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社員の同業他社への転職は禁止できる? 競業避止義務とは?

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2020年05月29日
  • 労働問題
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社員の同業他社への転職は禁止できる? 競業避止義務とは?

日本を代表する数々の大手企業が本社を構える京都は、優秀な人材が集まる場所でもあります。

人手不足が叫ばれる近年は、人材の獲得競争も熾烈です。高い能力を持つ社員が同業他社に引き抜かれることも珍しいことではありません。
一方で、人材の流出は情報やノウハウの流出という危険性もはらんでいます。

ではそれらを防ぐために社員に同業他社への転職を禁じるということは、可能なのでしょうか? 福岡オフィスの弁護士が解説します。

1、同業他社への転職は禁止できる?

会社にとって社員は財産です。優秀な成績を収めている社員がライバル社に移ったり、新たに同じ事業を扱う会社を設立したりすることは、痛手となるはずです。
では社員を転職させないようにすることは、そもそもできるのでしょうか?

  1. (1)社員には競業避止義務がある

    ひとつの会社に定年まで勤めることが一般的だった昔と違い、今の時代、転職は当たり前です。
    ですが会社にとって社員の転職は、情報やノウハウ流出の原因でもあります。

    そこで会社に所属する社員には、競合他社に転職したり競合する会社を設立したりするなど、会社の不利益となるような競業行為をしないという「競業避止義務」が課せられています。

    法律で明確に規定されているものではありませんが、労働契約に付随する義務であると解されています。
    通常は就業規則や誓約書で定められており、在職中は競業避止義務を負います。違反した場合には懲戒処分などが課されます。

  2. (2)労働者には職業選択の自由がある

    会社が自社の利益を守るために、転職を制限することが認められる場合もあります。
    ですがまったく関係のない他業種への転職まで禁じてしまえば、社員は仕事を選ぶことすらできなくなってしまいます。

    そもそもすべての労働者には憲法第22条1項で「職業選択の自由」が認められています。会社が社員の転職自体を禁じることはできないのです。

    競業避止義務の対象となるのは、あくまで競合他社への転職や競合となる会社の設立にとどまります。

2、退職後に競業避止義務を課すことはできる?

在職中は競業避止義務をおっていても、退職すれば会社の管理下からははずれます。ですが退職後であっても、情報やノウハウ流出のおそれはあります。その場合はどのように対処したらいいのでしょうか?

  1. (1)退職後の競業避止義務

    競業避止義務は労働契約に基づくため、在職中、社員は義務を負います。
    一方で退職する、つまり契約が終了すれば、その義務からは解放されます。

    ですが会社の重要情報に触れていた社員は、退職後に再就職したり情報を提供したりするなどして自社に不利益をもたらす可能性は十分あります。

    そのため多くの会社は、競業避止義務を定めた誓約書などで退職後の競業避止義務を設定しています。

  2. (2)競業避止義務は絶対ではない

    競業避止義務があれば、重要情報や技術を知っている社員が転職しても、影響を少なくすることができます。

    ですがこれは明らかに労働者には職業選択の自由とバッティングしています。

    そのため過度な競業避止義務を課して元社員の自由を侵害すると、競業避止義務規定が「無効」と判断されることがあります。

  3. (3)競業避止義務の有効性の判断基準

    ではどのような場合に、退職後の競業避止義務が無効と判断されるのでしょうか。

    ポイントは「競業避止義務の内容が、合理的であるかどうか」です。

    具体的には、経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上に向けて~」内の「参考資料5競業避止義務契約の有効性について」で、次の6点があげられています。

    1. ①競業避止で守るべき利益があるかどうか
    2. ②元社員の退職前の役職・立場
    3. ③地域的な限定の有無
    4. ④競業避止義務の適用期間
    5. ⑤禁止する行為の範囲
    6. ⑥代償措置の有無


    元社員と訴訟になった場合には、これらの点を総合的に考慮して、有効・無効が判断されます。

3、有効となるケース、無効となるケース

前述した6点について、競業避止義務が有効となるケース、無効となるケースについて具体的にご説明します。

  1. (1)競業避止で守るべき利益があるかどうか

    競業避止義務を設定してでも守らなければいけない利益があるかどうかは、非常に重要なポイントです。

    これまでの判例では、不正競争防止法で規定されている「営業秘密」のほか、ヴォイストレーニングの指導方法、店舗での販売や人事管理の方法などの独自ノウハウなどが、守るべき利益があると判断されてきました。

    一方で社内データベースから誰でもアクセスできるような情報は、これには当たらないとみられます。

  2. (2)競退職前の役職・立場

    会社の役員や技術部門で重要な役割を担っていた社員は、営業秘密やノウハウに触れる機会は多いでしょう。
    そのため競業避止義務を課しても有効と判断される可能性があります。

    一方でいわゆる平社員や事務担当などは、重要な情報に触れる機会は少ないため、競業避止義務を課すことに合理性が認められない可能性があります。

    ただし一口に役員といっても、名目だけの役員もいます。そのため有効・無効の判断は、実際に重要情報に触れていたかどうかで個別に検討されます。

  3. (3)地域的な限定の有無

    競業避止義務には、社員が営業を担当していたエリアなど、地域を限定して転職や事業立ち上げを禁じることがよくあります。

    地域を設定すること自体に問題はありませんが、根拠なく広範囲に設定した場合には合理性がないとして、無効と判断される可能性があります。

    まったく制限がないことも全国で転職を禁じるということであり、過剰と判断される可能性もあります。
    ですがたとえば全国チェーンの店などでは、それが相当というケースもあります。
    地域を限定しないことをもって、無効になるというわけではありません。

  4. (4)競業避止義務の適用期間

    同業他社への転職や新規事業立ち上げを制限する期間を「一生」とすることは、職業選択の自由を大きく侵害することになるため、無効になるでしょう。

    これまでの裁判例などでは、制限期間1年以内であれば有効とされる傾向にあります。

    ただしこれはあくまで目安であり、事案に応じて個別に判断されます。

  5. (5)禁止する行為の範囲

    転職や会社設立について「同業他社」程度の漠然とした範囲で禁止することは、職業選択の自由を奪い、合理性もないとして無効とされるでしょう。

    「自社で営業を担当した得意先への営業」など、具体的に転職先での活動内容や職種を指定した場合には、有効と判断される可能性は高くなります。

  6. (6)代償措置の有無

    転職が制限されることは労働者にとっては不利益です。そのため競業避止義務を設定する場合には、何らかの代償措置が必要とされます。
    代償措置がまったくなければ、有効性は認めらないでしょう。

    代償措置は退職金の増額などが一般的ですが、代償措置として明確に設定されていなくても、代償措置とみなされるようなものがあれば、有効と判断されるケースもあります。

4、競業避止義務違反への3つの対抗措置

社員に競業避止義務を課していたとしても、守られない可能性はあります。その場合は見過ごさず、きちんと対処して影響を最小限に抑える必要があります。

退職後の競業避止義務が守られず不利益を被った、または被る可能性がある場合には、次の3つの方法により対処しましょう。

  1. (1)競業行為の差止請求

    1つ目は競業行為の差止請求です。
    たとえば元社員が競業する会社を成立した場合には営業差止を求める、転職を予定している場合には具体的な会社名や職種をあげてその職務に就くことを禁じる、といったものです。まずは内容証明郵便などにより差し止めを求め、応じてもらえない場合には裁判所に仮処分を求めましょう。

  2. (2)退職金返還請求

    2つ目は退職金返還請求です。
    競業避止義務に反する行為があった場合には、退職の減額や不支給、または返還を求めるという方法があります。
    退職金支給規定などで、事前に規定しておきましょう。

  3. (3)損害賠償請求

    3つ目は損害賠償請求です。
    競業行為により会社が不利益を被った場合には、賠償を求めることができます。
    具体的な損害の内容や金額を明らかにし、まずは交渉により賠償を求めます。賠償に応じてもらえない場合には裁判を起こしましょう。

5、社員の流出を防ぐことが大事

競業避止義務に反する行為があった場合には、差止請求をするなど早期に対処することで影響を最小限に抑えることはできます。

ですが重要な情報に触れるほどの立場にあった社員が辞めてしまったこと自体の穴は埋まりません。まずは社員の流出を防ぐことが大事です。

厚生労働省「平成29年雇用動向調査」によると、定年・契約期間満了などを除き、離職理由で多いのは「給与等収入が少ない」「労働条件が悪い」といった待遇面に関するものです。
「職場の人間関係」「会社の将来への不安」「仕事の内容に興味を持てなかった」という回答も一定数ありました。

そこでまずは給与や労働条件、職場環境などに問題はないか、見直しをしてみましょう。また社員としっかりコミュニケーションをとり、不満の声を汲み取ることも大事です。

6、まとめ

競業避止義務規定は、自社の利益を守るために重要です。ですが規定があっても裁判で不当と判断されるようなものであれば意味がありません。「こんな合意は無効だ」と、逆に元社員に訴えられてしまう可能性もあります。

実際に社員が転職してトラブルになってしまった場合は、差止めなどの法的措置をとる必要があります。すぐに弁護士に相談しましょう。

ベリーベスト法律事務所福岡オフィスは、福岡の会社が直面するさまざまなトラブルのご相談をお受けしています。競業避止義務規定や合意書の作成・チェックも可能ですので、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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