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相続で重要になる自筆証書遺言の財産目録について弁護士が解説!

2019年10月30日
  • 遺産を残す方
  • 自筆証書遺
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相続で重要になる自筆証書遺言の財産目録について弁護士が解説!

平成30年6月、福岡県大野城市で遺産相続トラブルが原因とみられる殺人未遂事件が起きたことが報道されています。このように、遺産相続にまつわる親族間のトラブルは後を絶ちません。身内に争いの種を残さないためには、生前から遺産相続についてやるべきことを把握しておくことが大切ではないでしょうか。

相続においてもっとも重要なことは、遺産を誰に、どのように配分するかということでしょう。それを決める際に大きな役割を果たす「財産目録」について、令和元年7月1日から施行された法改正の内容とともに、福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、相続における遺言とは?

民法では、被相続人の財産を相続する「法定相続人」が定められています(民法第887条、第889条、第890条)。法定相続人ごとの財産分割割合を示す法定相続分は、民法第900条および第901条に定められており、たとえば配偶者は「2分の1」とされています。

一方、遺言は、死亡した人(被相続人)が、自分の財産を、誰にどのように相続させるかについて、自分の意思を示すことができる書面です。
正しい方式で記述されていれば、法定相続分とは違う割合にすることも可能となります。

2、遺言書作成時に財産目録が必要となる理由は?

もしもあなたが遺言を作らずに亡くなった場合、法定相続人に対し、民法に定められた法定相続分で遺産を分割することとなります。

民法では割合のみ定めているため、相続人の誰が、何を、どれだけ相続するのかを具体的に決めるためには、相続人全員で話し合いをして合意する必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。

財産目録は、複数の相続人の間で遺産分割協議を円滑に進めるためには非常に重要な情報です。適正な遺産分割をするためには、まずはその遺産が正確に記載されているかどうかが大切になります。

遺産分割協議では相続人の思惑が対立することもしばしば発生します。
被相続人の配偶者が「自宅にこのまま住みたい」と望んでも、遺産総額が4000万円で、自宅の評価額が3000万円、現預金が1000万円であるケースでは、配偶者に認められる法定相続分「2分の1」は2000万円で、自宅の評価額はそれを上回ってしまいます。
他の相続人が現預金1000万円だけでは足りないと主張した場合は、自宅を売却せねばならないなどのトラブルがよく聞かれます。

遺言や財産目録の存在により、相続について明確に指定してあれば、遺された相続人の負担が大きく軽減されることは間違いありません。

3、遺言の方式

正しく遺言や財産目録を作成するにはどのような手続きが必要になるのでしょうか。

  1. (1)法律で決められている遺言方法

    遺言の方式は民法で厳格に定められており、規定された方式に従って作成しなければ遺言が無効になってしまいます。
    したがって、遺言を作成する際には、弁護士など法律の知見のある第三者にチェックしてもらうことを強くおすすめします。

    遺言には「普通方式」「特別方式」の2つの方式があります。

    ①特別形式
    特別形式は、感染症や遭難などの緊急時に認められる形式です。
    平常時に作成する遺言は「普通方式」にあたります。

    ②普通形式
    普通形式には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。


    本コラムでは、もっとも一般的で、今回法改正が行われた自筆証書遺言を中心に説明します。

  2. (2)自筆証書遺言とは

    遺言者がすべて自筆で記述する遺言です。
    本文と作成した日付を自筆して、署名押印することで作成できます。紙とペンさえあれば作成できるため、費用がかからず手軽に作成できるのがメリットです。代筆や、パソコンでの作成(印刷)は無効となる場合があります。

    一方で、形式の不備があれば無効となりますし、遺言者自身で保管するため紛失や改ざんされるおそれもあります。
    また相続人が勝手に開けてはならず、開封時は家庭裁判所に持参して「検認」という手続きが必要となります。

4、自筆証書遺言に関する法改正施行についての解説

これまで自筆証書遺言は、財産目録も含め、すべて遺言者が自筆で書かねばならないとされていました。多くの不動産や金融資産を有している場合、これらすべてを自筆するのは非常に苦労を伴う作業だったのです。

しかし、平成30年7月、約40年ぶりに相続に関する大きな法改正が行われました。
この法改正によって、自筆証書遺言の方式が緩和されています。
まずはその内容を解説します。

  1. (1)財産目録を自筆以外で作成することが可能に

    自筆証書遺言に添付する財産目録の方式が緩和され、パソコンなどで作成し印刷したものや、通帳を複写したものも財産目録として認められることになりました。
    ただし、これら財産目録の各ページに自筆の署名押印が必要です。

    片面印刷であれば表面もしくは裏面に、両面印刷であれば両面にそれぞれ署名押印が必要となります。一般家庭や職務上でもパソコンが普及している昨今、財産目録がパソコンの活用で簡便に作成できることは、遺言書の有用性を高め、相続に関する係争を未然に防ぐことにもつながります。

  2. (2)平成31年1月13日以降に自筆証書遺言をする場合に限る

    ただし、法律が施行される平成31年1月13日より前に作成された自筆証書遺言には適用されません。過去に作成している場合は作り直す必要がある点に注意が必要です。
    また、財産目録に記載した内容が実情と大きく異なる場合、遺言自体が無効になってしまう可能性があります。せっかく作成しても無効になっては意味がありません。

    したがって、前述の通り、相続に関する知見が豊富な弁護士に相談しながら作成することを強くおすすめします。

5、財産目録に記載する具体例

財産目録の書式には、特に指定はありません。相続における財産目録に記載するものは、積極財産の部と消極財産の部に分けて書き出すとよいでしょう。

財産目録に記載する代表的な項目は以下の通りです。

  1. (1)積極財産の部

    ①現金・預貯金・有価証券
    預貯金や一般流通している金融資産は、額面や時価が明白です。

    ②生命保険
    生命保険番号や保険証書のコピーを添付しましょう。

    ③不動産
    不動産は、「固定資産税納税通知書」や「登記簿謄本」を確認しておくとよいでしょう。

    ④自動車やその他の動産
    自家用車や貴金属類、美術品など高額な動産については一度査定に出しておくと、査定時点での評価額を把握することができるでしょう。

  2. (2)消極財産の部

    ①借入金
    遺産には借入金などマイナスの財産もあります。
    借用書、金銭消費貸借契約書などがあれば、写しを添付しておきましょう。

    不動産や高額な動産に関しては、ローン返済が残っている場合もあるでしょう。
    その場合は、備考欄に消極財産の部に記載したローン番号を記載して、借入金との対応関係が分かるようにしておくとよいでしょう。

  3. (3)財産目録の作成方法

    生前に財産目録を作成する場合には、作成日付を必ず記載して、その時点での財産であることを明らかにしておくことが必要です。

    財産目録に有効期間などはありません。
    ただ、大きな変更があった場合は、その都度書き換えておかなければ、相続の手間が増えてしまいます。これをもとに、相続人全員で協議した上で、遺産分割協議書を作成することになります。

6、相続の財産目録作成を弁護士に依頼するメリット

財産目録の作成にあたり、時価が確定していない遺産、土地や未上場株式については、正しく評価額を算出するのは大変難しいものです。
他にも、後から財産が見つかるということもあるでしょう。

正確な財産目録を作成する場合には、財産目録の作成経験や遺産相続に関する知見を持つ弁護士などに依頼することをおすすめします。

特に、現に親族が居住している不動産は、分割相続が難しいことから係争の元となりやすい財産です。
なお令和2年4月1日以降に開始する相続であれば、配偶者居住権が適用されます。
被相続人が所有していた自宅に被相続人の配偶者が住んでいた場合、自宅を配偶者が相続する・しないに関わらず、配偶者がその自宅に住み続ける権利が認められることになります。

このように、現在は法改正の端境期です。適切な対策をとるためには、最新の情報を知る弁護士に相談してください。
財産目録作成の段階から、つまり被相続人が存命のうちに弁護士とのつながりがあれば、万が一、相続人の間でもめるようなことになっても、すぐさま弁護士に対処を依頼することができるでしょう。
その後の遺産分割協議も、安心して任せることができるのではないでしょうか。

7、まとめ

今後を見据えて一度立ち止まり、財産の全貌を把握しておくことは、ご自身や親族にとっても非常に有益です。

ベリーベスト法律事務所は、税理士など税金のプロフェッショナルも多数在籍しています。財産目録の作成のみならず、相続税対策も含めた包括的なプランをご提案することが可能です。
遺言書の書き方や相続対策、事業承継対策などでお悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所・福岡オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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