借金のせいで家賃滞納が3ヶ月になってしまった! 任意整理で強制退去はある?
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福岡地方裁判所でも、家賃滞納によるトラブルの裁判は行われています。
平成20年12月には、3ヶ月間家賃滞納した男が部屋に入れないようにドアを施錠して退去を迫った家賃保証会社に対する損害賠償請求事件について、福岡地裁は、賠償請求自体は棄却したもののドアロック行為については、「男性の占有権を侵害し、不法行為にあたる」として違法と判断しています。
1ヶ月の家賃滞納での強制退去は少ないと思いますが、3ヶ月も家賃滞納があるのでは? と不安に感じていることでしょう。では、3ヶ月家賃滞納した場合は、どのような督促をされるのか、ご存じでしょうか。ベリーベスト法律事務所・福岡オフィスの弁護士が解説していきます。
1、3ヶ月家賃滞納したが家賃滞納は何ヶ月まで許される?
法律上、「何ヶ月以上滞納したら強制退去になる」などの決まりはありません。
しかし、すでに家賃滞納を3ヶ月しているのであれば、すでに大家さんや管理会社から何らかの催促を受けているのではないでしょうか。この後、どのようにさらなる催促がされるのかを知っておきましょう。
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(1)連帯保証人への連絡
まず、1ヶ月の滞納では賃貸契約を解除されるような状況にはならないと考えられます。現状、3ヶ月まで来ていることからもそうでしょう。
しかし、まずは賃貸契約書を確認してください。多くのケースで、入居時に結ぶ契約書によって規定されているはずです。もしかしたら、1ヶ月滞納での賃貸契約解除の文言が記されているかもしれません。すでに明記されている期日を過ぎているのでしたら、記されていない場合よりも催促が厳しい可能性もあります。
また、いつまで家賃滞納が許されるかが明記されていなくても、すでに3ヶ月過ぎているのでしたら、電話、メール、ファックスなどでの催促があるでしょう。そこできちんと連絡対応を取り、誠意を見せることによって、まだ待ってくれる可能性もあるかもしれません。
しかし、催促を受けるのが嫌で不誠実な対応をしていると、連帯保証人に連絡がいく場合もあります。
もちろん、現状、借金があって払えないという事情を説明したとしても、賃貸契約の契約不履行になるので催促されないわけではありません。しかし、大家さんによっては、事情をくんでくれる可能性が残されています。 -
(2)内容証明郵便による催促
家賃滞納が3ヶ月におよんでしまっていると、もしかしたらすでに内容証明郵便による督促を受けているかもしれません。賃貸契約をしている人だけでなく、連帯保証人のもとへも内容証明郵便による催促が行われている可能性は高いと考えられます。
内容証明郵便が届いていれば、すでに裁判の準備に入っている可能性もあるでしょう。このまま内容証明郵便も無視していると、内容証明郵便による賃貸契約の契約解除を通達される可能性もあります。 -
(3)明け渡し請求の裁判
内容証明郵便をもらっても、借金がほかにもあってどうすることもできないというケースは少なくありません。その際は、裁判を起こされる可能性が高いでしょう。
この結果、正当な理由がない限りは、大家さん側が勝訴し、賃貸物件の明け渡し請求をされます。
そして、裁判で明け渡しの催告が出ると、執行官、立会人、貸主(代理人を含む)、執行補助者、物件の合鍵がない場合には鍵技術者が実際に賃貸物件に出向きます。
当該物件が実際に占有されているのかどうかを確認した後、引き渡し期限と実際に強制執行を行う日を公示書に記載し、物件内に張り付けます。公示は強制執行の申し立てからおよそ2週間後に行われます。 -
(4)強制退去
公示も済むと、いよいよ実際に強制執行を行う「断行(だんこう)」が行われます。明け渡しの催告の際に公示書に記載する引き渡し期限は、明け渡しの催告があった日の1ヶ月後とされますので、その2、3日前とされるのが通常です。
したがって、断行は、明け渡しの催告の日の4週間程度先に行われます。
断行の日は、執行官らが賃貸物件に出向き、依頼した執行補助者が当該物件から荷物を運び出すことになります。荷物の運び出しが全て完了したら、鍵を交換して、明け渡し終了となります。
2、3ヶ月の家賃滞納に対する対応策
家賃滞納が3ヶ月以上に渡ると契約解除の可能性も高まってきます。
また借金をして払うという方法もなくはないのですが、それさえも難しい場合があるでしょう。では、住む場所を失う前に、どんなことができるのかの解説をしていきましょう。
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(1)住宅給付制度の活用
家賃を払うにも借金で苦しい場合には、役所で実施している福祉制度に頼るのもひとつの方法です。
たとえば、あまり認知されていませんが、生活困窮者自立支援制度というものがあります。この中の住宅給付制度は、まさに生活苦から家賃を払えない人のための制度です。
地域の福祉課を訪ねてみてください。支援を受けられる条件は厳しいものですが、調べてみる価値はあるでしょう。 -
(2)生活保護の活用
家賃を払うにも困窮しているのなら、生活保護制度の利用を検討してみるのもいいかもしれません。生活保護では、世帯の収入に応じて生活に必要な費用を支給することになります。つまり、家賃が払えない場合は住宅扶助としてアパートの家賃などに関する扶助が受けられるということです。住んでいる地域によって定められた上限はありますが、実費で支給されることとなります。
家賃が払えないほど経済的に困窮してしまった場合、滞納し続けて強制退去におびえたりする前に、ご自身の世帯の収入の合計を把握し、生活保護などの制度を検討してみましょう。
家賃を滞納した場合、滞納した分の家賃だけでなく延滞金が発生することもあるので、さらに家計が圧迫されかねません。早めに市役所や区役所の窓口を訪ね、相談してみてください。
3、家賃滞納3ヶ月からの債務整理とは?
すでに家賃滞納が3ヶ月になるほど困窮している原因が借金のためだとしたら、借金を整理する債務整理を考えた方がいいかもしれません。以下に債務整理について解説していきます。
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(1)債務整理と任意整理と自己破産
任意整理、個人再生、自己破産などの債務整理手続は、滞納家賃も対象とすることができます。そして、自己破産をすると、滞納家賃の支払いの必要もなくなるのです。
しかし、自己破産して3ヶ月の家賃滞納を支払わないという選択をしてしまうと、デメリットが大きくなってしまいます。 -
(2)3ヶ月の家賃滞納を任意整理するとどうなるのか?
結論から言えば、3ヶ月の家賃滞納については債務整理(任意整理)の対象外にすることをおすすめします。
任意整理をしてしまうと、契約を解除されて、立ち退き要求をされる可能性が高まるためです。もちろん、すべてがこのケースになるとは限りません。
しかし、任意整理をすることで、家主は立ち退きを正当に請求する権利ができてしまいます。
また、保証人がいる場合、任意整理の対象に家賃滞納が入れば、連帯保証人へ支払い請求が行われます。したがって、賃貸契約を結んだ際に連帯保証人になった方に迷惑がかかる点も注意してください。
そのため、家賃滞納に関しては、立ち退きを強制されないためや、連帯保証人へ迷惑がかかることを考え、任意整理の対象に入れないようにするのがベストでしょう。任意整理で借金を整理する際に、家賃を対象に入れないということは可能です。
詳しいことは弁護士に相談することをおすすめします。
心配かもしれませんが、債務整理をしても新たに賃貸マンションや家の賃貸契約をすることは可能です。また、生活保護受給者に対する生活保護費などに対する影響もありません。
4、債務整理を弁護士に任せるメリット
借金があるのに、またお金のかかる弁護士に依頼するのは、気が引けると考える方もいるでしょう。しかし、債務整理の知見が深い弁護士を頼ることで、速やかに人生のリスタートを切ることができる確率が高まります。
初回の相談は無料としている弁護士事務所も少なくありません。一度相談してみてください。
また3ヶ月も家賃滞納をした場合は、裁判になる可能性も高まります。
そんなときにも弁護士のアドバイスがあれば、良い解決のためにお力を貸すことができると思います。
5、まとめ
3ヶ月も家賃滞納をしてしまっては、焦る気持ちは諦めに変わりつつあるかもしれません。精神的にも追いつめられてしまっていることでしょう。
しかし、諦める必要はありません。今からでも、さまざまな対応策あると考えられます。まずはベリーベスト法律事務所 福岡オフィスに相談してください。あなたの現状を把握した上で、最適な方法をアドバイスします。
さらにお金がかかる心配よりも、今の借金を減らすことの対応策を考えていきましょう。住んでいる場所を失わないための対応策を提案していきます。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています