【後編】交通事故でケガをしたら治療費は請求できる? 窓口での支払いは?
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ここ福岡市でも交通事故は多発しています。前年と比べれば減少したものの、平成30年の1年間で福岡地区だけでも1万8916人もの方が事故によってケガをしているのです。
そこで前編では、交通事故でケガをしたときに早急に病院で診察を受けることの重要性や、交通事故で遭いがちなケガの種類について紹介しました。
後半は、引き続きベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が、交通事故でケガを負ったときの治療費の扱いや、弁護士に依頼する方が増えている理由について解説します。
3、ケガの治療費は誰が負担する?
交通事故のケガの治療費は、加害者が任意保険に加入していれば任意保険の保険会社が病院に直接支払うことが多いです。
任意保険に加入していなければ、被害者自身がいったん立て替えた上で、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険会社に請求します。
被害者自身が人身傷害保険に加入している場合は、加害者の保険会社ではなくご自身の保険から治療費を支払ってもらうことも可能です。
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(1)事故当日の治療費の取り扱い
交通事故後、加害者が保険会社に連絡すれば、当日、もしくは翌日には保険会社の担当者から連絡が入ります。
被害者自身が治療費の支払いをしなくてもよいように、病院などに連絡してくれます。
しかし、保険会社が休日対応していない場合や事故報告が遅れた場合は、保険会社の手配が間に合わない可能性があります。その場合は、被害者がいったん立て替えることになります。
病院に、「交通事故でケガをしたから、後から保険会社から連絡が入るはずだ」と伝えれば、治療費の支払いを保留にしてもらえることもあるかもしれません。
相手の保険会社の担当者から連絡がなく、手持ちのお金がない場合もあるでしょう。
その際は、ご自身が人身傷害保険に加入しているのであれば、ご自身の保険会社から病院に連絡してもらうこともできるでしょう。 -
(2)保険会社が対応をスタートしてからの治療費
相手の保険会社の担当者からのあいさつがあり、対人賠償責任保険での対応がスタートすれば、被害者が治療費を支払う必要はほぼなくなります。
保険会社から医療機関等(整形外科や接骨院など)に連絡が入り、医療機関等は保険会社に直接治療費の請求を行います。
ただし、保険会社が認めない治療については自己負担しなければならないこともあります。たとえば、マッサージや鍼灸などの治療です。
整骨院や接骨院での治療については、保険会社が認めることが多いので、治療費の立て替えは不要になることがほとんどです。
しかし、それは整形外科などの病院に通院していることを前提とするのが原則であり、前述のとおり、保険会社の承諾なく初診から整骨院等に通った場合は、すべての治療費の支払いを拒否される可能性があるので、まずは病院に通いましょう。
通院期間が長期になると、保険会社から治療費の支払いを打ち切られるケースがあります。保険会社から治療費の打ち切りを宣告されたら、言われるがままに了承せずに、弁護士に相談しましょう。 -
(3)加害者が任意保険に加入していなかった場合の治療費
加害者が任意保険に加入していなかった場合は、被害者自身の人身傷害保険から支払ってもらうか自賠責保険に請求するかの2択になります。
人身傷害保険の場合は、病院が被害者の加入する保険会社に直接治療費を請求するため、被害者自身が治療費を立て替える必要はありません。
しかし、人身傷害保険に加入していない場合は自賠責保険に請求しなければなりません。
加害者もしくは被害者自身が治療費をいったん全額自己負担し、それを自賠責に請求するのがオーソドックスな手法だといえます。
なお、自賠責保険から治療費を払ってもらう場合、120万円が限度額になるため、高額な治療を受けたり、治療が長引く場合には注意が必要です。
4、治療費を受け取るまでの流れとは
最初から相手の保険会社が病院に連絡をしている場合、被害者が治療費を立て替える必要はほとんどありません。
通常の場合、治療費は、病院が1ヶ月分の診療報酬明細書などを保険会社に送付し、保険会社から病院に直接支払われます。初期に被害者が立て替えている治療費は、その領収書や明細書を保険会社に送付するなどすれば、保険会社から被害者に支払われることになります。
被害者が保険会社に治療費を支払ってもらうためにやるべきことは、保険会社から届いた書類を早急に提出することです。
個人情報の同意書や請求書等の書類が送られてきているはずです。
まずはそれを返送しなければ治療費を支払ってもらうことはできません(病院によっては、被害者が立て替えた治療費を、保険会社からの電話連絡後に窓口で返金してくれる場合があります。確認してみることをおすすめします)。
このとき、「加害者側の味方である保険会社に個人情報を知られたくない」といった気持ちからいつまでも同意書を返送しなかったりすると、保険会社としても治療費を払うことができずに事態がこじれてしまいますので、保険会社からの求めには素直に応じることをお勧めします。
5、交通事故被害を弁護士に相談する方が急増している理由
この数年で多くの交通事故の被害者が、弁護士に交渉を依頼しています。
その理由は様々ですが、大きなものとして「受け取ることができる賠償金が大幅に増額する可能性があること」と、「示談交渉から早く解放されたいから」という理由が挙げられます。
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(1)賠償金が増額する可能性が高い
交通事故でケガをした場合、治療費は病院に支払われるので、被害者の手元には残りません。被害者が受け取ることのできる費目のうち、大きなものとして「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」があります。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)は、症状や通院日数に応じて計算されますが、弁護士に依頼するだけで、複数ある基準の中で最も高額な基準(裁判所基準)で交渉することができるようになります。
場合によっては、同じ通院日数・症状であっても、弁護士に交渉を依頼するだけで、受け取ることができる慰謝料が2倍以上になることもあります。
だからこそ、多くの方が弁護士に交渉を依頼するのです。 -
(2)示談交渉のストレスから解放され治療に専念できる
事故でケガをした被害者にとって、保険会社との示談交渉は大きなストレスになることでしょう。
相手は、仕事として日常的に交通事故に関わっていますが、被害者にとってはすべてが初めてのことで、戸惑うことばかりだと思います。
保険会社の担当者から「治療は打ち切りです」と言われてしまうと、本当は痛みが残っていても我慢してしまう方も少なくないでしょう。
しかし、弁護士に依頼すれば、保険会社の担当者と直接話す必要はなくなり、あなたの味方である弁護士とだけ話をすればよいことになります。
そのため、弁護士に依頼すれば、ケガの治療に専念することができます。
事故のケガは、見た目よりも症状が重いことが多く、しっかり治療に専念しなければ後遺障害が残ってしまう可能性もあります。日常生活を少しでも早く取り戻すためにも弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
6、まとめ
交通事故でケガをした場合の治療費は、原則として保険会社が負担します。
しかし、治療期間が長い場合は治療を途中で打ち切られる可能性を否定できません。その際は、保険会社に言われるがままに了承せずに、弁護士に相談しましょう。
また、事故当日の連絡がスムーズにいかず立て替えることになってしまった治療費は、後日返金されるので安心してください。交通事故の被害者であれば、治療費だけでなく慰謝料や休業損害を受け取ることもできます。
特に慰謝料については、弁護士に交渉を依頼するだけで大幅に増額できる可能性があります。また、示談交渉のストレスから解放されて治療に専念するためにも、弁護士に相談することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスでは、あなたの状況に応じて適切な交渉の進め方をアドバイスします。さらに、交通事故の示談交渉の実績が豊富な弁護士が、交通事故で受けたケガに対する損害賠償請求を行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています