子どもの親権を取り戻したい! 親権変更の方法や手続きを解説

2018年08月14日
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子どもの親権を取り戻したい! 親権変更の方法や手続きを解説

子どものいる夫婦が離婚をする際に、一番気がかりになることは、子どもの親権です。

離婚の際に話し合った結果、結局親権が相手に渡ってしまったものの、やはり後から納得できずに親権を取り戻したいと考える人も多いでしょう。

そこで、親権は変更することはできるのか、また変更の際にはどういった手続きがあるのかを詳しく解説していきます。

1、親権とは

離婚の際には親権争いがあったという話などを耳にすると思いますが、「親権」とはどういったことを指すのでしょうか。

  1. (1)そもそも親権って何?

    親権とは、未成年者である子どもを養育監護し、また財産を管理するための権利や義務のことを指します。
    未成年の子どもを有する夫婦が離婚する際には、夫婦のどちらが親権を所持するのか、必ず決めなければ離婚することはできません

  2. (2)親権には2つの種類がある

    法律で定めている親権には2つの種類があり、子どもの財産を管理する「財産管理権」と、子どもに対して実際にしつけや身の周りの世話を行う「身上監護権」があります。

    ① 身上監護権
    子どもと一緒に暮らし、教育や世話をする権利を担います。
    この権利は子どもが成人するまで有効となり、この権利のために親権を争う場合が多いでしょう。

    ① 財産管理権・法定代理人
    子どもの財産を管理することや、子どもが何かの契約をする時に代理人として契約を行う権利になります。


    ただし、これら全ての権利を夫婦の片方が持つ単独親権以外に、身上監護権のみを分割する場合もあります。 親権を分割すると片方の親が一緒に暮らすことができるだけでなく、もう一方の親は法定代理人の権利を持つことができます

2、親権の変更について

離婚の際に決まった親権は、後から変更することは出来るのでしょうか?
子どものことを考えて親権を譲ったものの、やはり自分が親権を持って育てる方が良かったと考えることも大いにしてあるでしょう。

  1. (1)親権の変更は可能?

    口約束ではなく、法律的に親権が決まってしまった後での変更は可能なのでしょうか。 離婚の際には子どもの将来や生活などさまざまなことを考慮した上で親権をどちらが持つべきか話し合ったと思います。 そのため、元夫婦間での話し合いのみでは親権変更は出来ません。 これは、一度決められた親権を子どものためにも何度も変えるべきではないと法律で考えられているからです。 親権を変更するには親権者変更調停を行い、家庭裁判所に審判してもらわなければならないのです。 親権変更に双方同意が得られている場合は、認められる可能性が高くなっていますが、そういった場合でも家庭裁判所での審判が必要になります。 家庭裁判所での審判では、子どもが15歳以上であれば子どもの意見も聞いて尊重されます

  2. (2)親権変更が認められやすいケースは?

    以下が、親権変更が認められやすいケースです。

    親権変更が認められやすいケース
    • 親権者が子どもを虐待している、暴力を振るっている
    • 子どもを育てる環境が悪い
    • 育児放棄
    • 親権者の海外転勤
    • 親権者が病気や入院で子どもの世話が難しくなってしまった
    • 親権者が行方不明、もしくは死亡した場合
    • 子どもの希望


    このような特別なケースには対応してもらうことができ、比較的親権者変更が認められやすくなっています。
    しかし、特別な事情もなく親権者が変更を拒否している場合は難航する可能性が高いと考えておいた方が良いでしょう。

  3. (3)親権変更の方法と手続きについて

    親権変更を行うには、まず親権者変更調停を行わなければならないため、家庭裁判所への調停申し立てをします。
    全体の流れとしては、調停の日程が決まった後、調停が行われますが、離婚調停と違って調停の間に家庭裁判所調査官が聞き取り調査などを行います。
    そして、調停が成立か不成立か審判されるのです。
    調停が不成立になってしまった場合は、審判手続きへ移行することも可能となり、また審理を受けることができます。

    親権変更者調停を申し込むには、親権者である相手の近くの家庭裁判所に必要書類を提出します。
    申込に必要な書類は以下となります。

    親権変更の必要書類
    • 親権者変更調停申立書
    • 当事者目録
    • 申立人の戸籍謄本
    • 親権者の戸籍謄本
    • 子どもの戸籍謄本


    費用としては、子ども一人につき収入印紙代の1,200円が必要です。
    合わせて郵便切手も必要ですが、申立先の家庭裁判所によって金額が異なるため問い合わせが必要です。

    また、もし親権変更が認められた場合は、親権変更届出を行わなくてはならず、調停成立から10日以内に市町村の役場へ提出しなくてはいけません

    その際に提出する書類は、調停調書謄本と父母それぞれの戸籍謄本です。
    審判手続きで成立した場合には、審判所謄本もしくは確定証明書を受け取ることとなるので、そちらを提出します。

  4. (4)親権の変更にかかる期間はどのくらい?

    親権変更の申し立てを行うと、一刻も早く親権変更を認めてもらい、親権を得たいと考えてしまいますが、親権の変更を行うには時間が必要です。
    まず。調停は申し立ててからすぐに行われるのではなく、2週間前後で期日通知が届きますが、連休などの期間を挟むと更に遅れてしまうこともあります。

    調停での審判は慎重に調査が行われ、もし調停が不成立になって審判へと持ち越すこととなると更なる慎重な調査が入ります。
    そうなると1年以上は時間がかかってしまうことを想定しておかなくてはいけません。

3、親権変更の難易度

親権変更は、簡単に行えるものだと考えられがちですが、決して簡単なものではありません

前述してきたように、たとえ当人同士の間で親権変更を同意していた場合であったとしても家庭裁判所での審判が必要ですし、家庭裁判所で認められないことには親権変更を行うことができません。相手の合意がなく、親権変更を拒否されている場合であればより一層難しいものであると言えます。

これは、法律で子どものことを考えた上で、何度も簡単に親権変更ができてしまうと子どもの成長に悪い影響を与えてしまうと考えられているからです。

親権者変更調停では、養育環境や子どもへの愛情、また申立てを行った側の心身の健康状態などさまざまな事情を考慮した上で審判を下します。
しかし、前述したように親権者に非があったり、よほどの事情がない場合は、子どもの養育環境なども変わりないため認められることが難しいのです。

親権の変更を認めてもらうには、調停委員が結果を大きく左右するので、調停委員に事実を述べて味方につけることが重要になります。
なぜ親権変更が必要であり、自分がふさわしいのかという主張を証拠とともに提示しなくてはいけません。

また、家庭裁判所調査官が親子の意見徴収や家庭・学校訪問を行うので、その点も大きく考慮されます。子どもの成長に必要な養育環境が整っていることを伝える必要があるのです。

4、まとめ

親権変更は可能ですが、決して容易に出来るものではなく、準備と時間が必要です。様々な調査や審理が行われるため、少しでも有利にするには弁護士に依頼する方が良いでしょう

弁護士であれば、親権者変更調停を有利に進めるためのサポートを行うことができますし、弁護士をつけることで相手に対して真剣であるという態度を見せることができます。
ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスでは無料相談(初回60分)も行っているので、まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています