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後遺障害における逸失利益とは? 年齢や職業別の具体例と計算方法をご紹介!

2023年06月22日
  • 後遺障害
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後遺障害における逸失利益とは? 年齢や職業別の具体例と計算方法をご紹介!

福岡県警が発表した交通事故統計によれば、令和4年に福岡県内で発生した交通事故の件数は1万9868件で、死者数は75人、負傷者数は2万5285人でした。

交通事故に遭うと、後遺障害が残ってしまい、場合によっては労働能力が低下することでそれまでと同じように働けなくなり、将来の収入が減少するおそれがあります。

このような、事故がなければ得られたはずの将来の収入のことを「逸失利益」といいます。交通事故の被害者は、この逸失利益の補償を受けるために、入通院慰謝料や休業損害等に加え、加害者に損害賠償を請求することができます。

この記事では、逸失利益とは何か、どのようにして計算されるのか、職種や年齢といった要素による影響等について、弁護士が解説します。

1、逸失利益とは?

  1. (1)逸失利益の基本的な情報

    交通事故における逸失利益とは、交通事故がなければ得られたはずであった将来の収入をいいます

    逸失利益には、後遺障害逸失利益と死亡逸失利益の2種類があります。

    1. ① 後遺障害逸失利益
      事故による後遺障害により減少してしまう収入のことです。事故で後遺障害が残れば、全く働けなくなったり、働くことはできても事故以前に比べてできることが減ってしまう可能性があります。

    2. ② 死亡逸失利益
      死亡による減収のことです。交通事故で死亡すると、その後は一切働くことができなくなるため、当然その分の収入が失われます。


    なお、死亡事故の場合には、死亡したことによって、生存していればかかっていたであろう生活費が不要になります。そのため、生活費分が死亡逸失利益から控除される点に注意する必要があります。

    以下では、後遺障害逸失利益について詳しくお伝えしていきます。

  2. (2)後遺障害との関係

    後遺障害逸失利益を算定するに当たっては、交通事故で負った後遺障害によって労働能力がどの程度失われたのかが重要となります。

    労働能力が失われた割合のことを労働能力喪失率といいます。

    本来的には個々人によって労働能力喪失率は異なるはずですがそれでは紛争が複雑化してしまうため、昭和32年に当時の労働省が発表した労働能力喪失率表によって、後遺障害の等級ごとの目安が決められています。

    【労働能力喪失率表】
    後遺障害等級 労働能力喪失率
    1級 100%
    2級 100%
    3級 100%
    4級 92%
    5級 79%
    6級 67%
    7級 56%
    8級 45%
    9級 35%
    10級 27%
    11級 20%
    12級 14%
    13級 9%
    14級 5%
    出典:国土交通省「労働能力喪失率表」

    たとえば、第10級の後遺障害が残った場合には、事故前と比べて労働能力が27%低下した(つまり、事故前と比べて73%の仕事しかできなくなった)ということになります。

    ただし、この労働能力喪失率表はあくまでも一応の目安ですので、後遺障害の内容、実際の仕事や家事への影響などによっては、被害者側と保険会社(加害者側)との間で争いとなり、表の数値よりも上下することがあります

  3. (3)休業損害との違い

    逸失利益と似たようなものとしては休業損害があります。事故の影響によって働けなくなったことで減少した収入分の補償である点で、逸失利益と共通しています。

    逸失利益との違いは、補償の対象となる時期です。
    逸失利益は、通院が終わった後の収入の減少に対する補償ですが、休業損害は、入院中・通院中の収入の減少に対する補償です。

    具体的には、逸失利益は、症状固定(つまり、これ以上治療しても症状が改善しなくなった時点)から就労可能年齢である67歳までの減収を補償するものです。この期間のことを、労働能力喪失期間といいます。

    一方、休業損害では、事故発生から症状固定まで(=入院中・通院中)の減収が補償されることになります。

    したがって、後遺障害の診断書に症状固定日が2023年6月30日と記載されていれば、2023年6月30日から67歳になるまでの期間について逸失利益を請求する、ということになります。

2、逸失利益の計算方法

逸失利益の金額は、次の計算で算出します。

【逸失利益の計算式】
基礎収入×労働能力喪失率×ライプニッツ係数


以下、基礎収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数のそれぞれについて、詳細を説明します。

  1. (1)基礎収入

    基礎収入とは、被害者が、将来いくらぐらいの収入を得る見込みがあるかの基礎となる数値です。基礎収入の額は、事故前1年間の実際の収入から算出しますので、被害者によってそれぞれ異なります。

  2. (2)労働能力喪失期間

    労働能力喪失期間とは、症状固定日から67歳までの期間です。ただし、被害者が18歳未満や大学生、67歳を超えている場合などは、特別な計算が必要となります。

  3. (3)ライプニッツ係数

    受け取りすぎてしまう利息分を差し引く(中間収入控除といいます)ための基準となる数値のことを、ライプニッツ係数といいます。

    逸失利益は、67歳までに得られたはずの収入が前倒しで支払われることになります。しかし、事故に遭っていなければ、給料などの収入は、毎月一部ずつ支払われていたはずのお金です。

    そうすると、前倒しで受け取った収入について運用することで、事故があったことによって、被害者が必要以上の利益を受けることになってしまいます。この必要以上の利益分を是正するためにライプニッツ係数が使われます。まさに今100万円を受け取れる権利の価値と、20年後に100万円を受け取れる権利の価値が異なることは感覚的に理解できるかと思います(年3%の割引率であれば、20年後に100万円を受け取れる権利の現在での価値は約55.3万円になります。)。

    労働能力喪失期間が長ければ長いほど、前倒しで受け取る金額が大きくなりますので、中間収入控除を決めるライプニッツ係数の数値も大きくなる、という関係にあります。

    ライプニッツ係数は、国土交通省が公表している就労可能年数とライプニッツ係数表で定められていますので、一部を抜粋してご紹介します。

    【就労可能年数とライプニッツ係数表(抜粋)】
    症状固定時の年齢 労働能力喪失期間
    (就労年数)
    係数
    80歳 5年 4.580
    65歳 10年 8.530
    47歳 20年 14.877
    37歳 30年 19.600
    27歳 40年 23.115
    17歳 49年 24.759
    出典:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」

    この計算式を具体的なケースに当てはめると、次のようになります。

    【具体例】
    • 基礎収入500万円
    • 後遺障害等級10級(労働能力喪失率27%)
    • 症状固定時の年齢37歳(ライプニッツ係数19.600)


    逸失利益=500万円×27%×19.600=2646万円

3、逸失利益はどのように決まるのか

逸失利益を算出するに当たっては、基準となる基礎収入が重要です。
しかし、被害者がどのような職業に就いているかによって、基礎収入の計算方法は大きく異なります。

以下、職業別の基礎収入の算出方法を説明します。

  1. (1)雇用されているサラリーマンの場合

    雇用されているサラリーマンの場合、事故前年の給与所得の源泉徴収票で基礎収入を算出します。

    ただし、被害者が30歳未満の若年層の場合には、就労年数が短く、給料が相対的に低いことが通常ですので、厚生労働省が公表する性別・学歴に対応した全年齢の平均賃金である「賃金センサス」を利用するケースが多くなります。

  2. (2)自営業者の場合

    自営業者の場合は、前年の確定申告の所得額(つまり、売上から経費を差し引いた額)を基礎収入とします

    実際の所得額が確定申告の額と違う場合には、被害者でこれを立証しなければなりません。また、被害者が確定申告を行っていなかった場合にも、被害者が全ての所得額を立証する必要があります。

  3. (3)学生の場合

    学生の場合、まだ職業に就いていませんので、若年層の労働者と同じく賃金センサスを用います。この場合の賃金センサスも、性別・学歴に応じた全年齢の平均賃金の数値を使用します。

  4. (4)専業主婦・主夫の場合

    専業主婦・主夫には収入がありませんが、だからといって基礎収入をゼロとしてしまうと、常に逸失利益がゼロとなってしまい、妥当ではありません。

    このような不合理な結論を回避するため、専業主婦・主夫の場合には、賃金センサスの女性労働者の全年齢平均給与額や年齢別平均給与額を使用して逸失利益の額を計算します。

  5. (5)高齢者の場合

    高齢者の場合、退職後で、事故に遭った時点では働いておらず、無職のケースが少なくありませんが、働く意欲があり、実際にも働く蓋然性(確実性の度合い)が認められる場合には、逸失利益を請求することが可能です。

    この場合、賃金センサスの性別・年齢別の平均賃金を利用することとなります。

    ただし、年金は後遺障害に関係なく引き続き受給することが可能ですので、年金だけで生活している場合には、逸失利益はゼロとして取り扱われます。

  6. (6)子ども(18歳未満の者)の場合

    子どもの場合、就労以前で、事故に遭った時点ではまだ働いておらず、収入はゼロですが、将来的には働く高度の蓋然性が認められますので、逸失利益を請求することが可能です。

    この場合にも、賃金センサスの性別ごとの全年齢平均賃金を基礎収入とするのが基本です。

4、交通事故被害に遭ったとき弁護士に依頼するメリット

  1. (1)適正な後遺障害等級を獲得する

    逸失利益の計算に当たっては、労働能力喪失率を決める後遺障害等級が重要となります。

    たとえば、11級とされれば、労働能力喪失率は20%ですが、14級としか認定されなければ、労働能力喪失率は5%で、その差は4倍になります。

    弁護士に相談すれば、通院の回数・方法や受けるべき検査などについてアドバイスを受けることができ、後遺障害の認定を受けるための申請手続きも任せることができます

    適正な後遺障害の認定を受け、逸失利益の額を上げる可能性を高めるためには、弁護士に相談することがおすすめです。

  2. (2)逸失利益の適正な金額を算出する

    逸失利益の算出において、何を基準に基礎収入を決めるか、労働能力喪失期間は表のとおりで妥当かといった点について加害者側の保険会社やその代理人となった弁護士と争いになることが少なくありません。専門的な知識が必要になり、そういった知識や経験がない方が個人で対応することは容易ではないことです。

    そういった場合に弁護士に依頼すれば、法的根拠に基づいて十分な逸失利益を獲得するために適切な主張や反論を行っていくことができます

    納得できる逸失利益を得るためには、弁護士に依頼することが得策といえます。

5、まとめ

事故で後遺障害を負ったとき、適正な後遺障害等級を獲得できなければ、逸失利益の金額に大きな差が生じます。また、逸失利益の算定は複雑であるため、加害者側の保険会社との交渉が難航するケースも少なくありません。

弁護士に相談すれば、適正な後遺障害等級の獲得から逸失利益の計算、保険会社との交渉まで、全てを任せることが可能です。

交通事故による後遺障害や逸失利益でお困りの場合には、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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