【前編】交通事故で怪我をしたら治療費は請求できる? 窓口での支払いは?
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福岡県警が発表した「交通事故統計資料」によると、平成30年中に福岡地区で起きた交通事故件数は、12月末現在数で1万4870件、ケガをした方は1万8916人もいらっしゃいます。
万が一、交通事故でケガをした場合、病院での治療が必要です。しかし、治療費は誰が負担するのでしょうか。被害者が窓口で負担する必要はあるのでしょうか。
今回はベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が、交通事故でケガをした場合の治療の負担や、窓口での取り扱いについて解説します。
1、交通事故でケガをしたらまずは病院で診察を受けること
交通事故でケガをした場合、ケガの程度を問わず必ず病院で診察を受けてください。
その際は必ず「病院」を受診すること(いわゆる「ケガ」を負ったのであれば整形外科であることが一般的でしょう)、そして事故から1週間以内に受診することを強くおすすめします。ここでは、その理由を詳しく解説します。
事故に遭ったけれども病院に行こうかどうか悩んでいる方はぜひ知っておいてください。
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(1)交通事故のケガは整骨院・接骨院ではなく「病院」で診察してもらうこと
街を歩いていると「交通事故の治療できます」という看板を掲げている整骨院や接骨院を目にすることがあると思います。確かに整骨院や接骨院でも事故によるケガの不快な症状を和らげ、完治に向けて治療をしてくれます。
しかし、「初診」は必ず病院で受け、その後も定期的に病院に通ってください。
なぜならば整骨院や接骨院には医師がおらず、ケガの程度やいつまで治療を継続すべきかなどを診断することができないためです。
医師の診断がなければ、交通事故でケガをしたとみなされず、治療費や慰謝料などの支払いを受けられない可能性があります。 -
(2)事故から1週間以内に受診すること
「我慢していたけどどうしても痛みが消えなくて、事故からしばらく経ってから初めて受診した」というケースは、我慢強い方にありがちです。病院に行くことを申し訳ないと思って、受診を先延ばしにしまうことがあるのです。
通常のケガや病気であれば、受診のタイミングは個人の自由です。
しかし、交通事故の場合は「交通事故で受けたケガであること」を客観的に証明できるようにする必要があります。事故日から受診日までの期間が長すぎると「そのケガは本当に交通事故で負ったケガなのか」など、あらぬ疑いを受けてしまう可能性があるのです。
なにより、早く受診して適切な治療を受けなければ、ケガの苦痛は治りません。
完治も遠くなってしまいます。したがって、交通事故に遭って痛みや違和感を覚えたら、なるべく早く「病院」で診察を受けてください。
2、交通事故のケガの種類と症状
では、交通事故のケガにはどのような種類があるのでしょうか。
事故で起きやすいケガに絞って解説します。
ハンドルや車体などに体をぶつけた場合に起きやすいのが打撲です。
手足の軽度の打撲でも軽視せずに受診しましょう。特に胸や腹をぶつけた場合は、内臓や骨に影響が出ている可能性もあるため、様子を見ずに早く受診することを強くおすすめします。
② 捻挫(ねんざ)
手首や足首をひねったりぶつけたりして、腱や靭帯などが損傷した状態を捻挫といいます。自転車と車が接触した場合や、歩行者と車が接触した場合に起こりやすいケガです。
捻挫の疑いがある場合は整形外科を受診しましょう。
③ 頚椎捻挫(けいついねんざ)
捻挫の中でも、首の捻挫のことを頚椎捻挫と呼びます。
いわゆる「むち打ち損傷(むちうち症)」のことであり、つらい痛みや頭痛、倦怠(けんたい)感などのさまざまな症状が現れることが多く、治療が長引く傾向にあります。
車同士の衝突で起きやすいケガで、数日後に痛みや不快感が出てくる場合もあります。事故当日に何もなくても、数日間は体調に注意することが大切です。
特に追突された場合は、早めに受診することをおすすめします。
④ 骨折・脱臼
交通事故で衝撃を受けた部分がひどく腫れている場合は、骨折や脱臼の可能性があります。骨が粉々になってしまう「粉砕骨折」、折れた骨が露出している「開放骨折」など、骨折にもさまざまな種類があります。
歩いているとき、自転車に乗っているときに車にはねられた場合は、骨折の可能性も視野に入れ、無理に動かさず早めに受診しましょう。
⑤ 頭痛や手足のしびれ
交通事故の衝撃で、首に力が加わり、頭痛や手足のしびれなどの症状が現れる可能性があります。多くはむちうち症の症状と考えられますので、早めの受診が基本です。
整形外科、脳神経外科で治療を受けることができます。
後編では引き続き、ベリーベスト法律事務所 福岡オフィスの弁護士が、交通事故の被害に遭いケガをした際の治療費の扱いや、弁護士に依頼するメリットについて解説します。
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