夫の浮気で離婚を考えている方へ。伝える前に知っておくべきこと
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「近頃、夫の帰りが遅くなることが増えたと思っていたら、他の女性と浮気をしていることがわかった」というケースは、少なからずあるかと思います。
そんなとき、妻としては「浮気をした夫とは一緒に暮らしていけない。離婚したい。」と考えたくなるかもしれません。
本記事では、夫の浮気が発覚した妻が離婚を考えたときに知っておくべきことについて、弁護士が解説します。
1、夫の浮気が発覚したらまずするべき5つのこと
夫が浮気していることがわかったら、動揺して何も手につかなくなるかもしれません。
しかし、しばらくして気持ちが落ち着いたら、今後自分がするべきことについて考えていきましょう。
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(1)浮気をした事実や相手、証拠を調べる
まずは、夫が浮気をしているかどうかの事実を確認しましょう。夫と浮気相手がラブホテルに出入りしているところを写真や動画におさめたりして、浮気している証拠をつかみます。近年では出会い系サイトと知り合った人と不貞行為に及ぶケースも増えているため、ブラウザの閲覧履歴もチェックしておくと良いでしょう。
夫のSNS(LINE、Facebook、Instagramなど)・メールの内容などから浮気が発覚するケースも多いですが、LINE等を起動してトーク履歴を盗み見る行為はプライバシーの侵害にあたる可能性があります。
また、アプリにパスワードがかかっている場合、解除した上でLINE等のトーク履歴を閲覧すると不正アクセス禁止法にあたる可能性があります。ご不安な場合は、弁護士への相談をおすすめします。
浮気相手(不貞相手)の素性についても同時並行で調べることが大切です。
慰謝料を請求するときに浮気相手がどこの誰なのかがわかっていなければ、請求のしようがありません。浮気相手が知らない人間の場合は、探偵事務所や調査会社などに調査を依頼したほうが良いでしょう。 -
(2)夫婦で話し合いの場を持つ
証拠資料から、夫が浮気していることがはっきりわかれば、相手方の口から浮気をした事実を聞き出すために、夫婦で話し合いの場を持ちます。
子どもがいる場合は、子どもの目の前で夫が浮気した話をするのは教育上良くないので、子どもが学校などに行っている時間を使う、子どもを親兄弟や友人・知人に預けるなどしてから、話を始めることをお勧めします。 -
(3)離婚した場合の生活を考える
話し合いをした結果、「離婚したい」という気持ちになったら、離婚後にどう生活していくかを考えることが必要です。
今住んでいる家に残るのか、家を出てアパートなどを借りるのか、何にどれくらいお金が必要なのか、収入はどう得ていくのかなど、具体的に書き出してシュミレーションしてみると良いでしょう。
ただし、必ずしも離婚しなければならないということではありません。シミュレーションをしてみて、生活の目途が立たない場合などは、円満解決を考える必要があるでしょう。 -
(4)子どもの親権や養育費をどうするかを考える
夫婦の間に未成熟子(経済的に自立していない子ども)がいる場合、夫と離婚するとなると、子どもの親権をどちらか持つのかを決めなければ離婚届を出しても受理してもらえないため、真っ先に子どものことをどうするのかを考えなければなりません。
親権のほか、夫からいくら養育費をもらうのか、非親権者となる親と子どもとの面会交流はどれくらいの頻度でどのように行うのかについても、考えておくことが必要です。 -
(5)誰かに相談する
離婚の手続きは、時間も労力もかかるものです。しなければならないことや、浮気した夫と話し合わなければならないことも多いとなると、ストレスを感じることもあるかもしれません。
そのようなときには、実家の両親や兄弟姉妹、信頼できる友人・知人などの意見を聞いてみるのも一つの方法です。自分とは違う視点の意見を貰え、視野が広がることもあります。
また、安心して相談できる相手に悩みを打ち明けることにより、いくぶんストレスも減り、気持ちも楽になると思います。
ただし両親や兄弟姉妹には、離婚の覚悟が決まってから相談することをお勧めします。
悩みを打ち明けた際、両親・兄弟姉妹は、当然身内であるあなたの味方に付くでしょう。そうすると、両親・兄弟姉妹は「うちの大切な娘(姉・妹)をこんなに悩ませて!」という怒りを、あなたの夫や夫の両親にぶつける可能性があります。
自分としてはまだ離婚を迷っていて、本音では「できれば離婚したくない…」と思っていても、お互いの家族が出てくると話がこじれて一気に離婚へと話が進んでしまう、という事態になりかねません。身内に相談するタイミングは、慎重に考えましょう。
2、夫の浮気が発覚したときの離婚の相談先
夫の浮気が発覚したら、ショックや悲しみ、怒りといった感情が渦巻き、「離婚」の2文字が頭をよぎる方も多いと思います。そんなときに、悩みや思いを打ち明けて、今後どうすればよいのかを具体的に相談ができる専門家がいれば心強いでしょう。
離婚に関して相談できる専門家には、どんな人たちがいるのでしょうか。
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(1)離婚カウンセラー
離婚カウンセラーとは、「特定非営利活動法人(NPO)日本家族問題相談連盟」が認定している民間資格の1つです。
「離婚したいけれど、子どものことを考えると離婚しないほうが良いのではないか」
「他の女性と浮気をするような夫とはもう関係を修復できそうにないから、離婚したほうが良いかもしれない」
このように、「夫に浮気されたけれど離婚を迷っている」という方に相談先としておすすめ です。離婚カウンセラーは、あなたの話をじっくり聞いて心のケアをしてくれるとともに、問題の解決に向けて夫との関係をこれからどうすべきかについて最適なアドバイスをくれるでしょう。離婚を迷っている人、離婚しようと決めた人、夫婦関係を修復したい人など、あらゆる人にとって、離婚カウンセラーは心の拠り所となってくれるのではないでしょうか。
ただし、民間資格のため、誰でも簡単に「離婚カウンセラー」を名乗ることができてしまいます。中には「自称、離婚カウンセラー(占い師、詐欺師など)」という可能性もありますので、注意が必要です。 -
(2)探偵事務所・調査会社
「夫が浮気をしているとは思うけれど、証拠が見つからない」
「夫の浮気相手がどこの誰なのかがわからず、慰謝料請求ができない」
そのようなときは、探偵事務所や調査会社に相談されることをおすすめします。
探偵事務所や調査会社は、浮気・不倫相手の身元を特定したり、浮気の現場を押さえたり、証拠資料の収集をサポートしてくれるところです。
また、浮気調査を実施するタイミングについてもアドバイスを受けられるため、最適なタイミングで効率よく証拠集めを行うことができるでしょう。
探偵事務所や調査会社が出してくれる報告書と証拠資料をもとに交渉すれば、こちら側に有利な条件を引き出せる可能性も高まります。 -
(3)弁護士
「慰謝料請求や離婚のことで法律の専門家の見地からアドバイスがほしい」
「自力で不倫相手や夫とうまく交渉する自信がないから、代わりに交渉してほしい」
というときは、やはり法律の専門家である弁護士に依頼されることをおすすめします。
離婚協議書を作成したり、離婚協議書を公正証書にしたりするサポートは行政書士や司法書士にも依頼することができます。しかし、依頼人の代理人となって夫や不倫相手と交渉をしたり、訴訟になった時に法廷に立つことは、弁護士にしかできないことです。
そのため、慰謝料の請求や離婚のことを依頼するのであれば、弁護士にお願いするのがベストでしょう。
3、夫の浮気が原因で離婚する場合に受け取ることのできるお金について
夫の浮気が原因で離婚するときに受け取れるお金のうち、代表的なものは慰謝料ではないでしょうか。また、離婚原因が相手方の浮気かどうかを問わず、離婚する際には財産分与や婚姻費用、夫の年金・退職金、子どもがいる場合は養育費なども受け取ることができます。
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(1)慰謝料
民法では、夫婦はともに「第三者と性交渉をもたない」という貞操義務と呼ばれる義務が課せられています。そのため、夫が不貞行為をはたらいた場合、貞操義務違反をしたことになります。
貞操義務違反は不法行為にあたり、浮気された方がそれに対して精神的苦痛を感じた場合は、浮気をした配偶者や不倫相手に対して慰謝料請求ができるのです。
最終的な解決の場面では、慰謝料は、文言上「示談金」「和解金」「解決金」という名称になることもあります。 -
(2)婚姻費用
婚姻費用とは、別居を開始した時期から離婚が成立するまでにかかった生活費や学費、家賃などのことです。
正式に離婚するまでは、お互いに夫婦として相互に協力・扶助していく義務があるため、支払能力に応じて収入の多いほうが支払うことになります。 -
(3)財産分与
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いてきた財産を分け合うことです。
現預金だけでなく、土地建物などの不動産や有価証券、ゴルフ会員権、宝石・貴金属、生命保険等各種保険の解約返戻金、夫の退職金などが分与の対象となります。
夫婦の一方が専業主婦(夫)の場合・共働きの場合を問わず、財産分与割合は50%とすることが基本です。ただし、夫婦のどちらかが財産の形成・維持に大きく貢献した場合は、貢献したほうに多く財産が分与されることもありえます。 -
(4)夫の年金
年金分割とは、婚姻期間中に夫が掛けていた年金を、婚姻していた年数に応じて妻が一部受け取れる制度です。
特別な事情がない限り、分割の割合は50%となります。 -
(5)養育費
養育費とは、夫婦の間に未成熟子がいる場合に非親権者となったほうからもらえるお金で、子どもにかかる生活費や学費、医療費などのことを指します。
非親権者は、子どもが離婚前と同じ生活水準を保てるくらいの金額を養育費として支払わなければならないと考えられています。
4、夫の浮気が原因で離婚する時の手順・方法
夫の浮気が原因で離婚するときの手続き方法には、協議離婚・離婚調停・裁判離婚の3つの方法があります。それぞれの具体的な手続きの手順について、詳しくみていきましょう。
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(1)離婚協議
離婚協議とは、夫婦間での話し合いのみで離婚を成立させる方法です。
夫婦のどちらかが離婚を決意したら、協議の場を持って離婚条件などについて話し合いを行います。お互いに合意ができれば、離婚協議書(合意書)を作成し、その後離婚届を書いて市区町村役場に提出すれば離婚が成立します。なお、養育費の支払いなど、離婚後も長期にわたり支払いが継続する費用がある場合は公正証書の作成をお勧めします。
協議が難航する場合は、弁護士などの専門家に間に入ってもらい、協議をサポートしてもらいましょう。弁護士が間に入ることで、相手方と直接対峙する必要がなくなり、いくぶん落ち着いた気持ちで話し合いができるようになります。 -
(2)離婚調停
離婚調停とは、協議離婚が調わない場合に裁判所で調停委員会のもとで協議を行い、離婚を成立させる方法です。
家庭裁判所に離婚調停を申立てると、指定された期日に出頭する必要があります。裁判所では、調停委員会が夫婦それぞれと面談を行い、アドバイスや調停案を示します。夫婦双方が調停案に合意できれば、調停委員会が合意内容を調停調書にまとめて、調停が終了となります。
もし、夫婦のどちらかが調停案に納得しなければ、調停不成立となり訴訟又は審判に移行することもあります。 -
(3)離婚裁判
離婚裁判とは、離婚調停が調わなかった場合に裁判で離婚を認めてもらう方法です。
夫婦のどちらかが家庭裁判所に訴訟を提起し、事前に提出した証拠資料をもとに法廷で相互に主張を展開します。最終的に裁判所が離婚を認める判決を下せば、離婚が成立することになります。
しかし、裁判で争っている最中に裁判官から和解を勧告され、和解が成立して裁判が途中で終了するケースも多く見られます。
5、まとめ
夫に浮気されたら、もう一度夫婦関係を立て直すのも、離婚するのも少なからずエネルギーが必要となるでしょう。「浮気をした夫とはもう暮らしていけない。離婚したい」という考えに至ったときには、一人で思い詰めてしまう前にベリーベスト法律事務所 福岡オフィスまでご相談ください。
当事務所の弁護士があなたのお話をじっくり聞いたうえで、慰謝料の金額や離婚が成立するまでの期間について見通しを立てて、最適な解決方法をご提案します。
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