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財産分与では親からの贈与も対象になる? 離婚時に財産を守る方法

2023年07月10日
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財産分与では親からの贈与も対象になる? 離婚時に財産を守る方法

「福岡市統計書(令和4年(2022年)版)」によると、令和3年に「財産の分与に関する処分」についての事件について福岡家庭裁判所で受理された件数は67件ありました。件数としては多くないように感じるかもしれませんが、そもそも財産分与について話し合わなかったり、相手が言うがまま財産を渡して離婚してしまうケースが多々あるでしょう。その場合、後日後悔してしまう結果になりかねません。

財産分与の対象となる財産は数多くあります。なかでも、親から贈与として譲り受けた不動産や保険金など預貯金が含まれていた場合、共有財産なのか特有財産なのかでもめやすいものです。今回は、親から受けた贈与を離婚の際に財産分与を求められたらどう対応すべきかについて、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、離婚の財産分与とは?

「財産分与」とは婚姻中に夫婦が共同で築いた預金などの財産(共有財産)を離婚の際に分配することです。

慰謝料と同じように考えられることがありますが、財産分与は不倫などの不法行為により相手方が被った苦痛を金銭で賠償する慰謝料とは別物です。

そのため財産分与は、夫婦に共有の資産があれば、有責配偶者(夫婦のうち離婚に至る原因を作った側)であっても分割分を受け取る権利があります。反対に、あなたに非はなく相手が有責であっても財産分与を求められたら応じなければならないのです。離婚に伴う財産分与を適切に行いたいとお考えになっているのであれば、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
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なお、財産分与には主に以下の3つの側面があります。

  1. (1)清算的財産分与

    婚姻中に夫婦で築き、維持してきた財産は、それぞれの貢献度に応じて公平に分けあう分与のことです。通常、単に財産分与という場合は、この清算的財産分与を指します。財産に対する貢献度によってその割合は変わりますが、一般的には1対1、つまり平等に分割するケースがほとんどです。

    たとえ、夫が主に働いていて妻が収入のない専業主婦であったケースであっても、平等に分割することになるでしょう。なぜなら、妻が家事育児を担ったからこそ夫が十分に働けたと解釈されるためです。

  2. (2)扶養的財産分与

    共有財産を公平に分配し慰謝料などの金銭を支払っても、一方の離婚後の生活に経済的な不安が残るケースがあります。
    その際、離婚成立後、夫または妻の生活が困窮するのを防ぐために、生活費を一部援助する意味で財産を分け与える財産分与のことです。夫から妻に支払われるケースが多くを占めています。

  3. (3)慰謝料的財産分与

    離婚時に慰謝料について話し合いをしなかった場合や、慰謝料請求をしても十分な慰謝料が得られなかった場合に、慰謝料の分も含めて財産を分け与える財産分与のことです。相手方が慰謝料を支払う義務を負う場合に、それを加味して財産分与を行うことができることになっています。
    協議離婚などで慰謝料の名目をはっきりと定めない場合においては、慰謝料的意味合いを含む財産分与が行われるケースもあるでしょう。

  4. (4)婚姻費用財産分与

    離婚手続きのときに婚姻費用の清算ができていない場合、婚姻費用を含めて財産を分与する財産分与のことです。
    婚姻費用とは、簡単にいえば生活費を指します。夫婦には相互に生活保持義務があり、自己と同じ生活水準を他者に維持させる義務があります。婚姻費用の負担もその生活保持義務に由来するものです。

    たとえば離婚成立時までの期間を別居していたケースで、妻の収入が少ない、もしくは全くない場合、夫は妻に対して生活費にあたる婚姻費用を支払う義務が生じるということです。

2、自分の親からの贈与は財産分与の対象になるのか?

前述のとおり、離婚が決定した配偶者と財産分与について考えるときは、基本ルールとしては半分ずつ分けあうことになっています。しかし、そこには細かい取り決めがありますし、お互いの生活にかかわる部分もあるでしょう。

そこで、話し合いが頓挫してしまう原因となることが多い、親からの贈与について解説します。

  1. (1)親からの贈与は共有財産か特有財産か

    まず原則として、離婚に伴う財産分与の対象となるのは、夫婦が協力して形成した財産に限られます。これは「共有財産」と呼ばれるものです。

    しかし、独身時代に得た不動産や貯蓄などについては、夫婦が協力して形成した財産ではないため、財産分与の対象にはなりません。このような、財産分与の対象にならない個人の財産を「特有財産」と呼びます。

    したがって、結論からいえば、一方の親からの贈与や、親から相続によって得た財産は、共有財産にはあたりません。

    ただし、親からの贈与といっても例外はあります。たとえば、生活費の援助として少しずつもらい家計に入れていたお金などの場合は、夫婦に対しての援助的な性質と捉えられます。このようなケースではどこまでが特有財産か判別できないため、共有財産と判断されることもあるでしょう。

    誰が判断するのかといえば、最終的には家庭裁判所による裁判です。裁判で争う場合、特定の財産について特有財産であると主張する側が、証拠などを用意して特有財産であることを立証する必要があります。

    たとえばあなたが「この通帳に入っているお金は自分の親からの贈与だ」と主張しても、それが立証できなければ、共有財産として認定される可能性があります。

  2. (2)親からの贈与である不動産はどうなる?

    では、もしも夫婦の新居を購入するときに、あなたの両親に頭金などを資金援助してもらい、夫婦名義の不動産購入をしたとしましょう。その際に援助してもらったお金は原則として財産分与の対象にはならないと考えていいでしょう。

    前述のとおり、それぞれが結婚前からすでに持っていたものも財産分与の対象とはなりません。また、結婚後にそれぞれの両親などから相続した財産があったとしても、これは結婚した状態でなくても得られた財産であるため、特有財産とみなされます。

    したがって、あなたが両親から自分に贈与(相続財産の前渡し)されたものと考えれば、その資金援助を受けた頭金はご自身の特有財産となり、特有財産部分を差し引いた価値を考えたうえで財産分与することになる可能性があるでしょう。

  3. (3)住宅ローンの扱いは?

    頭金は親から出してもらったとしても、まだ住宅ローンや車のローンが残っている場合もあるはずです。それは負債ですが、財産分与の対象となります。そして、負債であっても、それは夫婦の共有財産とみなされるためです。

    住宅ローンを払い終わっている場合は、引き続き住む方が住宅の価値にそった財産分与を行うことになります。払い終わっていない場合も財産分与相当の金銭的取り決めがあります。名義変更が伴うときは登記などの手続きも必要です。

    さらに、財産分与を行うタイミングによっては税金などの問題もかかわってくるでしょう。また、住宅ローンが残っているケースは、銀行も絡んできますのでより対応が複雑となります。

    自宅不動産やローンがある場合は、個人で対応しようとすると、思わぬ落とし穴によってその後の生活で支障をきたすこともあるかもしれません。可能な限り、離婚に伴う財産分与に対応した経験がある弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

  4. (4)退職金は財産分与の対象?

    もしも夫婦のどちらかが離婚前に、定年退職などによって退職金を取得していた場合には、財産分与の対象になります。

    では、未来の退職金についてはどうでしょうか。これからもらう退職金の場合は、すでに取得した退職金とは異なり、離婚のときに存在していた財産とはいえません。

    しかし、支給の蓋然(がいぜん)性が高いものは財産分与の対象とされています。
    具体的な参入方法としては、離婚時に退職したと仮定して、算定した退職金のうち妻との婚姻期間相当分を財産分与の対象とするケースが多い傾向があります。

    ですが、近年は退職金が出ない企業も少なくないようです。退職金が必ず出るといえる状態であり、婚姻年数が長かったなどの条件がそろわなければ、現時点で発生していない退職金を財産分与の対象とすることは難しいかもしれません。

3、親からの贈与を含めた財産分与の方法と進め方

離婚をするとなると、離婚後の生活のことも考える必要があります。少しでも多く財産分与を獲得したいところです。もちろん、自分が親から贈与された財産を相手に渡したくないと考えることも当然でしょう。

しかし、合意できず話し合いが長期化するとデメリットも多いものです。何よりも精神的な疲労が大きくなることは明白です。

そこで、まずは財産分与の方法と進め方を知っておく必要があります。

  1. (1)協議

    離婚の財産分与の進め方としては、まずは話し合いから始めるのが基本です。「協議離婚」をするのであれば、未成年の子どもがいる場合の親権者だけ決めれば離婚はできます。つまり、財産分与や慰謝料、養育費や面会交流権、年金分割などについては、何も決めなくても、離婚だけであれば互いの合意さえあればできてしまうということです。

    しかし、協議離婚であっても、財産分与や養育費、慰謝料請求、年金分割などの離婚条件については、必ず取り決めておくことを強くおすすめします。決めていなかった場合には、話し合いをする時間を取ることが難しくなりますし、財産分与などで不動産などがあるときは税金などの取り扱いも異なるものになります。離婚前に財産分与などのことを決めていない場合、後々トラブルになるか泣き寝入りすることになってしまう可能性が高まることになります。

    また、話し合って財産分与などの内容について取り決めたとしても、その内容を書面にしていない場合もトラブルになりがちです。後々受け取れない、もしくは過剰な請求を受けるというケースもあり、その際、再び話し合いを行う必要が発生しますし、泣き寝入りせざる得なくなる状態になることは少なくありません。

    協議離婚の条件を定めたら、まずは必ず「協議離婚書」や「離婚合意書」「協議離婚合意書」などという書面に残すようにしてください。決めごとを書いた書面に、夫婦が双方とも署名押印をして、日付も忘れずに入れておきましょう。可能であれば、作成した書類を公正証明書にするとより安心です。

  2. (2)調停

    話し合いによる協議がうまくいかない場合は調停に移っていきます。離婚調停は、家庭裁判所で行われ、調停委員会(裁判官1名と、法律家に限らない2名の調停委員)を介した話し合いを行うものです。

    手順としては、まず離婚の調停申立書の提出し、調停期日の日時を決定したあと、調停委員会による事情聴取が行われます。事情聴取では、同じ日にそれぞれが別々に呼び出され、調停委員に対して自らの主張を行いながら、話し合いの落としどころを探っていきます。
    たとえば親からの贈与が共有財産か特有財産かで争いになっていれば、法律的な判断も含めた提案が行われます。

    調停委員会の事情聴取終了後、互いに合意して離婚成立となると、調停調書が作成されます。10日以内に、調停調書を離婚届と一緒に市役所に提出すれば、離婚が正式に成立します。調停調書は公的な強制力を持つ書類です。なくさないように保存しておきましょう。

    しかし、ここでも親からの贈与問題に納得がいかず、調停員会が調停を成立させるのは困難であると判断された場合は、調停離婚の不成立(不調)として終了となります。

  3. (3)審判

    離婚調停が成立しない場合には、家庭裁判所が職権で行う調停に代わる審判が予定されています。調停は当事者の話し合いによって解決を目指す手続きでしたが、審判と裁判は、家庭裁判所が審理した結果を当事者に下すものです。

    審判は非公開で口頭弁論もなく、当事者の陳述を聴き、調停の過程や家庭裁判所による事実の調査に基づいて進行します。ここでは財産分与の審判も行われるので、親からの贈与問題も審判によって判断が下されるでしょう。

  4. (4)訴訟

    離婚調停で合意が成立せず、審判にも異議申し立てをした場合、次に行うのは離婚裁判(訴訟)です。

    離婚裁判では、当事者双方の主張・立証に基づき、請求の根拠やその反論となる証拠を提出し、口頭弁論を経て、裁判官によって判決という形で一定の判断を下します。
    判決には一定の強制力があるため、財産分与のほか、離婚に伴う条件で納得がいかないときは、最終的にこの裁判で決着をつけることになるでしょう。

4、まとめ

離婚においての財産分与の手続きは、これからの生活を考えれば大変に重要なことです。特に、ご自身の親から受けた贈与まで分与を求められれば納得ができないと思われることは当然ですし、実際に財産分与の対象にはならない特有財産として扱われます。早期に離婚したいからといって、相手の要望をすべて飲むことは適切ではないケースが多々あります。基本的には半分ずつ分割しあうことになる財産のうち、自分の親から贈与してもらった部分まで相手が求めるがまま財産分与してしまえば、その行く末が大きく変わってしまう事態になりかねません。

離婚に伴う財産分与についてはもちろん、親権、養育費、慰謝料などで適切に話し合いが進められないというケースは多々あります。金額が大きいケースや、相手の言い分に納得ができないとき、そもそも話し合いができないなど、離婚問題でお悩みのときは、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでお気軽にご相談ください。あとになってトラブルが生じるのを防ぐためにも、財産分与については早めに離婚問題の経験豊富な弁護士に相談し、対応を依頼しておくことをおすすめします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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