奨学金返済が重荷で破産しそう! 他にも借金があるときは弁護士へ相談すべき理由
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福岡市が発表している「平成30年度 学校基本統計速報」によると、平成30年度における高等学校卒業者のうち、大学などへの進学率は53.5%でした。平成29年度よりもわずかに低下しているものの、大学へ進学することが世間的に当然ともいえる状況が続いています。
大学を卒業しなければ、就職が難しいという時代の流れもあるでしょう。そのためか、たとえ借金をしてでも進学している人が珍しくはないようです。
しかし、いざ返済の段階になって、転職や病気などの不運にあってしまうと、たちまち滞ってしまうのが奨学金返済の苦しいところです。
そこで、奨学金だけではなく、それ以外にも借金ができてしまったときどうしたらいいかを、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が解説します。
1、奨学金とは?
奨学金制度には社会人になってから返済しなければいけないものや、学生ローン、無利息かつ返済の必要のない奨学金の種類もあります。報道などによって問題になっている奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度を利用したケースが中心となっているようです。日本学生支援機構の発表によると「学生の2.7人に1人」が貸与奨学金を利用していると発表しています。
順調に大学卒業後に就業できれば大きな問題は起こらないでしょう。
しかし、さまざまなトラブルにより、転職したり無職になったり休職したりという事態は誰にでも起きうることです。そのようなとき、奨学金の返済は大変な負担となるでしょう。
さらに、平成30年から令和元年にかけては、さらに奨学金返済による破産が増える可能性があると専門家が警告しています。
なぜなら、日本学生支援機構の奨学金では、現状、「経済的理由」による返済猶予期間が10年と決められているためです。平成26年の時点で「経済的理由」のために5年間の返済猶予をしていた場合は、期限が切れてしまう可能性があります。
つまり、現時点の経済情勢からみても、過去5年の猶予で払えなかった方の経済状況が改善している可能性は低く、たとえ猶予期間10年たったからといって支払いができるかといえば難しいのではないかと考えられているためです。
2、奨学金の返済のために破産しそうで困っているときは?
人生は誰もが順調なわけではありません。親世代同様の教科書でうまくいくというケース事態、かなり幸運であるともいえます。ケガや病気など、いつどのようなことで収入が減る事態に陥るかは、誰にでも起こり得ることだといえます。
毎月の支払いである奨学金が滞ってしまいそうなとき、後ろめたさや相談することを恐れて放置してしまうという方もいるようです。
しかし、放置すれば放置するほど事態は悪化してしまいます。まずは奨学金を貸し付けした機関に相談してください。
相談することによって、どのような措置がとれるのかについて解説します。
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(1)猶予期間を利用しよう
貸与型の奨学金の多くで、返済期限の猶予制度を設けています。
奨学金の返済が難しそうだと思ったら、すぐにご自身が利用した奨学金の問い合わせ窓口に猶予制度についての問い合わせをしてください。
経済的な理由や、病気、進学などの理由であれば猶予制度の利用が可能な場合が高いでしょう。
猶予が認められると、認められた期間、返済をストップすることができます。
猶予期間後、返済が再スタートすることになりますが、返済をストップしていた間の利息や遅延損害金が付加されるということはありません。ぜひ利用してみてください。 -
(2)免除制度を利用しよう
大学院時代に成績が優秀であれば、奨学金が免除される「返還免除制度」も利用できる可能性があるでしょう。
また、成績優秀者以外でも心身の障害により仕事ができない状態であったり、障害者になってしまったりした場合も適用されるケースもあります。 -
(3)減額返済制度を利用しよう
「減額返済制度」は割賦金が減額されることで、返還期限が延長される制度のことです。
ただ、返還額の総額が減ることはありません。
年1回の申し出によって、12ヶ月間の延長が可能となります。ただし、最長で15年間(180ヶ月)までしか、引き伸ばせないので注意が必要です。 -
(4)所得連動型返還方式を利用しよう
平成29年度以降、第1種に限り「所得連動型返還方式」という課税対象所得の9%のみ返還していくという制度が生まれています。
まだ新しい制度で知らない方も多いようなので、こちらに当てはまるかも検討してみてください。
3、自己破産とは?
ニュースなど各メディアでは奨学金が返済できずに自己破産する問題を多数報道しています。それでは、実際のところ、自己破産とはどのようなものかご存じでしょうか。
現状に絶望して命まで絶つようなことにならないように、自己破産についても正しい知識を知っておくことは大事です。
以下に自己破産したときに起きるメリットとデメリットを解説します。
自己破産は悪いことばかりではありません。
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(1)自己破産のメリット
自己破産は「債権者への財産の清算」と「債務者の経済的な再生の機会の確保を図ること」を目的としています。
目的に沿った手続きが行われた結果、奨学金の支払い義務がなくなるということです。
また、奨学金に関しては延滞4ヶ月目から民間の債権回収会社が取り立てを行います。
しかし、自己破産するとその取り立てのための連絡が来なくなるという点も大きなメリットでしょう。 -
(2)自己破産のデメリット
返済を免れる点は大きなメリットですが、もちろんデメリットもあります。
自己破産のデメリットは以下のとおりです。- 家族が住んでいる住宅や車でも自己破産者本人の持ち物なら処分される
- 官報に掲載される
- 免責などまでに一定の制限を受ける
- ブラックリストに載る
- 連帯保証人に支払い義務が生じる
奨学金を借りる際、連帯保証人を立てていたときは、あなたが自己破産すると、連帯保証人が支払い義務を課されることになります。その他、持ち家があるときなどは生活に影響があるかもしれません。
自己破産を検討する前に、親族に相談する必要があるケースもあるでしょう。
4、破産する以外の債務整理とは?
借金を整理する方法は、「自己破産」だけではありません。裁判所を通さない交渉によって減額する「任意整理」と、支払額をおさえて住宅などの財産は維持する「個人再生」などがあります。
それぞれメリット・デメリットについて知っておき、あなたに適した債務整理の方法を改めて考えてみてはいかがでしょうか。
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(1)任意整理
「任意整理」とは、個人再生や自己破産のように裁判所が介入することなく、債権者と債務者との間で、話し合いによって返済プランを立てる債務整理の方法です。
任意整理では、多くのケースで将来発生するはずの金利が免除されます。
たとえば消費者金融やクレジットカードによって作ってしまった借金を整理する場合には、20%近くの金利がなくなるため、それだけでも借金の残額はかなりの減額になると考えられます。また、グレーゾーン金利と呼ばれる過去に払いすぎていた金利があれば、過払い分を引いて計算し直すことになります。
いわゆる「過払い金」と呼ばれるものがあれば、返済が終了する可能性もあるでしょう。
しかし、奨学金に関しては、一般的に払いすぎた利息はありません。
もともとの金利がさほど高くないため、任意整理による大幅な減額は期待できないと考えられます。
つまり、「任意整理」は、奨学金の他にも借金があって整理したいというケースにおいて有効な方法です。
また、個別に交渉する債務整理方法であるため、奨学金は債務整理対象としないという選択を行えます。奨学金を貸与する際、連帯保証人を立てている場合は、連帯保証人に知られることも迷惑をかけることもなく債務整理できる点はメリットとなるかもしれません。
判断が難しい場合は弁護士に相談してください。 -
(2)個人再生
「個人再生」は、5分の1程度に負債を減らすことができる制度です。
たとえば500万円の奨学金がある状態で個人再生を利用した場合には100万円まで負債を圧縮できるでしょう。圧縮後の負債は手続きした本人が計画的に支払ってことになります。
ただし、減額分は連帯保証人に一括請求されてしまいます。
奨学金を借りた際に保証人を立てている場合は注意が必要かもしれません。
5、まとめ
奨学金を滞納してしまいそうなときは、なによりもいち早く奨学金を借りた機関へ連絡してください。多くの場合、事情によって何らかの対応をしてくれるはずです。
他にも借金があって返済が困難になった場合については、弁護士に相談することをおすすめします。人生は何があるかわからないものです。返済に困ったときには、先延ばしにせずにとれる手だてを講じていきましょう。
ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスでも相談をうけたまわります。
奨学金だけでなく、抱えてしまった借金の問題を解決するためもアドバイスや対応を行います。まずはひとりで抱え込まず、気軽にお電話ください。
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