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労災の休業補償は会社負担? 待機期間の3日分はどうするのか

2023年01月16日
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労災の休業補償は会社負担? 待機期間の3日分はどうするのか

福岡労働局が公表している労災に関する統計資料によると、令和3年に福岡労働局管内で発生した労災の件数は、6841件であり、前年よりも935件増加しています。増加数が大きいのは保健衛生業であり、コロナ禍の影響を大きく受けているようです。

業務中や通勤中の出来事が原因となって、怪我を負ったり病気になったりしてしまった結果、休業せざる得ない場合、労災保険から休業補償を受けることができます。しかし、休業補償自体は休業4日目から支払われるものであり、最初の3日分は支払われません。

本コラムでは、労災による休業補償によってカバーされる範囲と不足分を会社に請求する方法について、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、労災でカバーされる休業補償の範囲

労災によって会社を休んだ場合には、どの範囲の損害が労災保険によってカバーされるのでしょうか。以下では、労災保険の休業補償によってカバーされる範囲について説明します。

  1. (1)休業補償の内容

    労災によって会社を休むことになった場合には、休んでいる期間の収入がなくなってしまいます。そこで、労災で働けない期間の生活の安定を図る目的で、労災保険から「休業(補償)給付」が支払われます

    また、労働者災害補償保険法29条では、社会復帰促進等事業の一環として、労災保険給付に上乗せして特別支援金というお金が支給されます。休業(補償)給付を受ける場合にも「休業特別支給金」を上乗せして支払ってもらうことができます。

    なお、労災保険では、「使用者」、「労働者」という用語を使うことが多いですが、「使用者」とは会社や企業のことをいい、「労働者」とは従業員や社員、アルバイト、パートなど、雇用されて働いている方を指す言葉です。

  2. (2)休業補償の金額

    労災保険からの休業(補償)給付は、休業1日につき給付基礎日額の60%が支払われます。また、休業特別支給金として休業1日につき給付基礎日額の20%が支払われます。そのため、会社を休んでいたとしても、休業1日につき給付基礎日額の80%の補償を受けることができます

    給付基礎日額とは、労働基準法の平均賃金に相当する金額のことをいいます。平均賃金は、労災事故が発生した日の直前3か月間に労働者に対して支払われた賃金総額をその期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額のことをいいます。

    たとえば、毎月20万円の賃金の支払いを受けている労働者が10月に労災事故にあったとすると、この労働者の給付基礎日額は以下のようになります。

    20万円×3か月÷92日≒6522円
    ※1円未満の端数がある場合には、1円に切り上げ


    実際には、残業代が支払われていたり、さまざまな手当が支払われていたりするため、計算が少し複雑になることもありますが、基本的には上記のとおり計算をすると給付基礎日額が算出できます。

  3. (3)休業補償の期間

    休業(補償)給付や休業特別支給金は、会社を休めばすぐにもらうことができるわけではなく、「待機期間」という労災保険から補償が支払われない期間が設けられています。

    休業(補償)給付および休業特別支給金の待機期間は、休業初日から3日目までとされています。したがって、休業(補償)給付および休業特別支給金の支払いを受けることができるのは、休業4日目からということになることを知っておきましょう。

2、労災でカバーされない待機期間分は会社負担に

労災によって会社を休んだとしても、待機期間があるため労災保険から補償を受けられるのは休業4日目からになります。そのため、労災事故の初日から3日目までの収入減少分の補償は、労災保険からは受けることができません。

しかし、労働基準法76条では、業務上の怪我や病気によって労働者が仕事を休んだ場合に、会社に対して休業補償の支払いが義務付けられています。労働基準法上の休業補償は、平均賃金の60%が支払われることになっていますので、労働者は、会社に対して、待機期間中の補償として、平均賃金の60%に相当する休業補償を請求することが可能です。

ただし、労働基準法76条による休業補償は、あくまでも「業務上」の怪我や病気を対象とする補償ですので、通勤途中に事故にあったような通勤災害の事案には適用されないため、この場合は会社に対して労災事故の初日から3日目までの収入減少分の補償は受けられない点は注意が必要です。

3、会社に対して請求する方法

労災事故にあった場合には、労災保険による補償を受けることができますが、労災保険からの補償だけでは受けた損害のすべての賠償を受けることはできません。労災保険からの補償だけでは賠償が不足する部分については会社に対して請求することができます。

  1. (1)労災保険からの補償で不足する部分については会社に請求可能

    労災事故にあった場合、最終的には会社に請求していくことになりますが、その準備としてまずは労働基準監督署による労災認定を受けましょう。労災認定された場合、労災保険から以下のような補償を受けられます。

    • 療養(補償)給付
    • 休業(補償)給付
    • 傷病(補償)年金
    • 障害(補償)給付
    • 遺族(補償)給付
    • 葬祭料(葬祭給付)
    • 介護(補償)給付


    これだけの補償を受けることができれば、十分な補償を受けることができると考える方も多いかもしれません。しかし、実のところ、労災保険からの補償だけでは労働者が被ったすべての損害をカバーすることはできないのです。

    すでに説明したとおり、労災事故によって会社を休んだ場合には、労災保険から休業(補償)給付が支払われますが、休業(補償)給付は、休業特別支給金と合わせても給付基礎日額の80%しか補償してもらうことができません。また、労災事故初日から3日目までは労災保険の対象外となっています。

    このように休業(補償)給付だけ見ても、労災保険からの補償ではカバーできない損害があることがよくわかるかと思います。このような労災保険からの補償で不足する部分については、会社に請求して、損害を会社負担にしてもらうことができる可能性があります

  2. (2)会社に対して損害賠償請求をする場合の流れ

    労働者が会社に対して、労災保険からの補償では足りない部分を請求する場合には、一般的に以下のような流れで行います。

    ① 労災に関する証拠収集
    労働基準監督署による労災認定を受けることができたからといって、それだけを根拠に会社に対して損害賠償請求をして、損害を会社負担にしてもらうことができるわけではありません。

    労災による損害賠償請求をするためには、労災事故の責任が会社にあるということを証拠によって立証していかなければなりません。会社に対して損害賠償請求をする場合には、安全配慮義務違反に基づく債務不履行責任を追及するか、不法行為の使用者責任を追及していく方法が一般的です。

    いずれにしても労働者の側で会社の責任を立証していかなければなりません。まずは、会社の責任を立証することができるだけの証拠収集をする必要があります。

    どのような証拠が必要になるのかについては、事案によって異なるものです。会社に対しての損害賠償請求をお考えの方は、まずは弁護士に相談をしてどういった証拠があるのか、どうやって証拠の収集をするのかを打ち合わせするのがよいでしょう
    ② 会社との交渉
    会社の責任を立証するだけの証拠が集まった段階で、損害の会社負担を求めて、会社に対して損害賠償請求をしていきます。いきなり訴訟提起することもできますが、訴訟の場合、場合によっては数年単位で時間がかかることがあります。したがって、話し合いによる解決の余地がある場合には、会社との交渉によって解決を図った方が時間的にも費用的にも労働者にメリットが大きい場合もあります。そこで、まずは話し合いによる解決を目指します。

    ただし、会社が労災事故の責任を認めてすぐに応じてくれればよいですが、簡単に責任を認めてくれないというケースは少なくありません。また、労働者個人での交渉では対応してもらえないことが多いため、一人での交渉に不安を感じる方は、弁護士に依頼することを検討しましょう

    弁護士に依頼をすれば、会社との交渉をすべて弁護士に任せることができます。しかも、訴訟を視野に入れた対応ができるため、精神的な負担を軽減することができるだけでなく、より適切な条件で示談を成立させることが可能です。
    ③ 損害賠償請求訴訟の提起
    会社との話し合いでは解決することができないという場合には、最終的に裁判所の判断を仰ぐことになります。

    裁判所は、労働基準監督署による労災認定の結果に拘束されることなく、労災事故の責任の所在を個別に判断しますので、原告である労働者側は、証拠に基づいて労災と怪我との因果関係や会社の責任などを立証していかなければなりません

    労働審判や訴訟手続きは、非常に専門的かつ複雑な手続きとなりますので、労働災害についての知見が豊富な弁護士のサポートを受けながら進めていくことをおすすめします。

4、休業補償以外で会社に請求できる可能性があるもの

休業補償以外にも会社に対して請求することができる可能性のあるものとしては、以下の損害が挙げられます。

  1. (1)慰謝料

    労災によって精神的苦痛を被った労働者には、精神的苦痛に対する賠償として慰謝料を請求することができます。慰謝料は、労災保険では一切補償されていませんので、全額会社に負担を求めることが可能です。

    なお、慰謝料には、労災による怪我によって入院や通院を余儀なくされたことによる「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」、後遺障害が生じてしまった場合の「後遺障害慰謝料」、労災で労働者が死亡してしまった場合の「死亡慰謝料」の3つがあります。

  2. (2)逸失利益

    労災によって後遺障害が残ってしまった場合には、労災事故前と同様に働くことができなくなることがあります。このように労働能力が低下した状態では将来の得られるはずであった本来の収入が得られなくなってしまいますので、将来的に減収するだろうと想定できる部分を逸失利益として請求することができます。

    労災保険からは、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷病年金などの補償を受けることができますが、将来の減収分を補うものとしては決して十分なものとはいえません。そのため、これらの補償を控除した不足分について会社に対して損害賠償請求をすることになります。

5、まとめ

労災事故にあって怪我をしてしまった場合には、入院や治療のために会社を休まなければならないことがあります。会社を休んだ場合の補償としては、労災保険から休業(補償)給付が支払われますが、労災保険による補償だけではすべての損害をカバーすることができません。

労災保険では不足する部分については、会社に対して損害賠償請求をしてくことになりますが、その際には弁護士のサポートが不可欠となります。会社に対する損害賠償請求をお考えの方は、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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