には次のような対処法があります。

  1. (1)運営サイトに問い合わせる

    Amazonや楽天などの通信販売サイトに出店しているショップから購入した場合には、サイトの運営会社に問い合わせてみましょう。ショップに問い合わせるなどの対応をしてくれる可能性があります。

    また通販サイトによっては商品が届かない、届いた商品に欠陥がある、といった場合に条件を満たせば購入代金を補償するサービスを行っているところもあります。あわせて確認しておきましょう。

  2. (2)詐欺サイトの場合は警察に相談

    問い合わせに返信がない、問い合わせ先が記載されていない、業者に実態がないといった場合には、詐欺サイトの可能性があります。海外サイトの場合には特に注意が必要です。

    詐欺の場合、ご自分で業者の住所を探したり連絡したりすることは困難であり、返金してもらえる可能性は低いでしょう。すぐに警察や弁護士に相談してください

4、ネットショッピングのトラブルの相談先

ネット通販のトラブルは多発しているため、さまざまな窓口で相談を受け付けています。トラブルが起きた場合には、すぐに次のような相談先に連絡しましょう。

  1. (1)消費生活センター、消費者ホットライン

    消費生活センターでは、あらゆる消費者トラブルの相談を受け付けています。全国各地に設置されていますので、最寄りの消費生活センターに連絡してみましょう。

    また「消費者ホットライン(電話番号188)」に電話をかければ、消費生活センターなどの相談窓口を案内してくれます

  2. (2)通販110番

    日本通信販売協会(JADMA)では、通販トラブルに関する相談を電話やメールで受け付けています。相談に対する回答は、メールや書面でなされることはなく、すべて電話で行われます。なお、海外に居留されている方への回答も行っておりませんのでご注意ください。

    消費生活アドバイザーのなど専門の資格を保有した相談員に、日本だけでなく海外のサイトで購入したケースも相談することが可能です。

  3. (3)警察

    詐欺が疑われる場合には、最寄りの警察署に相談しましょう。都道府県警に設置されているサイバー犯罪対策窓口への相談も可能です。被害額が少ない場合には相談しにくいかもしれませんが、同様の被害が相次いでいるケースもありますので、まずは相談してみることが大事です。

    その際には注文確認メールやクレジットカードの利用明細など、証拠になりそうなものを持参するようにしましょう。

  4. (4)弁護士

    業者が返金に応じてくれなかったり、連絡がとれなかったりする場合には、弁護士に相談するのがおすすめです。

    損害賠償請求訴訟を起こす場合には法律の知識が必要となるため、個人が行うには手間も時間もかかります。しかし、弁護士に依頼すれば、内容証明郵便を使った契約解除や返金請求を行うなど、多くの手続きを代行してくれます。

    ただし被害が少額な場合、裁判を起こしても返金や賠償で得られる額に対して弁護士費用の方が高くなってしまう可能性があります費用については依頼前に弁護士に確認しておきましょう

5、まとめ

ネット通販では、比較的気軽に商品を購入してしまいがちです。また、ネットでしか手に入れられない商品やサービスも少なくなく、やむを得ず購入してお金を払ってしまったというケースもあるでしょう。福岡市生活消費センターによると、単品で購入したつもりだったのに定期購入の契約になっており、解約や返金に応じてもらえないなどのケースが増加しているという報告もあります。トラブルに巻き込まれた場合、連絡がとれない、返金してもらえないと諦める前に、ぜひベリーベスト法律事務所 福岡オフィスにご相談ください。

ご相談内容に応じて弁護士が業者との交渉や裁判など、必要な対処をスピーディーに進めていきます。費用についても事前にしっかりとご説明します。どうぞお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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